「世界観」とは何か?<連載03>
前回は「世界観」というワードを辞書的に紐解いていきましたが、その中で分かってきた事は、世界の見方(worldview)と世界設定(worldbuiding)があるという事でした。
「世界の見方(worldview)」は内側から世界をどう見るか、価値観も含めたその人にとっての世界のはなし。
「世界設定(worldbuiding)」は外側から見た世界で、個人的な主観よりは、現実世界との差異などが重視される。
そもそもの意味合いとしては前者だが、現実社会では、後者の意味合いで語られることが多くなってきていると言えるかもしれません。
それは、メディアの進化、あるいは世界中の情報がコンパクトに手に入る中で、文化や風土の違いなどが注目されやすくなったこと、あるいはCG、VFX的な技術の進化により、実写、アニメにかかわらずフィクション作品が多く描かれるようになったことが要因として挙げられるでしょう。
世界観を個人をベースに整理していくと、まず「人生を通じて構築された自らの世界観」があり、それをベースにしつつ「外側の世界に触れ感じる世界観」があります。
そこで感じた世界観は、自らの世界観にも影響を与え、時に変化することもあるでしょう。
文学(あるいはエンタメやアート)作品は、その代表的な例です。あるいは、そういった作品だけでなく、家族や友人、知人など他人が持つ世界観にふれ、同様に影響を受けることもあります。
大袈裟に言えば、人にとって「社会的に生きる」=「世界観の交流と更新」とさえ言えるかもしれません。
これは、あらゆる企業活動も同様で、例えばディズニーのような企業だけでなく、GoogleやApple、あるいはTOYOTAやテスラ、あるいはスターバックスや吉野家など、それぞれの世界観があり、それらは私たちの世界観に影響を与えています。
世界観研究所としては、それらの活動にも注目して行きたいと思います。
社会構造の変化や人間の本質を突き詰めていくだけでなく、作品を含めた企業活動を通じて、どういう過程で世界観というものが作られていくのか、どうやったら世界観というものが作れるのか、ということを探求していければと思うのです。
世界観にとって必要なのは、設定なのかストーリーなのかキャラクターなのか。もちろん複合的なものではありますが、要素還元し、解像度を高めることで世界観の言語化に取り組んでいきたいと思います。
今後の活動にも注目していただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。