第二話 Aの師匠

登場人物紹介

【私】・・・Aが勧誘者とは知らず、親交を深めていく。
【A】・・・X社のネットワークビジネス勧誘者。
【C】・・・Aの友達。もちろんX社のネットワークビジネスしている。
【D】・・・Aの師匠。

これから私の経験談をお話しする前に
私が勧誘された
ネットワークビジネス組織の仕組みを簡単に説明する。

ネットワークビジネスは、紹介制のビジネスである。
これから話に出てくる師匠にも紹介者がいてその紹介者にも
紹介者がいる。という形で繋がっている。
(ネット上を検索すればより確かな情報が手に入る。)

私が所属した集団の全メンバーは数万人以上いた。

数万人以上の集団の中でさらに細かい集団に分けられ

△△チーム
〇〇チーム



□□□チーム


といった形でチームを組み活動している。

△△チーム

〇〇チーム





□□□チーム

=数万人の集団となる。

のちのノートでカルト宗教について語るが
似たような構造である。

チームの業績(売り上げ)によって
称号が付与される。

上にいる者ほど正しく強い。
下にいる者は弱者で間違っている。


の共通認識があった。

勧誘された私ももれなく
チームに所属した。

私が所属したチームを

△△チーム

とする。

それではここから第二章。





Aとライン交換をしてから数日後。
Aから連絡が来た。

A「今度の休日、お茶でもしない?自分の友達にも地方から
上京してる人がいて、地方出身者同士盛り上がるかも」

私は、都内に友達もおらず、
休日は空いていたので、二つ返事でOKをしてしまった。

数年経った今でも
何度も何度も後悔する場面だ。

駅に待ち合わせして
近くのカフェに行くことになった。

おしゃれなカフェでお茶をするのは

社会人になってからの楽しみの一つであった。

ただ、今回は違った。

A「どこ行く〜?」

私「オススメの場所ありますか?」

A「実はこの辺りあんまり知らなんだよね。
近くにマクドナルドがあるからそこにしよっか?
Cにも連絡しておくね」

内心、マクドナルド??
と驚いた。

せっかくの休日だ。

なぜそんなチープな場所なのか。


(*後に判明したこと。
Aは(Aに限らずビジネスメンバーのほぼ全て)
休日に何件も友達とお茶の約束をしている。

この日も私とお茶した後に
他の誰かとお茶をしていたと思う。

毎回毎回カフェに足を運んでいたのでは
出費が多くなる。
だから、できるだけ安い場所を選んでいた。

注文するのは100円のドリンクのみ。

お茶での目的は、
師匠を私に紹介することである。)



マクドナルドでCも合流し

他愛のない会話から始まり

仕事の話になった。

私は、サービス業に就いていた。
シフト制で休日も仕事の日もあった。

そう言った事情も受け入れて
仕事は楽しくしていたし
特に不満もなかった。


C「Aは、最近仕事どう?」

A「結構楽しんだよね〜」

C「この前まであまり楽しそうにはしていなかったのに
ね。楽しくなってきたんだ。

何かきっかけあったの?」

A「Cが私に紹介してくれたDさんに会ってから
色々変わったんだよね。」

C「紹介してよかった。
Dさん忙しい方だから時間割いてくれるの
珍しいんだけど。」

私「Dさんってどんな方ですか?」

ここで私はDさんに興味を示してしまう。

相手の仕掛けた罠に易々と引っ掛かった。

A「会社を経営してる人なんだけどね。
もともと大企業に就職していたんだけど、
先が見えたから辞めて会社を起こしたの。

超有名な大企業に勤めていたのに
なんで辞めたのか私も不思議で。

だって安定している会社だよ。

なんとなく、起業している人って
カッコイイじゃん?

それで会ってみようと思って。」

私「へ〜、ちなみにどんな業種の会社をされているの
ですか?」

A「確かサービス関係と言ってたよ。」

※後に判明したこと※
AやCから推測すれば
Dは複数の会社を経営する社長だ。しかし、実際は
違う。ただ単に△△チームのリーダーである。

AやC、△△チームのメンバーは
嘘を平気でつく。

私がSEだったすれば
AやCは
「Dさんもプログラミングしてたらしいよ」
と言って私の興味をひくであろう。

営業をしていたとすれば
AやCは
「Dさんも営業してたらしいよ」
と言って私の興味をひくであろう。

つまり、
話し相手に合わせてDの人物像を
作り上げていた。

芸能人に知り合いがいる、
俳優さんと交流しているなども。)

C「〇〇ちゃん(私のこと)もサービス業だったよね。
Dさんに会えば仕事のこと色々教えてもらえるかもよ。

会ってみれば?」

私「こんな私でも会ってくれますか?」

C「話聞いていると、〇〇ちゃんは仕事に対して
熱心だしそういう人Dさん好きだからきっと会ってくれると
思うよ!

AもまたDさんと会う約束してたよね?
〇〇ちゃん(私のこと)も一緒に連れて行ってあげなよ。」

A「もし、〇〇ちゃんがいいのなら、
 一緒に行かない?」

私「はい、よろしくお願いします」


こうして、

後日、
私はDに会いに行くことにした。



私の黒歴史は一歩づつ

確実に

始まっていた。

いや

歩まされていた。