18きっぷを消化する夏休み 出雲編②
山陽本線はもういいでしょ。
18きっぷ期間、最後の日曜ということもあって
始発だというのに、車内には独特なヒトたちが沢山。
みんな何故か、靴か服か鞄のどれかが破れてるし
2リットルのペットボトルでがぶがぶ水を飲んでたりするし
車両内をウロウロしたり、ずっと半笑いだったり
独特なヒトたち。そら18きっぷもなくなりますわ。なくならんけど。
伯備線 岡山ー新見
岡山から伯備線へ。
初めて乗る路線だったのでどうかなと思ったけど
素晴らしい路線だった。全人類におすすめしたい。
倉敷から、高梁川に沿って北へ向かう路線なんだけど
この高梁川の景観がすこぶる良い。
豊富な水量の、穏やかな下流から始まって
列車が進むとともにその色、その質感と、次々に表情が変化していく。
中流から上流まで、清流から急流まで、特等席で眺められるもんだから
こんなんあったら、スプラッシュマウンテン要らんやん…って思ったわ。
よくこんなところに線路を引いたもんだ。あっぱれよ。
マンたちを横目に、「自分も乗り鉄かもしれない」と改めて考えた。
たぶん、僕は「乗り鉄」なんだろうと、この日、初めて自覚した。
まぁいいや、高梁川も木曽川も、ずっと眺めていられるし。
じっと座ってる分には、世界の邪魔にはならんだろう。
謎の町、新見
午前9時ごろに、新見駅着。
伯備線、芸備線、姫新線を繋ぐ、ご立派ターミナル駅である。
次の米子行きまで、2時間ほどある。
とりあえず、駅を出て近所を散策。
『いんでいら』というお店でモーニングをいただいた。
お店を出て時計を見る。10時だ。時間がゆっくりだ。
まだまだ強い夏の日差しが、澄んだ空気で一層痛く感じる。
たまらず、近くの河川敷に降りて、靴を脱ぎ、足先を冷やす。
暑い日は、川で足を冷やすのが一番やね。
海ではこうはいかんからな。わぁい 川 ぼかぁ 川 だいすき。
伯備線 新見ー米子
米子行きの車内は、さらにマン濃度が高くて参った。
単線区間が続くので、たびたび列車は10分、15分と通過待ちをする。
車内には空席もちらほらあったが、立っているマンが多数いて
何度も同じ人が電車を降りて、何度も同じ人が乗ってきてを繰り返した。
高梁川を逸れて、山間の別の川に沿って、列車は北へ。
いつしか分水嶺を越えて流れも逆になり
山の斜面からせり出した背の高い植物が、窓をバチバチ鳴らす。
秘境をギシギシ音立てて突き進むこの路線はいつまで持つんだろう。
利益は出ているのだろうか。ここで暮らす人々とは一体…
ほぼ全域、川沿いを走り続ける伯備線、かなり素晴らしかった。
特急やくもからでも同じ景色が見えるなら、やくもは良い特急だ。
米子駅着
米子に着くと、マンたちは皆、オレンジ色の鳥取行きに移っていった。
乗り継ぎ時間は30分。トイレ行って、外出てタバコ吸って終わりだろう。
駅前の広場では、スケボー禁止の看板がキツめの存在感を放っており
その前で、スケボーを担いだ若者と警察官が小競り合いをしていた。
この辺りの若者には悪いが、同情を禁じ得ない。アンサーはスケボーだ。
米子は今、スケボーがアツいらしい。希有な知見を得た。
そのあと、広場のベンチで変な宗教勧誘の方々にお誘いを受けたが
これから出雲さんへ行く身として、きっぱり断った。
お土産もの屋は鳥取の物ばっかりで、出雲土産にはまだ早すぎた。
山陰本線 米子ー出雲市
出雲市行きの山陰本線からは、「中海」という潟湖と
しじみで有名な「宍道湖」が見える予定。
湖はどうもテンション上がらんのよね。舐めてみないと、楽しくない。
案の定、中海も宍道湖も、穏やかな水たまりって感じだった。
思いのほか、あっさりとした気分で出雲市駅に到着。15時過ぎたくらいか。
観光案内所
出雲市駅と出雲大社は、神戸と新神戸くらい違うらしい。
ひとまず、観光案内所で大社までの行き方を相談することにした。
大量のリーフレットに埋め尽くされた小さなカウンターの奥に
品の良い女性の係の方が立っておられた。
自分の伝えることをしっかり整理してから、深呼吸して声をかけた。
・明日の朝イチで、出雲大社へお参りしたい
・そのあと、日御碕神社にもお参りしたい
・出雲そば、できれば「ワリコサンダン」をいただきたい
以上、3点を相談させてもらった。
係の方はびっくりするほど丁寧に、且つ端的なアドバイスをくださった。
・出雲大社までは10kmほどあるので
私鉄で出雲大社駅まで行くか、タクシーで行くか
徒歩も不可能ではないが、おすすめはできない。
・そのあと、日御碕神社まで行くにしても
仮復旧した道路は細く、バスはまだ通っていない。
タクシーか、レンタカーなどの小型車で向かう他ない。
大社から10kmほどあるので、徒歩も不可能ではないが(ry
ふむですね…と、決めかねている僕を見て
「まだ試験運用中ですけど、シェアバイクサービスがありますよ!」と
係の方は、ココイチ瞳をキラキラさせて教えてくれた。
こないだ、松本で使ったばっかりのシェアバイク
そうか、アレがあるのか。アレは便利だものね。
なんでも経験しとくもんですな。これで足は決まった。
じゃ、それで行ってみますねと、しっかりお礼をして外へ出た。
シェアバイクサービス (出雲 another story)
駅前広場の少し脇に、シェアバイクは5台ほど停まっていた。
日没まで少し時間がありそうだったので
試しに乗って、出雲市駅周りをウロウロしてみるのも素敵ね。
QRコードでアプリを入れてみると
松本で使ったのとは違うサービスのようだった。
困ったことに、決済方法がクレカしかなくて
”クレカ…登録すんのか…?こんなとこで”と悩みに悩んだ。
仕方なく、また観光案内所でご相談。
”あの、その、カード止められてて、へへ…”と
訳の分からんウソをついてみた。
「そんなあなたに『一日周遊パス』がありますよ!」
係の方は、今日イチ瞳を輝かせてご案内してくださった。
「これを使えば、0時まで乗り放題なんです!
明日の0時以降に利用開始の手続きをすれば
24時間乗り放題!しかもお値段1000円!どうです?」
便利なものがあるんやね。助かった。
「今すぐに利用開始の手続きをすると
今日の24時で使えなくなるので気を付けてくださいね」と
丁寧にご教示いただいた。
ついでに、出雲そばの有名店の場所と
すぐ食べたいなら、そこのラーメン屋がありますよなんて
ウィットなジョークまでいただいて恐縮。
出雲市駅の夜は更けて
ホテルにチェックインして、まずはマップで近辺をチェック。
出雲市駅前には、この世の全てのビジネスホテルが建っていて
この世の全てのビジネスホテル以外には何もなかった。
出雲そばの名店は、日曜の夕方なのに
あるいは、日曜の夕方だからかわからんが
ちょっとした行列ができていた。
老舗の名店らしいのだが、入店から注文まで全てタブレットで
店員さんの背中には、皆「創業 江戸末期」と書かれていた。
「創業 江戸末期」か。江戸末期て、なんか曖昧やなぁと思った。
帰りに、少し離れたところにあるスーパーで
チョコバッキーを横目に、ポテサラと缶チューハイを買って帰った。
日本海気候のせいか、極端に平坦な地形のせいか
暗くなるにつれて、海へと抜けていくような
すごく強くて、変わった風が吹いていた。
ホテルの隣に、ハッピーアワーをやっている
ポップでキャッチーでギラギラしたお寿司屋さんがあって
ホテルの冷蔵庫に、ポテサラと缶チューハイをしまってすぐに
堪え切れずにまた出かけて行って、ゲソのお寿司をたらふく食べた。
そのあと私、気を失ってたからよくわからないけど
初日、出雲市駅の夜は斯くして更けてゆくのであった。
僕からは以上。
また追って連絡し〼。