繊維のリサイクル
今回は繊維のリサイクルについて考えたいと思います。現在日本における衣類の廃棄量は年間100万トンとも言われており、これらは埋め立て処分や焼却処分となっている訳ですが、昨今の「サスティナブル」という言葉への関心の高まりによりリサイクルに注目が集まっています。
一般的な衣類のリサイクル方法
・古着として再利用
用途が変わらないのでとてもお手軽なリサイクル方法。
・裁断して雑巾やウエスとして使用。
少し手を加えて新たな価値として生まれ変わる。
・ワタ状に戻して違う製品の原料となる
工程に時間はかかるが、原料まで戻るので再利用できる範囲が広い。
3番目のワタ状に戻して違う製品の原料にする事を「反毛」と言います。
ではこの「反毛」についてもう少し細かく掘り下げたいと思います。
反毛工程
愛知県一宮市を中心とする日本最大の繊維産地「尾州」では昔から行われてきた衣類・生地をワタに戻す「反毛」が注目されています。大まかな反毛の工程を見てみす。
1.仕分け
まず最初の工程は仕分けです。大量に入ってくるリサイクル製品を素材や色ごとに分けていきます。次にボタンやファスナー、ネーム部分等の生地以外の装飾物を取り除きます。これが非常に大変な作業ですが慣れた職人さんの手によって仕分けされていきます。原料に戻す事を考えるとこの仕訳作業がとても重要です。
2.裁断
次は仕分けされた生地を裁断していきます。生地にオイルをなじませ、繊維を柔らかくして裁断機に投入していきます。生地はある程度細かく裁断されてリサイクル繊維の原料となります。
3.反毛
裁断された生地を反毛機に投入します。複数の細かな針のついたロールの間を通っていく毎に細かく裁断された生地が更に分解されていきます。最終的にはふわふわの綿状に戻ります。
新たな再生羊毛 「毛七」
日本最大の毛織物の産地「尾州」では世間で騒がれているSDGsが注目されるよりはるか昔から繊維の再生文化がありました。中でもウールの使用が特に多い尾州においてはウールも同様に再生利用され続けています。これまで変わらず取り組んできた伝統ウールのリサイクルが昨今の世間の流れによって注目を集める事となっています。
リサイクルウールを使ったブランド「毛七」。もともと羊毛は高価な機能繊維です。日本国内では満足に生産できない原料という事もあって使える限り使わなければもったいないという思いが「毛七」の起源だそうです。反毛された繊維は短い為、少量の化学繊維をブレンドする事により強度や風合いが良くなります。長年の経験によって生み出された羊毛と化学繊維の黄金比 「羊毛(毛)が7割」が毛七の名前の由来です。
新たなサスティナブル素材として注目を集めている「毛七」。環境問題が叫ばれる中でマッチした新たな取り組みに今後も注目です。
1890年創業の羊毛商社のウールショップーJK WOOL
World of woolは創業1890年以来の羊毛原料商が運営する羊毛を中心とした天然繊維の魅力を発信するオウンドメディアですが、実は羊毛原料のECサイト "JK WOOL"も運営しているんです!
手紡ぎ毛糸やフェルト製作など羊毛がご入用の方がおられましたら、是非JK WOOLを使っていただけますと幸いです。
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