雨のjelly
人を待っている車内で
雨が降ってきた
雨が降るよ、と重い大気が沈んできたころ
大粒の雨
あっという間に自分を囲っていった
激しくはないけれど大粒の柔らかい雨
ガラスについた何十、何百もの雨粒
外の音を遮断して湿気を含んだ重い空気で包まれるのは
どこかのjellyに飛び込んだような感覚
ゆるいゆるいjellyに沈んでいったら
きっと とぷん と音がするだろう
そしてソーダの味がするんだ
小さな空気の泡が時折目の前を横ぎる
このままずっとこのままでも
雨がガラスを打つ音と、
ガラスについた雨粒を眺めていた
「おまたせ」の声と開いたドア
雨のjellyの終わりの合図
昼下がりの明るい雨の中のできごと