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Canada

Hanson Island 2

早朝4:30バンクーバーの町から島に向けて出発。
バスに揺られ、バスごとフェリーに乗りこみ、ついたバンクーバーアイランド。そしてまたバスに揺られ北上、街から眩しい新緑のエリアへ。
島の北部の町Port McNeillに到着。バスから降り立つと清々しいほどの快晴、照りつける太陽。カナダ西海岸の象徴的で魅力満載な気候そのものだった。

そこに待ってくれていたのはJERRYというおじさんで、アキから話を聞いて、JERRYがハンソン島までボートを出してくれることになっていた。
明るくて、元気で、愛らしいそんな印象のJERRYと、『今夜はパーティーだぞ!』という彼と、島へ乗り込むための買い出しにスーパーマーケットへ行った。ハンソン島にはお店ひとつなければ、買い出しにいくにも海を渡らなければならない。
とは聞いているものの、大きなショッピングカートにJERRYによって投げ入れられていく食料品の多さに面食らってしまった。
野菜、缶詰、お米、小麦粉、パン、チーズ、粉ミルク、などなど気付けばショッピングカートは山盛り2台。
ガソリンやビール、ウイスキーなども買い込んで準備OK!
アキの父親Walrusはアキから好みを聞いていたのでスコッチをお土産に買い込んだ。

ハンソン島への買い出しも終わり、JERRYのボートへ車で向かう。
不意にその時ブラックベリーの生茂る隙間から小熊のブラックベアーがコロコロっと飛び出してきた。
本当に目の前に出てきたのでさすがにびっくりしたけど、JERRYはいつものことだよ〜と笑っていた。

さあ乗り込もう!と大量の荷物をJERRYのボートに積んでいると、家から大量の茹でたタンジネスクラブを持ってきてくれるJERRY。
大振りのタンジネスクラブのあまりのご馳走に大興奮の私たちだったけど、JERRYはいつも食べているからもう興味もないそう。
立派な蟹を片手にボートはハンセン島へと出発!

出発の時から目の前に広がる雪山の光景に加えて、左右両方に広がる緑溢れる島々。これから向かうハンソン島はこのB.C州のバンクーバー島の北端にあるジョンソン海峡に面した小島の一つ。500以上の島々があるらしい。やっぱりカナダの大自然は大きい!
ああ、カナダ、ただいま〜!今回も入国できて本当によかった!

ボートは3人乗って大量の荷物が乗ったら、それでスペースもないくらいの可愛らしいもので、そのボートの片側にはベニヤ板で看板が付けられている。魚の形にかたどったお手製の看板には『JERRY's Trumpet』と書いてある。もちろん彼のお手製。

出発するとすぐ、JERRYがビール飲むぞー!と

いうことで海の上で乾杯!
プリップりのタンジネスクラブとビール!そしてビュービュー風を切って進むボート!7月だというのに寒いほどだったけど、ビールが旨いに決まってる!!!
トランペットを取り出して、操縦中のハンドルは悠一郎に預けて、思いっきり吹き出すJERRY。まるで少年みたいに無邪気な笑顔でニコニコ、ニコニコ楽しそうなのだ。もう誰も彼を止められない!!
周りを見渡しても海とたまに通る島、それしかないこの雄大すぎる空間でトランペットを吹き鳴らしてゲラゲラ大爆笑で進むボート。
なんだか島に着く前からもうすでに夢なんじゃないかと思うような幕開けだった。

1時間ほど進むといくつかの島々が見えてきて、速度を落とし、その隙間を縫うように進み、見えてきたのはハンソン島。
ボートつき場には人影が見える。アキがいた。


 

Welcome!と満面の笑み。
おお、私たちついに上陸したのだ、ハンセン島に。

島の船着場は、船着場と言っても特に建物や何かがあるわけではない、
ボートが停められるスペースにはなっているけれど、それだけ。
その何もない、大自然、それこそを求めてここまでやってきた私たちからすると雰囲気からして、ワクワクをそそられた。

島の中のWalrusの家までは歩いて30分ほどかかるという。
持ってきた荷物はとてもじゃないけど、いっぺんに運びきれる量ではなかったけれど、船着場にはいくつかのクーラーボックスがあってそこに一旦入れておいて、すぐに必要なものだけ今運ぶというので、なるほど〜、と納得。

さあ、そこへ向けて出発?!と思いきやJERRYがFIREBALL(ウイスキー)のボトルをオープンして改めて乾杯!!

アキが『Walrusへのスコッチ隠しておいて欲しい』という。
私 『え?でもお土産なんだし渡したいけど。。』
アキ『だめ!隠しとかないと!』
私 『???』
なんでだろ?と思っていたけれど、この後すぐアキの話に納得することになる。



海から白樺の小道をあがっていく。人が一人通るのにちょうどいいその小道はよく見なくても普段多くの人が歩いていないのが分かる、自然のままの小道だった。木漏れ日が差し込む。
周りの景色がだんだん杉の森に変わり、小川が見えたり、シダが広がり、苔むしている足元が美しい。
空気が綺麗で、澄んでいるのがよく分かる。

普通に進めば30分のその道を、ご機嫌なJERRYによるFIREBALL休憩を何度も挟んで気づけばボトルはあっという間に空に。

歩き出して1時間、小さな看板が現れる『Earth Embassy』地球大使館!
え〜〜〜♡なんという響き!
Walrusの家に到着したのだ。

そこにいたのはWalrus。仙人のような長くて白い髭を蓄えて静かに笑いかけてくれた。とってもかっこいい。
Walrusウォラスというのはセイウチのことで、彼の長い顎髭のある見た目とセイウチの長い牙の見た目から、皆そう呼ぶのだそうだ。
アキの雰囲気から勝手に想像していた島男Walrus像を大いに裏切って、そこにはとてもインテリジェンスで魅力的に映るWalrusがいた。
その瞳と目を合わせるだけでなんだかドキドキしてしまった。

Esrth Embassyの敷地内をアキが一通り案内してくれた。
Libraryと書かれた看板のかかった二階建ての建物、
子供の頃のアキとアキのお姉ちゃんのために建てられた小さな小屋、いくつかの手作り感溢れる小屋が立っていた。
どれもWalrusが自分で建てたものだった。
機械は使わず手作業で木材をカットしたらしい。私には想像もつかない大仕事である。

ちょうどEmbassyの中央に位置するLibraryは天井が高く、ロフトはWalrusの寝室で、その下のスペースはみんなの憩いの場のようだった。
部屋の中央には薪ストーブ兼クッキングオーブンが燃えている。
そしてLibraryの名の通りたくさんの本に囲まれた図書館のようなエリアにはたくさんの本が並んでいた。
外には博物館のエリアもあって、Walrusの研究しているこの島の杉の木のことが写真と共に展示されていた。

この場所に踏み入ってからもうずっとワクワクが止まらない。
Walrusは一体どんな人なんだろう!!!とても気になった!

私たちは案内してもらった中の一つの小屋を借りて寝泊りさせてもらえることにした。

Earth Embassyの後ろ側へ行って、1段2段上がるとそこにはWalrusの畑が広がっていた。
わーーー!と思わず漏れる歓声!!
私は今までこんな可愛らしい畑を見たのが初めてだったのだ。そこには自由なWalrusのセンスによって作り込まれた空間があった。
様々な種類の野菜や花々、広くて彩豊かなその空間が、土地を開拓するところから始めた畑だなんて信じられないほど立派で素敵だった。
ここはすぐに私の大のお気に入りの場所になった。

そしてもうひとつ感動したのがトイレ。
1分ほど歩いたところにあるそこには緑の森を正面に臨めるトイレの便座がポツリ。
もちろん壁などなくそこがいいのだ!お尻が少しくすぐったい。

想像を遥かに超えるワクワクがこの場所には満ちていて、とにかく楽しい。
私たちのようにこういうことに興味がある人からしたら、アミューズメントパークに来たような気分になった。

その夜は買ってきたビールにウイスキーに夜な夜な盛り上がった。
結局アキに止められていたWalrusへのお土産も渡すことにして、そのウイスキーのボトル(特大)をプレゼントしたのだが、あっという間にWalrusの胃の中へ。
アキの忠告の意味がわかったよね。
Libraryの薪ストーブを囲んで、キャンドルの明かりとソーラーパネルの電気の灯りの元、JERRYのギターが陽気に響く。
Walrusも昼の落ち着いた雰囲気とは打って変わって足を踏み鳴らして踊っている。私も一緒に手を鳴らす。みんなの笑い声が溢れて止まらない。

ハンソン島は7月の夏の期間でも寒い。
夏なのにキンと寒い夜。
心はホッカホカに温かいそんな夜。



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