ALASKA 1
ALASKA 7日目、いよいよデナリ国立公園に到着した!!
なんといっても、アラスカで一番いってみたい場所だ。
北米一の高さを誇る、巨峰マッキンリー山(6,194m)を抱くデナリ国立公園。日本の四国と同じ面積を誇る、アラスカへ訪れる人の誰もが憧れる土地デナリ。
その昔、マッキンリー山はデナリ山と呼ばれていた。
この土地に昔から住むネイティブの人たちの言葉で、『偉大なる、偉大な』という意味だ。
元々、マッキンリー山国立公園という名称だったのを、敬意を表し、デナリ国立公園と呼ぶようになった。
ぼくらは2ヶ月前からワンダー湖キャンプサイトという、マッキンリー山に最も近くそしてあの星野道夫さんも一番美しいマッキンリーを見ることができるとオススメしているキャンプサイトを予約しているのだ!
昼のシャトルバスで、5時間半かけてワンダーレイクまで向かう。
そこにキャンプサイトがあるのだ。
ここからは店もない。
ここから先は、ひたすらに大自然が広がっている。
人が住む環境ではなく、ここからは野生動物たちの土地だ。
国立公園内の唯一のビジターセンターで、バスに乗る前にキャンプ場での注意を受ける。
熊が多く住むこの土地では、絶対に食べ物をテント内に持ち込まないこと。
化粧品など、匂いの出るものは全てテントから遠ざけて、決められたフードロッカーで鍵を閉めて管理する事が厳重に義務付けられている。
野生動物は鼻がメチャメチャ良いのだ。
この説明を受けて、なんともいえない興奮が体の中を駆け巡った。
本当にデナリ国立公園に来たんだ、と。
ちょうど、一週間前にワンダーレイクキャンプサイトで大きなグリズリーベアが現れたという。いやいや、これはマジで気をつけねえと・・
5日分の食料と遊び道具と酒、楽器、テントにタープその他もろもろを抱え、キャンパーバスにぼくらは乗り込んだ。
進行方向左側が絶景だと聞いていたので、ぼくらは左側の席をゲットした。
バスの中には、アウトドアのプロといった感じの人たちが乗っている。
中には、バックカントリーパーミットと言う、要はキャンプ場以外の好きなところどこでもキャンプしていい許可を得て、前人未踏の谷や川や山を楽しむ人たちも沢山いる。
しかし、それは自己責任だし、四国ほどのサイズのこの国立公園内で自分一人で全ての事をやりきれる実力と自信がなければやめておいたほうが良い。
当然ぼくらはまだまだ無理。
でも、メチャメチャ惹かれるけどね。だって、やっぱ憧れちゃうでしょー。
バスで、一時間走ったころだろうか、まずぼくらは野生のカリブー(トナカイ)に出会った。双眼鏡越しに、川を歩いているカリブーを見た。
また、しばらく行くと、運転手が止まった。
『グリズリーベアだ!!!』
双眼鏡を手に取り、窓に顔をくっつける。
向こうの山の中腹に、金色の毛をした大きく太ったグリズリーベアを見た。
なんというデカさなんだろう。軽く2mは超えているだろう。ブラックベアの比ではない! このアラスカ生態系の頂点に立つグリズリーベア。
星野道夫さんを襲った熊。
こいつはヤバいデカさだ!
夏の熊は、アラスカの夏の生命の恵みを受け、まったく餓えていないので至近距離で出会わない限り、基本的に向こうから何かを仕掛けてくるということは滅多にないらしい。しかし、子連れの場合は別だ。最も危険らしい。
なぜなら、母熊は小熊を守ろうと、近くにいるものを攻撃するらしいのだ。
だから、公園では全ての場合に備えて、熊に出会ってしまったらどうするべきか、教えている。
もし、熊に出会ってしまったら、絶対に走らない事。
そして、ここに人間がいることを教える事。優しく話しかける。どなってはダメ。走ると面白がって追いかけて来てしまうらしい。
もし、優しく話しかけていても、こっちへ来てしまうようであれば、最終手段は死んだフリらしい。
ちなみに、ムースは別で、元々草食動物なので人間をどうにかしてやろう!という気はない。
だから、ムースに会った場合は走って逃げてもいい。追ってくることはない。
しかし、ここアラスカでは近年、熊による死亡者よりもムースによる死亡者の方が多い。
子連れのムースは最も危険なのだ。
馬よりも全然デカく、ガタイがいいムース。そしてオスのムースのバカでかい角。あれでタックルされたら完全にGOOD-BYEだ。
ムースを引いたら車が壊れるってアラスカの人はみんな言うもんね。
と、いう具合に一応、万が一の時の知識は入れつつ、LET‘S GO!!!
すごい景色が続く。
見渡す限り緑の世界。地平線までずーーーーーーっと森が深く続いている。
完全な360度パノラマ。
こんなすごい景色にずっと居たら、どうにかなってしまいそうだ。
スケールの大きさに言葉が出ない。
こんな経験した事ないな。
こんな大きな自然を今までに見た事も感じた事もなかった。
壮大なスケール。
目が良くなるような気がする。
ずっと窓の外に広がる気の遠くなるような手付かずの大自然を見ていると、
『どうでもいいや。』と思えてくる。
何もかも小さく見えてくる。 自分や自分の身の回りのことなど。
すごい体験だ。それに尽きる。ただただすごい。圧巻。それだけ。
バスが進むに連れて、自然の形態が変わってくる。
森から山の景色、そして平原へと。
それぞれがすさまじいスケール。
360度ずっと森、360度ずっと岩山、360度ずっと平原。
とにかくこのクソ広い土地は全て手付かずの大自然で、完璧に地球が出来たころのままのむき出しの地球なワケだ。
北極圏に入る土地だけが、この地球上で唯一空気の汚染すらもされていない地域だという。
はあああ。完璧にマイナスイオン。というか、ここの空気は全て純度100%のマイナスイオンだ。
すごいことです。感謝。
感謝したくなっちゃうんだよね。
息を呑むような美しい湖や川を何度も越える。
メッチャメチャきれいだけど、名前とか無いんだろうなー。
結局、このバスでカリブー2頭、グリズリー2頭、野うさぎ、地リス、ビーバー、レッドテイルフォックスを見た。ビーバーもキツネも良かったわー。
ビーバーが枝をくわえて泳ぎながら、巣をリニューアルしてた。
何度『すごい』と口にしたことか。
ALASKA・・・・・すごすぎるーーーーー。
旅と言うよりは、地球という惑星に来た感じ???
うまく言えないけど、時に無機質で生命の気配を感じさせないエリアもあり、なんとも壮大で男らしくかっこよかった。
美しいアラスカの草花のミクロの世界と巨大パノラマの世界。
両方の魅力をどこまでも合わせ持ったアラスカの自然。
これがアラスカかーーーー!!!!!
と感じられた最高のデナリのスタートとなった。
ワンダーレイクには夜7時ころ到着した。
キャンプサイトはマッキンリーを眺めるのにこれ以上ないというような抜群のロケーション。
テントを建てる場所を探していると、キャンパーが話しかけてきた。
『ほら、見てごらん。あそこの湖にムースが遊びに来ているよ。』
よく見ると、目の前の湖に大きなオスのムースがいた。
初めて肉眼で見るムースは大きかった。
一面緑に覆われた世界で、美しい湖とムースが目の前に存在している。
現実かなんだかよくわからない感覚。
しばらく眺めていると、更にミラクルが起きた!
虹が出たのだ。
それもまっすぐ上に伸びる虹。
これは、アラスカではよく見られるようなのだが、ぼくらはもちろん初めて。
幻想的なデナリの風景。山山山。緑。湖。そしてムース。更に天へと伸びる虹。
これぞ、アラスカンミラクル。
ものすげえわ!とにかく最高だった!
良い場所を見つけたので、ぼくらはテントとタープをセットし、ほっこり落ち着いた。
ついに来たぜ! デナリ。そしてワンダーレイク。
夏のデナリは曇りが多く、マッキンリーを見れるのは運次第らしい。
けど、ぼくらは運がいいので見れるだろう。
まだまだ明るい白夜にも慣れてきた、今夜は熊に気をつけてタコライスを作ってホッコリだ。明日からが楽しみだぜーーーーー!
そして翌朝、4時に隣のテントのおじさんに起こされた。いや起こしてもらった。
『Mountain is coming.』
なんと、デナリ山(マッキンリー山のこと。6,194mで北米最高峰。)が全貌を現していた。
眠たい頭だったが、その荘厳さに目が覚めた。
テントから這い出て、じっくりと眺める。
うっすら顔を出し始めた太陽の朝焼けでほのかなピンク色にデナリが染まる。その周囲に連なる雪山たちもピンクで美しい。
昨夜は曇っていたけど、なんてことだ。雲ひとつない。
時間が経ち朝焼けが強くなるにつれて、デナリの色がだんだん力強い赤に変わっていく。
本当に圧巻。言葉は要らない。
そのスケールのあまりの大きさととてつもない美しさ、そして静けさにため息が漏れる。
おっくんと一緒に『すげーーーな』と何度口にしただろう。
おっくんと二人でデナリをしっかり眺めていると、隣のキャンパーが向こうの丘にムースが歩いている事を教えてくれる。
ぼくらは、せっかく起きたことだし、眠い目をこすってその丘へ向かって歩き出した。ますます、デナリは美しく染まる一方。
雲ひとつない晴天だ☆おれたちは本当に恵まれている。
みちとマユポンはとりあえずデナリを眺めてまた爆睡中。
ガイドブックにも7月にデナリを見ることは難しいと書いてあるのに、早速こんなに丸見え!ありがたい!!!!!
丘についてもムースが見当たらない。もうどこか遠くへ行ってしまったかと思っていたら、少し降りたところにある水辺で草を食べ水を飲んでいた。
なんと豊かでピースフルな絵なんだろう。
この土地は完全に彼ら動物たちが住む土地なんだな。
お邪魔してます。と、いう気持ちに自然になってくる。こういう経験はマジで貴重だよ。 そしてぼくは大好きだ。
足元には一面に広がるよく熟したブルーベリー。
桁違いの規模に広がるとてつもない範囲にあるブルーベリー。
ぼくが目にしただけでも、僕の育った武蔵野市の10倍くらいは有にあったと思う。実際にはそんなものじゃ全然すまないだろう。
アラスカのベリーは人が摘んで、動物が食べ、企業がどれだけジャムを作っても4分の3は腐って枯れていく、と聞いたことがあるがそれは真実だと実感した。
視界の届くところ全て、いや、それどころか四国と同じ面積分スッポリと手付かずの自然の中に自分が居るという現実。
そしてその真ん中で美しい緑に囲まれながら、朝焼けの美しいデナリ山を仲間と一緒に悠々とほっこりと眺めている。
おれたちは本当に恵まれている。
オレは幸せだーーーーー!!!!! ありがとうーーーーー!!!!!