2023-2024 マテリアルチェンジ
スキーシーズンオフの話題といえば、マテリアル!各選手とメーカーがスキー板の契約をする時期がやってきました。
スキー選手にとってマテリアルとの相性というのはとても重要です。マテリアルチェンジして、自分の滑りとマッチングさせる必要があります。
それが短期間でうまくいく選手もいれば、アジャストするのに時間がかかる選手もいます。時間がかかる場合は、その間なかなかレースで結果が出なかったりするのです。
選手たちは、オリンピックシーズン後にマテリアルチェンジをすることが多く、オリンピック前にチェンジする選手は少ないです。
そのため、今オフでマテリアルチェンジの発表をした選手は少ない印象です。
VAN DEER(ヴァンディア)デビュー
選手を紹介する前に、少し昨シーズンの振り返りを。
2022-2023年シーズンは、ワールドカップ総合優勝8連覇の王者 Marcel Hirscher(AUT)マルセル・ヒルシャー率いるスキーメーカー「ヴァンディア」が、ワールドカップデビューということでシーズン当初から大きな話題になり、たくさんの人が注目しました。
ここまで、マテリアルが大きな話題になったことはないのではないでしょうか。おばさんの過去記憶にはありません。さすがヒルシャー。
なんといっても、マルセル・ヒルシャーのライバルであったヘンリク・クリストファーセン(NOR)が長年契約していたロシニョールからチェンジして、ヴァンディアのスキーでのワールドカップ参戦。
2023年1月Garmisch-Partenkirchen(GER)ガルミッシュ・パルテンキルヘンの回転(SL)で、ヴァンディアのスキーで初優勝したことが大きな話題となりました。
さすが、百戦錬磨のクリストファーセン。マテリアルへのアジャストもバッチリで、すぐに結果が!どんなスキーでも勝てるのでは?と思っちゃいました。
彼のInstagram投稿にも、マルセルに対して「プロジェクトはコンプリートした!次は何?!」とコメントがありました。ヴァンディアスキーの次の目標も気になりますね~。
スキーのデザインもかっこいいし、乗ってみたい!早く日本でも販売してほしいですね。
2023-2024シーズンもヴァンディアに注目です!
VAN DEER(ヴァンディア)公式HPはこちら
HEAD(ヘッド)
オーストリア ケネルバッハに本社があるHEAD。スピード系種目の板に特に定評があり、契約選手も多くいます。
そのHEADとのマテリアル契約のニュースが入ってきたので、紹介していきたいと思います。
HEADジャパン公式HPはこちら
armand marchant(BEL)アルマンド・マーチャント
長年サロモンのスキーで、ワールドカップ参戦していたアルマンドですが、ヘッドへのマテリアルチェンジを自身のInstagramで発表しました。
ワールドカップおばさんの最推し選手です!
なぜ?については、語りだすと止まらないのでまた今度・・・。
ヨーロッパはスキーの本場ですが、ベルギー出身のアルペンスキーレーサーはこれまでほとんどいませんでした。アルマンドは、個人の小さなチームで戦っています。
2022年北京オリンピックは、小さなチームで勝ち取った、彼にとって初のオリンピック出場。開会式では、堂々と旗手を務める姿が見れてとても感動して涙が出ました・・・。
ワールドカップ初参戦は、2014年Alta Badia(ITA)アルタ・バディアの大回転(GS)でした。当時16歳!最高位は、2020年1月のZagreb(CRO)ザグレブでの回転(SL)で5位。マテリアルチェンジして2023-20324シーズンの活躍に期待です!
FIS ALPINE公式:アルマンド・マーチャントの公式記録はこちら
Mathieu Faivre(FRA)マシュー・フェーブル
サロモンからヘッドへのマテリアルチェンジをした、マシュー。自身のInstagram投稿のコメント「back as a rebel」にもあるように、サロモンとの契約前はヘッドのスキーに乗っていました。
オリンピック後の2022年5月からサロモンでしたが、1年でヘッドに戻ることになりました。
大回転(GS)が主戦場のマシューは、2022年 Beijing Olympic(CHN)北京オリンピック 大回転(GS)銅メダリスト。2021年Cortina d'Ampezzo World Championships(ITA)コルティナ・ダンペッツォ世界選手権 大回転(GS)、パラレル大回転(PL)の両種目で金メダル獲得の2冠と、大舞台になると強い選手。
長年第一シードにいましたが、2022-2023シーズンは、大きくスタート順を落とすことに・・・。ランキング25位までの選手が出場できるワールドカップ最終戦にも出れない結果となり、本人にとっては悔しいシーズンでした。
マテリアルチェンジをして、復活を狙います!がんばれ!
FIS ALPINE公式:マシュー・フェーブルの公式記録はこちら
rossignol(ロシニョール)
フランス イーゼルに本社があるロシニョール。アルペン・ノルディックスキー総合で業界NO.1メーカー。
フランス政府よりスキーの公式用品として認められて、国鳥である鶏マークを使う事を許されている歴史あるメーカーでもあります。
rossignol公式HPはこちら
steven amiez(FRA)スティーブン・アミエ
自身とロシニョールのInstagramでマテリアルチェンジを発表した、24歳のスティーブンのお父さんは、セバスチャン・アミエ。オリンピックに3大会連続で出場。2002年Salt Lake City Olympic(USA)ソルトレークシティーオリンピックで、回転(SL)の銀メダルを獲得したトップレーサーでした。
ワールドカップのフィールドには、近年多くの2世選手がいますが、スティーブンもまさにサラブレッド。
2020年から回転(SL)でワールドカップ参戦していて、2本目に残ったのはまだ1回ですが、マテリアルチェンジしてこれからの活躍に期待です!
FIS ALPINE公式:(息子)スティーブン・アミエの公式記録はこちら
FIS ALPINE公式:(父)セバスチャン・アミエの公式記録はこちら
fischer(フィッシャー)
1924年からスキー製造を行っていたオーストリアのメーカーです。
2020年10月にフィッシャーのウクライナのムカチェヴォにある工場が火災にあって大きな被害がありました。当時日本でも話題になりました。
その工場は、欧州最大の生産工場でフィッシャーの総生産量の 60%を占めていたのだとか。fischer以外にも、Beskyd、Tysa、Scott、Stockli、Tecno Pro、Hagan、Rossignol、Alpina、Splitkein、Tecno などのブランドの生産もこの工場で行っていて、国際市場の1/4を提供していたそうです。
工場火災のニュースはこちら
fischer公式サイトはこちら
dominik raschner(AUT)ドミニク・ラスナー
2018年からロシニョールに乗っていた28歳、苦労人のドミニク。自身のとフィッシャーの公式Instagramで発表がありました。ロシニョールの前は、フィッシャーだったので、こちらも前のマテリアルに戻す選択となりました。
2022-2023シーズンは、回転(SL)で2度2本目に残っています。同年クールシュベル・メリベル世界選手権では、パラレル大回転(PL)で銀メダルを獲得していました。
銀メダリストの自信と、新しいマテリアルで活躍してほしいです!
FIS ALPINE公式:ドミニク・ラスナーの公式記録はこちら
番外編
今オフの話題ではありませんが、昨シーズンからずっと気になってたことを・・・。
2014年ソチオリンピック回転(SL)金メダリスト、偉大なMario MATT(AUT)マリオ・マットを兄にもつマット3兄弟のMichael MATT(AUT)ミハエル・マット。
2018年 Pyeongchang Olympic(KOR)平昌オリンピック 回転(SL)で銅メダルを獲得したトップシード選手ですが、2022-2023シーズンは最終戦への出場を逃すなど、ここ数シーズン苦しんでいます。
ちなみに、彼のワールドカップ初1桁 順位の6位の成績は、2016年湯沢苗場大会でした!当時、現地で応援していましたが、滑り方がお兄さんのマリオとそっくりでした!w
2022年5月に長年乗っていたロシニョールからVolkl(フォルクル)へのマテリアルチェンジの発表がミハエルのInstagramでありました。
が、しかし・・・。
同年12月9日「new chapter」とだけコメントして以下の投稿が・・・。
(こちらもミハエルの投稿)
Augment(オーグメント)のスキーに乗っています!シーズン開幕戦のVal d'Isere(FRA)ヴァルディゼールのレースが12月11日だったので、2日前?!直前すぎません!?
同じ日に、オーグメントのInstagramでもミハエルをサポートすると発表がありました。
ワールドカップおばさんもこんなタイミングでマテリアルチェンジは見たことなかったので、びっくり!
よっぽど、フォルクルが合わなかったのか・・・調子が悪くなったのか・・・理由はわかりませんが、マテリアルで苦労していることだけはたしかなようです。
ちなみに、おばさんはこの投稿ではじめてオーグメントを知りました。
オーグメントは、2015年創業したオーストリアの新しいメーカー。体重、身長、体力、スキー技術、普段滑っているゲレンデやコース設定などを考慮して選手に合わせ、最高品質の素材で手作りしているそう。
ヴァンディアも同じ工場なんだとか?
2022年7月には、スピード系種目で活躍しているMax Franz(AUT)マックス・フランツもオーグメントへのマテリアルチェンジを発表していました。
(こちらはオーグメントのInstagram投稿)
Augmentの公式HPはこちら
冒頭でも書いた通り、マテリアルはスキー選手にとって一緒に戦うとても大切なもの。選手の滑りとマテリアルの性能がマッチしないと結果を出すのは難しいものです。
ミハエルは、今オフではいまのところマテリアルチェンジの発表はないので2023-2024シーズンもオーグメントに乗るのでしょうか。
開幕戦でのミハエルのスキーに注目です!
☆これからも気まぐれにアルペンスキーワールドカップについて記事を書いていきます!マガジンフォロー頂けるとうれしいです!