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【追憶の旅エッセイ #59】「くまのプーさん」に会うために、雪と静寂に包まれた動物園へ

動物園にひとりで訪れることって、あまりないと思う。

動物園と言えば、子供の時に親に連れて行ってもらうとか、子供ができて連れて行くとか、学生時代に友達とわいわい行く、とか…。

そのどれでもない、「ひとり動物園」をしたのがこちら。カナダの真ん中あたり、マニトバ州の州都、ウィニペグにある「ASSINIBOINE PARK ZOO」だった。

そこまで動物園好きでもない私が、わざわざひとりでも行こうと思った理由、それはずばり!

「くまのプーさん」の出身地ということでその銅像があるから、というもの。

プーさんは英語圏では「Winnie-The-Pooh」と呼ばれていて、この「Winnie」はWinnipeg(ウィニペグ)を指している通り、モデルのくまさんはこの地出身なのだ。

くまのプーさんファンでもない私が、わざわざ極寒の動物園へ足を運んだのは、シンガポールのマーライオンやコペンハーゲンの人魚姫像などを見たい!というミーハーな欲望に駆られたから、という他ない…。

しかもこの動物園が巨大な公園に隣接しており、サインが少なく、聞こうにも人がいない。そんな環境でマイナス30度を切るほどの寒さの中、後から地図を見て驚くほどの距離をただ黙々と歩き続けるはめに。おかげで到着する頃には、もう帰りたいと思うほどドッと疲れてしまった。

でもとにかく着いたから、と嬉々として切符を購入!

宿のメンバーには「この雪だから動物たちも室内じゃない?何も見れないんじゃあ…」と笑われてしまった(だからひとり)けれど、遠路はるばるウィニペグまで来たからには、自分の目で見るまでは納得が行かないとやって来たのだ。

意気揚々と園内へ突入するも、すでに公園を存分に歩いたため、寒さが骨身に染みている状態。園内に入ったからといって温かいわけでもない、ゴールのない寒さに少し心折れそうになる。

でもまずは目的を達成しないことには…!と向かった、「くまのプーさん」の銅像。

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こ、この子に会いに遠路はるばる

えぇ、これだけの、ことだけどね(何か?苦笑)。

それでも「来たぞ、見たぞ!」から得られる達成感というのを、コツコツと黙々と蓄積していくことに喜びを感じるものなのだ、ある種の旅人というのは。

しかもこの時期らしく、誰かがプーさんにマフラーをしているではないか!こんなプーさんに会えたのもまた嬉しく。

目標達成は秒で終了。後は、おまけみたいなものだから、気楽に園内を散策することに。

プーさんは確かに、それこそシンガポールのマーライオンやコペンハーゲンの人魚姫像のように「世界三大がっかりスポット」感がなくもなかったけれど、でもほかの動物たちは実は結構良かった。

北極グマやトナカイ、アメリカンバイソンなど、寒さに強い動物たちが悠々と歩き回る様子は格好良かった。しかも積雪のため動物を囲む、檻や柵が埋もれて見えず、「野生の動物に遭遇してしまった感」が半端ない。

しかもこっちサイド(人間)はだいたい私ひとりなので、そのスリルと言ったら…!そして私的には、その感じがとても良かったから、このウィニペグの動物園は今でもいい方の記憶に残っているのだ。

私のようにこんな時期のこんな天気の日(雪!しかも平日だった)に、動物園に来る人はやはりかなり限られている。

最初から最後まで、私の他に3人しか出会わなかったから、お互い顔を覚えて挨拶するようになったり。

またあまりの寒さに、持ってきたサンドイッチをトイレで暖を取りながら食べたり、した。あの時のトイレの温かさ、カナダではトイレにまで現代文明が浸透していることに感動したっけ。

そんな風になんとなく、ちぐはぐでバラバラな記憶たちだけど、これが私にとってのウィニペグであり、動物園の思い出だ。

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動物園内の写真がどれも、そう見えない。過酷な冬を生き抜く動物たち、にしか見えない。野生感もスリルもたっぷりだったけど、楽しかったな。

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最後はウィニペグの写真。平均マイナス30度ほどらしく、どこもかしこも歩きにくい。ただモールや室内は例外に漏れず、本当に温かくありがたい。

※写真は全て私が撮影したもの

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m i a*旅する自然派ライター|ゆるサステナ旅
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