10.獣耳
文豪とアルケミストのキャラで30日CPチャレンジ(連続で書くとは言ってない)
史実に基づかないし、文アルに寄せてるかも怪しい、完全個人解釈で好きに書いています。
またCPは日によって変わります。閲覧は自己責任。
本日はなおくめ。
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久米は少し直木に話を聞いてほしいなと思って姿を探していたが、図書館内で見つからなかった。人に聞いてみると、今日は誰も見てないらしい。
もしかして部屋にいるのか?と思って部屋まで行き、ドアを叩く。返事はなかったが、物音がした。どうやら部屋には居るらしい。寝ているのか居留守をしているのか。
「植村?開けるよ?」
声をかけても返事はない。仕方なくドアノブに手をかけると、特に鍵はかかってはなかった。ドアを開けて中を確認する。カリカリと物音がするので、どうやら小説を書くのに集中しているようだ。
たくさんの原稿用紙が広げられ、半分以上は小さい文字で埋められている。部屋の中心には部屋の主である直木が、うつぶせになりカリカリと書き物をしていた。直木が原稿を書く時のいつも通りの様子だ。
直木の頭から、キツネのような耳と尻尾が生えてなければ。
「う、植村?!何その耳と尻尾!」
「…………」
「植村!!」
「あ?なんだ久米か」
邪魔するなよ、という感じで再び原稿に視線を落とした直木に、思わず久米が手を止めさせる。
「なんだじゃないよ!何、その耳と尻尾!」
「あぁ、これか?俺も分からねえ」
直木がそう答えると、耳がぴこぴこと動く。どうやら飾りではなく、本当に生えているようで、尻尾を見るとゆったりと左右に揺れていた。
久米がゆっくり手を伸ばして触ると、髪と同じ感触のようで、しっかりともっふりしていた。
「何触ってんだよスケベ」
「なっ……」
突然思ってもない事を言われて焦ったが、ニヤニヤと直木が笑いながら言ってるのに気付き、久米はからかわれたものだと気付いて咳ばらいをした。
「本当に耳と尻尾が生えてるとは思わないだろう。神経あるの?」
「あるぜ。それに、ほら」
直木が横の髪を少しかきあげると、本来人間の耳があるべき場所に耳がない。代わりに頭の方に生えているキツネ耳が僅かに動く。
「どういうわけか、今朝からこんな状態だ。外に出るわけにもな……」
「あ……そうか。植村も困ってるよね」
「いや?せっかくだしこれをネタに小説を書いてた所だ」
そう言って、直木は横にあった原稿を一枚ぺらりと久米に見せる。その内容はキツネ耳が生えた人物が主人公ではなく、その友人が振り回される話のようだ。
「自分の事をネタに書いてるんじゃないの?」
「オレはこっちの方が面白いと思ったんだよ」
待ってろ、今書き上げるからと原稿に向き合おうとする直木を、再度久米が止める。
「原稿も良いけど、君今日1日外に出てないんだよね?食事した?」
「食事?」
久米に言われて答えるように、直木の腹がぐぅと鳴る。
流石にこの耳と尻尾のある状態で食堂に行く気にはならなく、1日部屋にひきこもるなら一本何か書こうと書き始めていたのだ。思えば食事をしていない。
「この格好で食堂とか行くわけにもいかねえだろ」
「それはそうかもしれないけど……」
「つか、久米は何か用があって来たんだろ?」
直木は横なっていた身体を起こすと、原稿をある程度まとめ丸テーブルを引っ張り出す。流石にわざわざ部屋を訪ねに来たと言うのは、相当何か話をしたい事があるというのは察するに十分だ。
本来久米の事を考えれば、バーの方が酒も入って色々話しやすいのかもしれないが、今の直木は身体が妙な事になっているため、あまり外出はしたくない。なら、部屋で話を聞くしかないな、と判断したのだ。
久米はこんな状態でも話を聞いてくれるのがありがたかったが、食事抜きは本人が良いと言っても身体が心配になる。
「……少し話を聞いてもらおうと思ったんだけど、植村がそんな状態なら……」
「別にオレの事は気にしなくて良いぜ。あ、酒飲むなら自分で持って来いよ!」
「はぁ……わかった。ちょっと待ってて」
久米はそういうと、一旦直木の部屋を後にした。お酒もそうだが、多少なりとも食べられるものを持って来ようと思ったのだ。
直木は自分の身体に異変が起きてても気にせず話を聞こうとしてくれるのはありがたいのだが、多少は自分の身体も考えて欲しい。
その後直木の部屋に少し多めに持って行った食事は、話が盛り上がりお酒を飲み酔った久米に大半が食べられる事になる。
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文アル世界観だと、久米先生の愚痴やらなにやら気兼ねなく話ができる相手に直木先生の名前があるんですよね。
尊敬してる的な事も最初の転生研究の時に言ってるんですが、結構直木先生の無茶ぶりに巻き込まれる感じは強いですよね……?笑。
もうちょっとCPっぽい話になれば良かったんですが、どうにもならんでした!(大の字)
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