#95 天敵は誰にでも
ウナギの稚魚は高級品だといわれています。なかなか手に入らないと言われています。そのため、あるとき日本のウナギ専門の業者がカナダでから稚魚を空輸しました。ところが、移動中に9割の稚魚が死んでしまったというのです。
原因はストレスでした。ということは、1万匹のうち日本に着く頃には1000匹しか生きていない計算になります。この問題を解決するため試行錯誤が繰り返されました。なんとかして、その生存率を上げるためいろんなことを試したのです。
どうしたらストレスが減るのか
もちろんその答えは教科書にもインターネットにも載っていません。試行錯誤の連続です。例えば、クラシックの音楽を聴かせるとか・・・ いろんなことを試してみたそうです。 ところが、残念ながらなにを試しても効果がなかったそうです。もうあきらめかけたころ、あるとき、9割の稚魚が生きて日本に着いたのです。
「えっ、どうして?」 誰もが当然不思議に思いました。
そのとき、稚魚の水槽にナマズが一匹、紛れ込んでいたのだそうです。ナマズはウナギの稚魚の天敵です。つまり、稚魚を生かしていたのは稚魚の天敵であるナマズだったのです。稚魚はナマズに食べられまいとして、逃げ回ります。だから元気でいられるのです。うなぎの稚魚にとって、ナマズは確かに迷惑な存在です。ですが、その迷惑な存在のおかげで、多数の稚魚は生存できるのです。その意味では恩人になります。
稚魚にとってナマズは敵です。本来敵がいない方が稚魚は長生きできるものと考えますが、実際はこの天敵のおかげで稚魚は元気でいられたというのです。
私たちは、敵なんていないほうがいいと誰しも思います。私たちの人生においても自分にとってこのナマズみたいな存在の人っていませんでしたか?「あいつさえ、居なければ・・・」って思う自分の苦手な人。誰にも思い当たるのではないでしょうか。子どものころの教室に、社会に出てから職場に、そういう存在の人が必ずいるものです。
「なんでまた・・・」という思い。ところ変わっても、逃げようとしても、避けようとしても必ず現れてくるこのナマズのような存在。「なんで私ばっかり・・・」という出来事は、それがあなたにとって必要な存在だからです。でも、頭でそうわかっても、なかなかそう思えないのが現実ですが。
しかし、それでこの話は終わっていませんでした。この「天敵に対してどのような態度をとるかがその後の人生を決める」と私の読んだ本は読者にくぎを刺していました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。