#122 大切なことはすべて学校で学んでいる
学級担任になると、必ず誰でもしなくてはならないのが、学級経営です。学級経営の具体的な中身は知っていても、なぜ学級経営が大切なのかすぐに答えられる先生は意外と少ないのではないでしょうか。
みなさんは会社でも学校であっても、仕事をする上で最も重要なことは何だと思いますか?
私は、それは「人として守らなければならない基本的なこと」をちきんのやることだと思っています。そして、だれもがそのことを学校で教わっているはずです。
例えば、
「人に会ったら挨拶をする。」
「何かをしてもらったら、お礼を言う。」
「仲間はずれをしない。」
「嘘をつかない。」
「間違ったことをしてしまったら、勇気を持ってごめんなさいとあやまる。」
「自分の順番を守って並ぶ」
といったことです。
要するに当たり前のことです。
私たちはこのような人として守らなくてはならないことをきちんとすることをひと言で「礼儀正しさ」と言っています。
ところが今の社会の中でこれをきちんとできている社会人がどれだけいるでしょうか?実はあまりいないと私は思っています。
だから、仕事がうまくいかないのです。
学校の教職員も会社員であっても、仕事は一人でするものではありません。いつも誰かと共同で行うものです。上司や同僚、社内(校内)の関係部署、お客や仕入れ先(学校だと保護者)。そうした多くの人々とコミュニケーションをしながら、いっしょに作りあげていくのが仕事の本質です。
ところが、当たり前の礼儀を怠たったため、相手が気分を害してつまらないことでトラブルになったりするものです。その結果、余計な仕事を増やしてしまう。無駄な時間を費やし、しかも仕事の質が悪くなる。何もいいことはありません。
逆に常に礼儀を尽くして仕事をしていれば、相手にも大切にされます。日々の仕事もスムーズに進みます。時には、適切な人を紹介してくれたり、耳寄りな話を教えてくれたりするものです。また何かミスがあっても、「そんなに気にしなくていいよ」と気持ちよく手を差し伸べてくれるかもしれません。
こう考えると、「礼儀正しさを子どもたちに教えることは最大の『生きる力』を教えること」になると思います。
ただ注意しなくてはいけないことは、「礼儀正しさ」の本質を知らないと、「形だけ」のものになってしまいがちです。たとえば、「敬語をよく使っていても、どこか無礼な人」って職場の中にいませんか。もちろんきちんとした敬語を話すのは社会人としての基本です。しかし、行動が伴わなければ「慇懃無礼」と受けとめられ、かえって失礼に当たるものです。
それでは礼儀正しさの本質は何でしょうか?
それは「相手を尊重する」ことだと思います。きちんとしたあいさつをするのは、相手に敬意を表すためです。誰かを仲間はずれにするということは、その人を尊重しないと言うことです。嘘は相手の誠意を尊重しないこと。そして間違ったことをしても謝らない人は、自分を守りたい人です。つまり相手より自分を大事にしているのです。
この「相手を尊重する」という気持ちを持たないまま、形だけの挨拶、お礼をしても、いずれ化けの皮が剥がれてしまうものです。いくら完璧な敬語を使っても、相手を尊重する行動を取っていなければ、相手には通じないのです。
服装一つとってもそうだと思います。
誰かと会う時は、きちんとした服装にする。間違えないでください。何もファッショナブルな服で着飾ることではありません。それは自分をただ着飾りたいだけです。いわば自己顕示欲です。プライベートでおしゃれを追求するのはけっこうなことですが、仕事の中にそれを求めるのは筋違いです。まず何よりも清潔であること。これは相手に対する最低限の敬意です。
時間を守ることも、相手を尊重する事にほかなりません。時間厳守は社会人の鉄則です。これを破る人は、たとえどんな能力があっても、一人前とはみなされません。人にとって時間は、最も貴重な財産です。1日24時間。すべての人が同じ条件の下で生きています。限られた時間の中で最大の成果を生み出すために、みんな懸命に働いているのです。そして過ぎ去った時間は二度と戻ってきません。どんなにお金を積んでも、無駄に費やした時間を取り戻すことはできないのです。
つまり遅刻をするということは、相手のかけがえのない時間を奪っていることに他ならないのです。時間を守らない時点で、一番大切な礼節を欠いていることになるのです。
誰も自分の人生を傷つける人など大事にはしません。
人は自分のことを大事にしてくれる人を大事にするのです。
自分を大切にしたければ、まず相手を尊重することです。これこそ「人生の普遍的な原理」だと思います。
以上述べてきた、「人として守らなければならない基本的なこと」や「相手を尊重すること」を子どもたちが学ぶのはどこですか?学級担任であるあなたの教室なはずです。それを教えるはずの先生がただ何となくとなりの先生と同じことを無頓着にしているだけではいけないのです。これらのことを理解した上でもう一度ご自分の学級経営を見直してみてください。そうすると、学級で子どもたちに取り組ませること、守らせる約束などに全て深い意味があることがわかってくるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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