#58 先生、「がんばろう」の乱発にご注意!
「がんばろう」という言葉は、大人が子どもに対して無意識に使ってしまいがちな言葉ですが、この言葉には2つの問題があるように思います。
ひとつは、
「何をがんばるのか」
「どうがんばるのか」という具体性なしに使われることが多いということ。
もうひとつは、そもそも多くの子どもたちは、
自分は「がんばっている」と思っており、実際にそうであることが多いです。がんばっている時に、「がんばろう」と言われるほど、苦痛なことはありません。自分の立場に置き換えてみるとよくわかると思います。
自分は今、精一杯頑張っていると思っているのに、「がんばろう!」って言われるってことは、とらえかたによっては、自分が今頑張っていることが評価されていないということになると思います。それって頑張っている人にとってとても失礼で、むなしいことじゃありませんか。
また、努力した末に失敗してしまい落ち込んでいるときの「がんばろう」という言葉は最悪の励ましの言葉になってしまう場合があるものです。失敗した後の「がんばろう」は、ほとんどの場合が頑張っていないから失敗したんだよという意味に受け取られてしまうことがあるのです。
「がんばろう」という言葉自体は、決して悪い言葉ではないと思いますが、相手の気持ちを考えずに気安く「がんばろう」を無責任に使うことは、言われた相手のモチベーションを下げてしまうこともあることを理解しておくことが大事だと思います。
身近な言葉だからこそ、大人たちはその使い方に注意して、安易に子どもたちへ「がんばろう」と言うのではなく、状況にあった適切な励ましの言葉を探す努力を怠ってはいけないと思います。だから先生は、「がんばろう」を言い換える達人になってほしいと思います。
でも、どうしても「がんばろう」という言葉しか見当たらないときは、その前に「いっしょに」を添える優しさを持ち続けたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。