(キリ)266代目と126代目
タイトルだけ見たらなんのことだか分からないかもしれないが、この11月、キリスト教界にとって歴史的な出来事が実現することが明らかになった。
それは、ローマ・カトリック教会の第266代教皇フランシスコが来日をするということだ。ローマ教皇が来日するのは、「空飛ぶ教皇」として生前世界100ヶ国以上を訪問しまくっていたヨハネ・パウロ2世以来、38年ぶりのことである。しかも、長い日本のキリスト教史を紐解いてもローマ教皇が日本に来るのは、なんと今回が2回目!チベット仏教のダライ・ラマ法王は、ちょくちょく日本に来てくれるのに、これまで1回しかローマ教皇は日本に来ていなかったなんて…。
まぁ、そんなことはさておき、時代の節目となった令和元年に、ローマ教皇が来日するというのは、少なからず、126代目となる新天皇が即位が関係しているものだろう。実際、明らかになった訪日スケジュールには、天皇陛下との会見なども予定されているし、即位のパレードが10月下旬に行われることから、一連の即位行事が終了したタイミングを見計らってのことだと考えられる。
ちなみに、ローマ教皇も天皇も「亡くなる=退位」なのだが、フランシスコ教皇の前の教皇、ベネディクト16世も生前退位をしていることから、両者とも前任者が存命中という珍しいケースとなった(尚、ベネディクト16世は716年ぶり、第125代明仁天皇は202年ぶりの生前譲位)。
266代目ローマ教皇と126代目天皇(※)。世界の歴史を遡っても、これだけ脈々と受け継がれる「権威」も珍しい。それがこの令和元年に相まみえることになろうとは。
時代、時代によって様々に「価値」を変えて現代に受け継がれている「権威」。11月の日本での邂逅は、どのようなものになるのか。楽しみにしたい。
※初代とされる教皇ペトロが就任したのは紀元30年。一方、初代神武天皇が即位したのが、紀元前660年だとされているので、歴史的には天皇のほうが古い。にもかかわらず、教皇の数の方が多いのは、最晩年に教皇に就任する人が多いからですかね…(20世紀に入って天皇の入れ替わりは4人に対し教皇は8人)
(Text しづかまさのり)