2000年前から、不倫で叩く人達
緊急事態宣言が解かれ、コロナ関連のニュース一色だったメディアも、日常の下世話な話題が取り上げられるようになりはじめた。
そんな中、今、1番、ワイドショーを賑わせているのが、某人気芸人の不倫の話題だろう。白日の下にさらされる数々の不貞行為に、TVや雑誌はもちろん、インターネット上でもバッシングの嵐となり、日を追うごとに、その批判の声が加熱し、一部、過激化をしている。コロナでストレスを抱えた人々の、格好の捌け口になった印象だ。
さて、新訳聖書に「姦通の女」というエピソードがある。
律法学者たちやパリサイ人たちが、姦淫をしている時につかまえられた女をひっぱってきて、中に立たせた上、イエスに言った、「先生、この女は姦淫の場でつかまえられました。モーセは律法の中で、こういう女を石で打ち殺せと命じましたが、あなたはどう思いますか」。(〜中略〜)彼らが問い続けるので、イエスは身を起して彼らに言われた、「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」(ヨハネによる福音書8章2−11)
不貞行為を行った女性を石打ちにしようとするパリサイ人達に対し、キリストが「罪を犯したことのない人が、まず石を投げなさい」と言い、結果、誰も石を投げる者がいなかったというこのエピソード。やり方は違えど、ネットバッシングをしている人と、何ら構造は変わらない。
人間は悪趣味なことに、2000年前から「罪を持つ人」を徹底的に叩くくせに、大衆に紛れ、絶対に安全な場所からしか石を投げられないわけだ。
確かに、叩かれる側には否があり、叩く側の意見に理がある場合が少なくない。しかし、大勢による過剰なまでの叩きは、集団リンチに何ら変わりがない。しかも、それが「悪意」というより、正義感によるところが強いから、たちが悪い。
「姦通の女」のエピソードでキリストは、「わたしもあなたを罰しない。お帰りなさい。今後はもう罪を犯さないように」と言い、女の罪は赦された。では、パリサイ人の「罪」は、赦されるのだろうか…。
(text しづかまさのり)
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