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kintone事業5年目でようやくアソシエイトを取得した話。

まず、詫びないといけない。
これから、わざわざ記事にする程でもない話を書くのだから。

私は、5年前にワークログ株式会社を立上げ、創業期からkintoneを活用したアプリ開発や伴走支援の事業を行ってきた。一般企業だけでなく自治体への支援も行い、いまでは神奈川県のDX推進アドバイザーとして主にノーコードツールの活用を進めている。kintoneに関しては、それなりに経験を積み使いこなしている方だろうと自負している。

そんな私がアソシエイトを取得したとて、何の自慢にもならないどころか、もはや「今更取ったのか」「むしろ持ってなかったのか」というツッコミも聞こえてくる。

ただ、資格を取得して思ったのは、「実務と資格は違う」ということだ。

実務でkintoneを使っていても、資格を取得するためには、それなりに勉強が必要だった。そこで、私が行った勉強内容について記しておこうと思う。


kintone認定アソシエイトとは

kintone認定アソシエイト

そもそもこのアソシエイトという資格は、サイボウズが提供している認定資格の1つであり、kintoneの初心者が基礎知識を身に着けた証として取得するものだ。

出題範囲は、アプリの作成、スペース、管理者権限、契約やモバイルなど広範囲にわたる基本的な知識を問われる。kintoneを学び始めた人にとって、網羅的に知識を身につけるための資格と考えれば適切であろう。

実務と資格は違う

アソシエイトを取得することに決めた私は、まずWebで受けられるサンプル問題5問を解いてみることにした。資格を目指すにあたり、自分の知識レベルと、合格に必要な知識レベルとの距離感を把握しておくことは非常に重要である。

そして私は驚愕した。

アソシエイト サンプル問題 採点結果

結果は5問中2問正解。
合格に必要なラインは正答率70%であるため、当然ながらこの結果では合格できない。

たまたまかもしれない、という何の根拠もない説で自分を説得し、時間をおいては解き直し驚愕するということを半年程繰り返した。そう。これが現実逃避というやつだ。

実務と試験は何が違うのか?

例えば下記のような問題。

「ファイルから読み込む」機能において、Excelファイルを読み込むことで一度に1万件のレコードを登録することができる。

回答は✗だ。Excelファイルで一度に読み込める件数は1万件ではなく、1,000件までである。

kintoneの「ファイルから読み込む」機能の操作画面

実務をしていれば、当然Excelから一括登録することができるのは知っていると思うが、なかなか1,000件という上限値までは覚えていない。画面をよく見てみると注意書きがあるが、普段CSVでデータファイルを扱っていればこのエラーに引っかかることはない。

また、組織の事前設定という機能は、全社で同時期に部署異動が行われるような場合に、予めユーザや組織の設定変更を予約できる機能であるが、比較的大きな組織でしか使われない機能であろう。

資格取得のために取り組んだこと

私のように、ある程度業務でkintoneを既に利用している人であれば、まず過去問から取り組むことをおすすめする。

kintone認定アソシエイト試験 練習問題

kintoneには多くの機能が実装されているが、その中でも出題されやすい機能と、そうでない機能が存在する。そのため、いきなり全機能を理解しようとするよりも、過去問を解いて出題傾向を把握することが効率的である。

アソシエイトの資格であれば、サイトに練習問題が45問×3セット用意されている。この練習問題を繰り返し解いていくと、出題傾向がわかるだけでなく、自分が間違えやすい箇所も浮き彫りになってくる。そこを重点的に確認していけば良い。3周もすれば、自分の課題が明確になってくる。

kintone認定アソシエイト試験対策テキスト

kintone認定アソシエイト 試験対策テキスト(第4版)

自分の課題がわかってきたら、そこを重点的にテキストで学んでいく。テキスト内にもスクショは多く掲載されているが、手を動かしてkintoneの画面を確認することでより理解は深まっていく。

私の場合は、テキストをざっと一読した上で、間違えた箇所に下線を引いたり、印を付けたりして頭に入れていった。テキスト内にも練習問題が用意されているので、再度自身の理解を確認することができる。

自分用間違いリストの作成

画面を見て理解したら、これを長期記憶に刻んでいく必要がある。私の場合は書いて覚えるタイプなので、メモ帳にひたすらテキストの内容を書いていった。別の方の勉強法を調べてみるとスプレッドシートにまとめている方もいたが、書いた方が記憶に定着する(と信じている)ため、私はアナログな手法を採用した。

このようなリストを作成しておくと、試験直前にぱっと自分の苦手な項目を確認できるという利点もある。

kintone認定アソシエイト試験対策(Youtube)

kintone認定アソシエイト試験対策動画

kintoneの公式Youtubeチャネルで、試験対策の解説動画が全部で49本公開されている。が、私はあまり参考にしなかった。理由は主に下記だ。

  • 聞き流しであまり頭に入らない

  • テキストとそこまで範囲が変わらない

  • 理解が浅い箇所だけ抜粋するというのが難しい

  • 途中で眠くなる

  • 寝てたらいつの間にか終わってる

一通り見たといえば見たのだが、”ただ再生しただけ”という要素が強く、個人的にはテキストを読みながら手を動かしたり書いて覚えた方が、知識が身につくという感覚だ。

試験結果

kintone認定アソシエイト 合格通知

無事に合格。正答率は83%。
自慢できる程の点数ではないが、一発合格できているので良しとしよう。

試験当日はオンラインで受験したのだが、試験監督とやり取りしながらテーブルを片付けたりディスプレイを隠したりして、落ち着かない状況で試験を受けることになった。また、Mac環境は相性が悪いような注意書きをいくつか見たが、確かに1クリック5秒くらいの処理の重さがあり、非常にストレスだった。Macで受験する場合は、その覚悟で挑むと良いだろう。

これから受験する人へ

冒頭で伝えた通り、受験と資格は違う。

業務でkintoneを活用しているからといって、そう簡単に試験に合格できるわけではない。逆に言うと、資格を持っていれば業務で活躍できるかというと、それも違う。資格はあくまで標準レベルの知識があるという証明に過ぎない。

  • 作りたい仕組みをどのようなアプリ構成で実現すべきか

  • フィールド形式の正しい選定と設定

  • 実務に合わせた運用プロセスの設定

  • 各種プラグインの活用方法やカスタマイズ

  • ロールの管理とアクセス権限の設定、など

実務において学ぶべきこと、経験すべきこともたくさんある。知識を身に着け、経験を積み重ねることで、本当にユーザが求めるシステムが作れるようになる、と私は思う。


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Jumpei Yamamoto
1987年生まれ。慶應義塾大学大学院を修了後、キャリアコンサルティング・IoTコンサルティング・新規事業立ち上げなど幅広い業務に携わる。2019年にワークログ株式会社創業。現神奈川県庁DX推進アドバイザー。 https://www.worklog-inc.com/