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下から上の対話的な働きかけは企業存亡おいて最も重要な要素(他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論)
こんなことを言う人に出会ったことがあります。
◆上に何を言っても意味がない。
◆一貫性がないから上を信頼していない。
◆上は社内ばかり見て社内を見てない。
◆上は社外の人を信頼して社内の人を信頼してない。
◆上と話すと士気が下がるので話したくない。
◆上の発信は意味がわからない。
『上』に該当する人にも、話を聞いてみました。
確かに、言ってることとやってることがリンクしてなくて、軸がないように思えましたし、社外の人を高く評価しているのに、自社の社員のことは評価しておらず、「どうせそんなことできないでしょ、理解できないでしょ」という発言もありました。
もう少し観察してみると、大きな会議や対外的には社員のことを信頼してる風に発信してるけど、実態はそうじゃなくて、社員はそれに気づいているから、社員からすると「また言ってるよ」みたいな感覚を持っているようです。
この『上』とは、組織においても最も上である経営者を指しています(ヒエラルキー型の組織の場合なので、上と下という表現を使っています)。
この組織、客観的に見て、やばいですよね。
上も下もそれぞれを信頼してないから、正直、「何からやる?」という感じで、僕がこの組織の人事だったら・・・って考えると、悩みます。
どんな角度から中心に向かっても、行き着くところは経営者と社員の相互信頼なんだと思うんですけど、向かい方が難しいですよね。
僕は経営者になったことがないので、ここでは経営者の視点で語ることはせずに、社員の目線に立ってやるべきことを少し書いていこうと思います。
社員として立ち返るべきは、「自分はなんでここで働いているんだ?」という問いです。
「経営者が意味不明」と思ってるなら、無理にその会社にいる必要はないかもしれません。
心身の健康的に良くないですよね。
ただ、経営者が云々とか関係なく、『自分がここで働く理由』を明確にできているなら、それを大切にした方がいいです。
『自分がここで働く理由』を明確にできているなら、自分がやるべきことを自分で見出している可能性も高いので、やるべきことをやればいいんです。
自分がやるべきことを整理して、その中に「経営者に意見する」という行動が出てくるなら、物怖じせずに経営者に向かっていきましょう。
忘れないでください、目的は、経営者をやっつけることじゃなくて、事をより良い方向に向かわせることですからね。
現場を知ってるのは現場の社員ですから、社員からの声をあげるというのは、組織の成長においては非常に重要な要素です。
社員から経営者に何かしらの働きかけがあれば、経営者も何かを感じて、社員のことを信頼する方向で動いてくれるかもしれません(わからないですけどね、相手を直接的に変えることはできないので)。
社員がそういう動きを取っても、何も変わらない経営者なのであれば、「自分は本当にここにいるべきなのか?」という問いを改めて立ててみましょう。
経営者に振り回されることに時間を使うなんてもったいないし、何よりも心身の健康が崩れるかもしれないので、自分のキャリアを考えた上で適切な判断をしていきましょう。
※上の事例は、組織規模がそれほど大きくないので、社員と経営者が直接の気軽にコミュニケーションを取れる状況にありましたけど、組織規模に応じて「自分の場合はどうなんだろう」と考えてみてください・・・組織規模とか関係なく、社風や文化によっては経営者や経営陣とコミュニケーションが取れる組織もあると思うので。
こんなことを考えていたら、『他者と働く』に書かれていることを思い出しましたので、以下に紹介します。
この本は、相手とか関係なく、働く上で自分がどんなことを意識して、どんな行動を取るべきなのかを考えさせてくれる本なので、本当にオススメです。
僕も、購入してから何十回も読み直しています。
上の事例で言えば、社員としてどういうコミュニケーションの取り方をすべきなのかを考えさせてくれるはずです。
こういう課題に対しては、「これをやれば正解」という選択肢がないので、実験しながらいろんな手を試す必要はあると思いますが、自身がここで働く意義を明確にできているなら、実験を繰り返す価値はあるはずです。
『他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論』という本には、以下のような内容が書かれていました。
インテルの事業内容が変化し、経営陣がより高度なメモリー戦略をめざして議論を戦わせ、勝算のない戦争をどう戦えばいいか模索し続けていたころ、われわれの知らないところで、組織の底辺を支える社員たちは、戦略転換を実行する準備をしていたのだ。そのおかげで、われわれは生き残り、素晴しい未来を手に入れることができたのである。
何年もの間、経営陣が特別な戦略上の方針として指示したからではなく、中間管理職の日々の小さな決断が、拡大するマイクロプロセッサー事業に生産資源をより多く投入していたのだ。
※『インテル戦略転換』より
◆
グローブを天才経営者と呼ばせるに至る判断のための材料を用意したのは、現場のミドルマネジャーたちだったのです。そして、彼らミドルマネジャーがCPUを作る判断を生み出したのは、現場の一線で働く人々のひたむきな仕事への取り組みの中で得た、新たな事業機会の気づきでした。これらをミドルの人たちはしっかりと育て、そして、今日のインテルの成功の基盤を築いたのです。
既存戦略の転換という巨大なギャップ型の適応課題に対しても、下から上へ対話的に働きかけていくことは、企業の存亡にとって欠くべからざる、最も大切な取り組みだということです。新しいアイデアや事業機会を、対話を通じて、組織の中のナラティヴの溝に橋を架けて生き延びさせることは、企業の来るべき戦略転換にとって、極めて重要な財産になるということです。
★『他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論』を読んでアウトプットしてるnoteは他にもあるので、ぜひ読んでみてください。
本日は以上です。
今回も読んでいただき、本当にありがとうございました。
これからも、「仕事でも私生活でも心をラクにする(ワークライフハック)」をテーマに、心をラクにするキッカケになり得ることを発信し続けます。
「心をラクに」というのは、「快く安らかに過ごしている状態」という意味で使っている言葉であり、「サボる」という意味ではありません(快く安らかに過ごすために、時にはサボる時も大切ですけどね)。
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