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M&Aを成功に導くための企業価値評価のコツ💪
企業を買収する際、適正な企業価値の算定は極めて重要です。
企業価値を過大評価すれば買収コストが膨らみ、一方で過小評価すれば本来の企業価値を掴めずに安くついてしまう可能性があります。
この記事では、M&Aの成功につなげるための企業価値評価のポイントを詳しく解説します。
企業価値評価の主な手法
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(1) DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)
DCF法は、対象企業の将来の収支を見積もり、適切な割引率を用いて現在価値に換算する手法です。事業の収益性や成長性を反映できるため、最も一般的な企業価値評価の方法の1つとされています。
具体的には、対象企業の事業計画に基づき、売上高、営業利益、減価償却費、運転資本投資額、設備投資額などの将来キャッシュ・フローを予測し、適切な割引率(加重平均資本コスト:WACC)を用いて現在価値に換算します。この方法では、成長性が高く収益力も強い企業ほど、高い企業価値が算出されます。
(2) 純資産法
純資産法は、対象企業の貸借対照表上の純資産価値を算出する手法です。事業用資産の時価評価が重要なポイントとなります。
具体的には、有形固定資産の時価評価、無形固定資産の評価、引当金の見直し、繰延資産の評価などを行い、純資産の適正価値を算定します。この手法は、資産を重視する企業にとって適した評価方法といえます。
(3) 類似企業比較法
類似企業比較法は、同業他社の株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)などを参考に、対象企業の企業価値を算出する手法です。
同業他社の株価指標を基に、対象企業の事業特性、成長性、収益性などを考慮して、適正な倍率を決定し、企業価値を算出します。
業界動向や成長性などを考慮する必要がありますが、簡便に企業価値を把握できる利点があります。
企業価値評価のポイント
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特に以下の3点に注意が必要です。
(1) 事業モデルの理解
対象企業の事業内容、市場動向、競争優位性、成長性などを徹底的に理解する必要があります。
事業の特性や将来性を正しく把握しないと、適切な企業価値評価ができません。
(2) 適切な前提条件の設定
収支の見積もりや割引率の設定には、合理的な根拠が必要です。過度に楽観的な前提を置くと、企業価値を著しく過大評価してしまう可能性があります。
業界動向、競争環境、経営戦略などを踏まえ、慎重に検討する必要があります。
(3) 相乗効果の見積もり
M&Aの目的の1つが、買収後の経営統合による相乗効果の創出です。人材の相互活用、営業力の強化、コスト削減など、様々なシナジー効果が期待されます。
ただし、これらの効果を過大に見積もってはいけません。
実現可能性を慎重に検討し、適切に評価する必要があります。
事例に学ぶ評価のコツ
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・事業ポテンシャルを重視した長期的な視点
過度に短期的な収支見通しに囚われることなく、
対象企業の中長期的な事業ポテンシャルを評価の中心に置くことが重要です。
・保守的な前提条件に基づく丁寧な検討
楽観的な仮定を設けず、
むしろ保守的な前提条件に基づいて慎重に検討することが不可欠です。
・相乗効果を慎重に見積もり、適切に織り込む
買収後の経営統合によるシナジー効果は過大に見積もらず、
実現可能性を十分に検討して適切に評価する必要があります。
M&Aの成功には、公正かつ適正な企業価値評価が不可欠です。
事業特性の深い理解、合理的な前提条件の設定、相乗効果の慎重な見積もりなど、多角的な検討が重要となります。
この記事で紹介したポイントを意識しながら企業価値評価に取り組めば、
M&Aの成功につながるはずです。