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短編小説「対義」

*この小説は暴言を含みます。
嫌な方は見るのをやめておいてください。

みんな一回は思ったことはないか?
(この人嫌いだな)と。誰にでも好き嫌いはある。物でも、価値観でも、例えそれが人であっても。
この好きと嫌いの対義がこの世界を狂わせる。
まぁ前置きはこの程度、それではどうぞ。

俺は今高校一年、入学したてだ。そして入学したてで嫌いな奴が出来た。それは俺のクラス6組にいるゴリラみたいなやつ。まぁあだ名がゴリラなんだがな笑。
「なんと言っても授業中うるさい!せっかく教師が目の前で話しているのにそのゴリラというやつはベラベラ喋ってやがる。ふざけるなよ!こっちはお前の話聞きたかねぇーんだよ!」
「そうかい、そうかい。お前も疲れてんだな。少しは頭でも冷やしたらどうだ?」
○ックで俺はゴリラの愚痴を言っていた。
俺の愚痴に相槌をして聞いてくれているコイツはゴリラの相棒の通称チンパンジー。
酷いよな。ゴリラと一緒にいるだけでこんなあだ名を付けられる。ほんと人ってゴミだよ。
「いぃやぁ!頭冷やすどころか頭だけ冬眠させたいね!アイツの話聞かないですむなら死んでもいいわ!」
俺の愚痴にチンパンジーは頷きをする。
「いやぁ…俺も思ってんだよ?アイツ…ゴリラは最近調子乗ってんなって。まぁ俺はあだ名チンパンジーだし?巻き添え食らってるくらいだしな。」
チンパンジーが俺の愚痴に更に愚痴を乗せてくる。
「いやぁもうアイツ停学…いや退学でええんちゃうか?!謹慎でもええから一回居なくなってほしいわ!」
チンパンジーがさっきよりもすごく大きい頷きをする。だがチンパンジーは愚痴では無い話をしてきた。
「でもホント人って好き嫌い分かれるよな…物でもそうだし、人でも…人って深いな。」
チンパンジーにしては中々深いこと言うな…と思い俺は少し涙を流す。
「何で涙流してんねん。こんな事で涙流すなら他のとこで泣けや。」
「いぃやぁ!絶対にやだ!あんなゴリラがおる場所で泣きたくないわ!絶対いじってくる!」
そう俺が言うとチンパンジーは確かにという顔で頷く。
こんな話もはや1時間。よくゴリラの事だけでこんな話が続くと思うよ。
「さてと、そろそろお開きにするか。ゴリラの愚痴はめっちゃ聞いたし。」
そう、チンパンジーが言うと俺もそろそろ話を終わらせたかったので丁度いいタイミングだと思った。
「いやぁありがとな。チンパンジー。こんな愚痴に付き合ってくれて。」
「いやいや当たり前だよ。俺もアイツ嫌いだし。」
そう言いながら俺たちは○ックを離れようとした瞬間、後ろから聞き覚えのある声がした。
「さぁて…誰が俺、ゴリラの愚痴を言っているのかな?話してもらおう…」
悟った。俺とチンパンジーには明日の命は無いと。

〜完〜

*この物語はフィクションです。

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