第2回WorkwriteNovels月例賞_選考結果
こんにちは。WorkwriteNovels運営です。
4月から開催しました月例賞の第2回、、今回も十数件の応募があり、レベルの高い作品も多く、審査員も選考に悩みました。
1回目よりも、テーマへのアプローチや書き方が向上していたのではないかと感じております。
ようやく選考としてまとめることができましたので、発表させていただきます。選考が厳しかったこともあり、話し合った結果、4作品が選ばれる形となりました。
入賞作品
<タイトル>新婚なのに妻が冷たい平安貴族が猫を拾う話
<作者名>朱音ゆうひ
審査員のコメント
何気ない心理描写、小道具の使い方が上手いですね。
「雨上がり」というテーマの使い方が良い
今回の応募作の中では頭一つ上。短編でこのレベルが出てくるとは……
特別賞
<タイトル>雨上がりが好きの種類
<作者名>櫛田こころ
審査員のコメント
「雨上がり」に対してのアプローチが良いですね。
友情から恋愛への変化が丁寧。内面描写も良い
良い作品だが、恋愛がメインになってしまっているのが惜しい
<タイトル>ガリア奴隷、逃亡す
<作者名>美風慶伍
審査員のコメント
友情というテーマに即して丁寧に描いている
展開もストレートで良い
キャラクターのパーソナライズをもう少し物語に反映できれば良かったかな
<タイトル>青い光の記憶
<作者名>紫イモ男爵
審査員のコメント
友情のまた一つの形。
友情から恋愛への変化が丁寧に描かれている。
「闘病」の方がメインテーマになってしまっているね。
【総評】
レベルの高い作品が多く、審査は本当に悩みました。
その中でも重視したポイントは次の2つです。前回の課題は解消され、さらにレベルアップした作品が多いように感じました。
【審査ポイント1】テーマに対する回答はあるか
ちょっと要求の高い話になってしまいますが、それだけ今回の作品もレベルが高く、非常に競っていて悩みました。
その中でも審査員たちの中で決め手となったのは、このポイントです。
今回、もっとも多くの人が扱っていた構成が「友情が恋愛に変わる瞬間」を描いたものでした。友情が、いつのまにか好きに代わり、めでたしめでたし。
それ自体は別に良いのですが、「じゃあ友情って何?」という回答が欲しい。つまり、「友情の延長線上に恋愛があるのではなく、友情というものが確かにそこにあって、その上で、それが恋愛にある瞬間から変化した」という、関係性の変化を描けている作品が評価されました。
【審査ポイント2】入賞作品の完成度の高さ
朱音ゆうひさんの「新婚なのに妻が冷たい平安貴族が猫を拾う話」は、満場一致で入賞に。他の応募作品と比べて、テーマの使い方が飛び抜けて上手な印象でした。
以前に新城カズマ先生や編集者の中津さんがお話ししてくれたことですが、創作の中に、「雨」というのが意味なく出てくることはあまりありません。
登場人物の気分が沈んでいることだったり、鬱屈とした気持ち、マイナスイベントの演出として使われることが多いです。
では、本著はどうだったかというと、登場人物達の関係が悪化している時はずっと雨が降っており、彼らの関係が改善の兆しを迎えたところで雨があがる。作品自体の丁寧さと、テーマの持つ力と意図を正しく発揮しているという点で、入賞となりました。
【審査ポイント3】あと一歩の作品の多さよ
特別賞に関しては、本当に接戦だったと思います。(なので、規定から外れて同着ということで3作品の受賞となりました。予想より応募数が多かったこともありますが……)次回に期待したいと思います。
総合コメント
作品の描写、登場人物の造形、ストーリー展開などは基本的にハイレベルでした。書籍化作家さんが多いこともあり、自分の強みを活かした作品作りは非常に上手な人が多いという印象です。
ただ、テーマが与えられた途端、結構ガタガタになってしまったり、テーマをうまく使えない作品が多くなってしまうのかなと。恋愛作品なら花丸なのですが、「友情」が踏み台になっている恋愛作品が多い印象でしたね。
お仕事の依頼で、テーマを与えられることって結構あります。ジャンルの指定もあれば、世界観の指定など。
特に、人気作品のノベライズ企画だと、こういったテーマを与えられた作品作りになれていないと、原作の世界観をガン無視した作品に……なんてことになったりします。
自分の作品に停滞を感じていたり、新しい自分の作風を探している人には、刺激になってくれていればいいなと思います。
以上。それではまた。