秋がほしい
1年ほど前から仕事の都合で東南アジアの国に住んでいるんですけど、一番苦労するのは季節がないことですね。
まあ、正確に言うと季節はあります。
ただし乾季と雨季の二つだけ。
つまり、一年中暑いということは変わらなくて、雨が多いか少ないかということだけが季節をつくっているのです。
以前の私は、一年中あったかいとか最高じゃん、と思っていました。
でもやっぱり、思うと経験するのは違うこと。
ずっと夏って結構しんどい。
季節が変わらないと気温が変わらないし、
気温が変わらないと風景が変わらないし、
風景が変わらないと気持ちが変わらない。
日本にいたときは、桜を見て出会いと別れを感じて儚くなって、青々とした新緑を見て目前の夏休みにワクワクして、ヒグラシの鳴き声で夏の終わりに悲しくなって、秋晴れを見てスッキリと気持ちがよくなって、紅葉を見て季節の移ろいにしみじみとして、寒くなって衣替えをしながら冬休みの予定にワクワクした。
でも、この国は永遠に夏なのです。
ずっと夏休み前のような、元気で前向きな気持ちの国なのです。
元気でエネルギッシュなのはとても良いことだけれど、ずっととなると結構しんどい。
寂しいような儚い気持ちになりたいときもあるし、
遠い過去を振り返ってしみじみと思い出に浸りたいときもある。
季節って、いろいろな感情を呼び起こしてくれる大事なものだったのですね。日本にいたときは気づかなかったよ。
色づく紅葉を見ながら、しみじみとしたいんだけどなぁ。