赤いドレスで田んぼを歩いてはダメか。
電車に乗ると、原色の服を身にまとった女性たちが多く目に付いた。
赤、黄色、緑、オレンジ、上着やパンツだけならまだしも、全身原色の人もいる。赤とオレンジ、青と黄色など、それぞれの色を身にまとった女の子2人組が目立つ。そして大抵みんな大きなトートバッグを方から提げている。
ある女の子のトートバッグからうちわの柄らしきものが見えた。
そうだ、今日は近くのアリーナで、ジャニーズのライブがある予定だった。
メンバーカラーがあるアイドルグループのライブに行ったことがある。
大抵みんな自分の推しているメンバーカラーを身にまとっていた。
そしてみんな、原色が多い。メンバーカラーが赤だとしたら、赤を身に纏うのだ。
緑だとしたら、緑。黄緑とか薄い緑とか、そういうのではなく緑だ。
彼女たちは何故こんなにも鮮やかな原色を身に纏うのだろうか。
言うまでもなく自己主張だ。周りの人に"私はこの色のメンバーが好きですよ"と訴えているのでは無いだろうか。あわよくばライブ中にそのメンバーに見つけてもらえるかもしれない。直接メンバーと喋ることは出来ず、"あなたのことが好きです"と伝えることが出来ないアイドルとオタクの関係性だからこそ、うちわや服装で"あなたが好きです"とアピールする。
ライブでメンバーカラーの服を着るオタクたちは、普段の生活からそのメンバーカラーを選ぶ習性がある人もいる。
好きな色を選んでくださいと言われればメンバーカラーを選ぶし、普段の服装やアクセサリー、財布、あらゆる所にその色を忍ばせる。
別に誰かに見てもらう訳ではなく、その色を身に纏うことが彼女達のアイデンティティだ。
そもそも服装はTPOだとか、流行のファッションだとか、誰かのためだけに着る服装は私は好きではない。
服なんて着たいものを着たい時に着ればいい。
原色をを重ねても、柄を重ねても、その服が着たいと思えばなんでもいいと思っている。
よく、服なんてなんでもいい、着ていればなんでもいい、ユニクロでいい、なんて人がいる。もちろんそれも価値観だからそんな人もいていいと思う。
でもやっぱり、服装で自己表現する人達は豊かだと思う。
髪型やネイル、化粧も含めて、だ。
自分の長所を聞かれてもすぐに答えられない人が多い日本人。
自分を語ることを苦手とする日本人。
服くらいは、自己表現してみてもいいのでは無いか。
就活の面接で、スーツで1列で並んでも、個性なんて分からない。
スターバックスが、服装や髪型の指定を辞めた。
自分らしい見た目で働きましょう、と。
凄くいい試みだと思った。
毎日制服を着て幼少期を過ごし、会社に入っても規定が沢山ある中で服装を選ばなければいけない。私服OKの職場でもオフィスカジュアルなんて言葉がある。
私たちが服で自己表現を許されているのは、学校や仕事のない休みの日だけだ。
その僅かな時間でしか服装で自己表現出来ないのであれば、そりゃユニクロでいいや、になってしまう。
なんでもいい、どうでもいい、考える時間が無い、もはや服装を考える訓練というものをしてきてないのだから"わからない"。
服装なんてどうでもいいと言う人の大半がそうでは無いか。
相手を不快にさせないというルールは大前提に欲しいが、私たちはもっと服装や見た目に対して自由でいいのではないだろうか。
スーツや制服をとっぱらって、"私服でも、スーツでも、制服でもいい世界"が来ればいいと思う。
そうすればきっと"ユニクロでいい"では無く、"ユニクロがいい"と思ってユニクロを着る人が増えるだろう。
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