【I#003】『外国為替証拠金取引』について【基礎知識と投資方法】
こんばんは!
本日午後の投稿は『外国為替証拠金取引について』の全文を投稿します。
『外国為替証拠金取引について ~基礎知識と投資方法~』
《目次》
第0章 はじめに
第1章 FXとは何なのか?
第1節 FX(外国為替金証拠金取引)
第2節 FXで利益を出す仕組み
第3節 FXが注目を集めている理由
①好きな時間に取引ができる
②少額の資金で始められる
③場所を選ばない
第2章 FXの基礎知識
第1節 まずはこれだけ!FXの初心者用語
①通貨ペア
②始値 / 終値
③高値 / 安値
④チャート(ローソク足)
⑤レバレッジ
⑥スプレッド
⑦ロット(Lot)
第2節 実際に取引を始める前に!FXのトレード専門用語
①Pips
②ロング / ショート
③ファンダメンタルズ分析
④テクニカル分析
⑤ゴールデンクロス・デッドクロス
⑥トレンドライン
⑦成行注文
⑧指値・逆指値注文
⑨ロスカット
⑩順張り / 逆張り
⑪利益確定 / 損切り
⑫両建て
⑬スワップポイント
⑭証拠金
▷必要証拠金について
▷有効証拠金について
▷余剰証拠金について
⑮経済指標
第3節 4つのトレード手法について
▷01_ポジショントレード
▷02_スイングトレード
▷03_デイトレード
▷03'_スキャルピング
第3章 基本的なFX取引の方法
第1節 経済ニュースとチャートをチェックしよう!
第2節 トレンド転換・トレンド継続サインを見極めよう!
第3節 トレードの検証をしよう!
第4章 おすすめのFX会社
第1節 FX口座開設の方法
第2章 FX会社を選ぶ基準
第3節 おすすめのFX会社
第5章 総括
◇トレード手法について
第0章 はじめに
今回の投稿から「外国為替証拠金取引」についても紹介していこうと思います。
〝外国為替証拠金取引〟について聞いたことがあるでしょうか?
"YouTube"を見ている時、またはスマートフォンアプリの広告などで、「FXで副収入ゲット!」「FXで稼いでいます!」という言葉を見たことがある人はきっと多いはずです。
通称 「FX」 とも呼ばれるこの投資方法ですが、
近頃〝資産運用の手段〟のひとつとして、この〝FX〟を選択している方が増えてきているのです。
今回の投稿から〝FX〟について知り、稼げるようになるための基礎を固める知識をご紹介していきます。
FXも手軽に始めることができ、初心者の方であっても非常に取引しやすく、始めやすい投資なので、ぜひ最後まで読んでみてください。
第1章 FXとは何なのか?
この章では、FXの基本的な知識や仕組みを紹介していきます。
まずは「FX」というものを知ることで、この投資方法についての理解を深めていきましょう!
第1節 FX(外国為替金証拠金取引)
FXというアルファベット2文字はよく見かけますが、その正式名称はあまり知られていないような気がします。
FXは英語で〝Foreign eXchange〟といいます。
この2単語から一文字ずつ取り、FXという名称が一般的に広く知られています。
日本語では〝外国為替証拠金取引〟というのがFXの正式名称です。
〝外国為替証拠金取引〟は、証拠金を金融機関に預け入れて、「日本で使われている円」「米国で使われているUSドル」など、〝2国間の通貨の為替レート〟に基づいて通貨の売買をします。
「為替」や「証拠金」という難しい言葉が含まれていますが、仕組みは意外とシンプルです。
FX取引は、〝通貨レートが上がると予測した時〟に買い、反対に〝通貨レートが下がると思った時に売る〟という、たった2つの行動で成り立っているのです。
この原則は、「株式投資」「暗号資産(仮想通貨)」の取引においても共通しています。
「買ったり売ったりするだけでなぜ利益が出るのか」。
その仕組みを次節で確認していきましょう。
第2節 FXで利益を出す仕組み
FXで利益を出す仕組みについて、過去に"海外旅行"をしたことがある人はイメージしやすいかもしれません。
日本で使われている「円」を使って外国で買い物をすることはできません。
外国でお金を使おうとする時、必ず外国の通貨に両替をすると思います。
FXの仕組みは、この外貨両替に非常に似ています。
例えば、日本の「円」を米国で使われている「USドル」に交換して、米国を旅行して観光や宿泊を楽しんだとしましょう。
旅行が終わり、日本に帰国したら、手元に残っている米ドルは日本の国内では使用できない通貨なので、再度「円」に両替することになります。
この〝外貨両替〟を通して、皆さんのお金は「円」→「ドル」→「円」と姿を変えました。
FX取引で行う通貨の売り買いは、この〝海外旅行時の外貨両替の仕組み〟とほとんど同じです。
「それではなぜ、両替をするだけで利益が出るの...??」
と疑問に思われる人もいると思います。
その理由には、為替レートが大きく関わってきます。
普段、新聞やニュースをチェックする中で、「円高」もしくは「円安」という言葉を見かける人も多いのではないでしょうか?
〝円高 / 円安〟という言葉は、日本の通貨である「円」が、外国の通貨に対して価値が上がったか、価値が下がったかという意味で使われています。
円高になれば日本円の価値は上がったということで、円安はそれとは反対に日本円の価値が下がったということになります。
海外旅行をする時は、円高の時の方がお得と聞いたことはないでしょうか?
円高になっていると、〝日本の円の価値が高い〟ので、外国の通貨に両替をする時にいつもよりもたくさんの通貨を両替することができます。
その一方、円安の時は円高時に比べると少ない金額しか両替ができないため、海外旅行をするなら円高時といわれているのです。
外国の通貨に対して、日本の「円」が円安になったり、円高になったりするということは、通貨の価値が常に変動しているということなのです。
2つの通貨をセットにして、その通貨同士の価値の変動を見ていくと、その通貨ペアのレートが上がったり、下がったりしています。
これを「為替レート」といいます。
〝為替レート〟は、「為替相場」とも呼ばれ、外国為替市場で異なる通貨が交換される時の交換比率です。
ある国の通貨を他の国の通貨に交換する時、片方の通貨に対して、もう一方の通貨をいくらで交換するか、という取引価格のルールを決めているのが、為替レートです。
この為替レートは、通貨が使われている国の経済情勢の変化や政治ニュースなどによって常に変動しています。
為替レートの変動の要因を分析し、将来の為替レートを予測することが、FX取引においてはもっとも重要です。
全世界の規模で見ると、もっとも流通している通貨は米国のドルなので、多くの国が自国の通貨のレートを見る上で重視しています。
日本経済新聞でも、毎日一面に「日経平均株価」などの重要経済指標と併せて〝米ドルと日本円〟の為替レートが掲載されています。
多くのビジネスマンや投資家が読む新聞の一面に掲載されているので、それだけ日本国内でも注目されている指標となっているということなのです。
その表示方法は、外国通貨1単位に対して自国通貨がいくらかを示す「自国通貨建て」という表示方法が一般的です。
日本円と米ドルの為替レートだと、1ドル=100円という表示がされています。
もしFXで米ドルと日本円のペアを扱うなら、この為替レートがもっとも重要です。
他にも、有名な通貨として、EU圏で使われている「ユーロ」、イギリスで使われている「ポンド」が挙げられます。
少しマイナーな通貨としては、オーストラリアで使われている「オーストラリアドル」、ニュージーランドの「ニュージーランドドル」なども存在しています。
それぞれの通貨に〝為替レート〟が決められていて、「外国為替市場」を通して、世界中の金融機関が日夜、通貨のやりとりをしているのです。
為替レートは土曜・日曜を除き、原則24時間変動しています。
世界各国の為替取引が平日24時間、一つの市場の中で取引されているので、眠らないマーケットといわれています。
FX取引で利益を出す方法は〝為替レートの変動を予測し、注文をすること〟です。
例えば、EU圏で好景気につながるニュースがあったとしましょう。
投資家や金融機関は、EUでのニュースを見ると、そこで流通している通貨ユーロを購入します。
たくさんの買い注文が集まると、その通貨レートは上昇します。
もし、「ユーロ」の価格が上昇する前に「ユーロ」を保有しておけば、その差額が利益になるのです。
この仕組みについては、「株式投資」の個別銘柄の購入と非常に類似しています。
これを、外国為替市場における通貨レートの変動によって生じる利益、「為替差益」といいます。
世界にはたくさんの国があり、多くの通貨が存在しているので、世界中では毎日、多くの通貨の価値が変動しています。
FX取引では、為替レートの変動を予測し、為替差益を得ることで利益を出すことができます。
世界中では昼夜を問わず、さまざまな経済ニュースが発表されており、投資家や金融機関もその時の経済・金融情勢に合わせて投資する通貨を変化させています。
〝為替レートがどう変動するか〟という予想はインターネット上にとても多く発表されています。
判断基準や分析の指標はさまざまですが、為替レートの変動には一定の法則が見受けられるもあり、そういったFXの原則を身につけることが利益を出す近道になっていくことは間違いありません。
第3節 FXが注目を集めている理由
FXは、誰にでも手軽に始められる投資の一つです。
なぜFXが始めやすく、投資初心者にも取り組みやすいのか?
その理由をまとめていきます。
①好きな時間に取引ができる
FXと同じ投資に、株式投資や先物取引があります。
これらの投資は取引できる時間が限られており、その時間はおよそ平日の〝9時から15時〟までです。
それに対して、FXは平日であれば24時間取引することが可能です。
これからFX取引を始めようとしている人は、さまざまな職業や生活スタイルの人がいると思います。
日中は仕事や家事・育児で手が離せない人にも、夕方や夜中でも取引ができるFXはぴったりなのです。
まず〝取引する時間を選ばないこと〟が、FX取引のメリットのひとつです。
②少額の資金で始められる
投資を始めるにあたって、ある程度のまとまった資金が必要なものもあります。
例えば、有価証券の一種である普通社債などは、購入しようとすると10万円、100万円単位の資金が必要です。
それに加えて購入手数料なども踏まえると、投資用の資金を準備するためにしっかりと貯蓄をして備える必要があります。
FXは、証券会社にもよってその〝最低投資金額〟は変わりますが、最低1,000円単位からの資金でも手軽に投資を始めることができます。
投資を始めるにあたって資金の準備の必要がないことで、FX取引を始めるハードルが低く、誰にとっても始めやすいのです。
結婚されていて、お小遣いの中から投資を始めたい人や、投資に興味をもっている学生さんにも非常に始めやすい投資といえます。
③場所を選ばない
FXは、スマートフォンやインターネットに接続されたパソコンさえあれば、いつでも、どこでも取引をすることができます。
特に、スマートフォンの取引アプリは非常に〝高い機能を兼ね備えた〟ものも多く、パソコンで取引しているのと変わらないものも数多く存在しています。
パソコンの代わりにタブレットPCを使用している人にとっても、チャート分析ツールを備えたアプリを使用することで、どこでも取引することが可能です。
本格的に複数の通貨ペアを取引したい、という人であれば、インターネット回線とパソコン環境を整えることがおすすめです。
しかし、一つの通貨ペアで取引をしてみたい、FXから投資を学んでみたい、という人であれば、手元にスマートフォン一つあれば、問題なく取引を続けることができるのです。
第2章 FXの基礎知識
FXの基本的な仕組みと、投資方法としてのメリットを確認してきました。
この第2章では、FXの基礎用語を紹介しています。
金融関係の言葉が多く出てきますが、FXで稼げるようになるためにFX用語は一つでも多く覚えておいた方が、理解できるニュースや情報が多くなるのでおすすめです。
FXで稼げるスキルを身につけるため、頑張って覚えていきましょう!
第1節 まずはこれだけ!FXの初心者用語
まず、FXで一般的に使われる言葉を確認していきましょう。
FXに関する情報で使われているのは〝トレードに関する言葉〟や〝相場の分析・予測に関係する言葉〟などの多くの専門用語です。
これらの用語を理解し、FXで稼げる力を身につけるために、まずは基礎的な初心者用語を確認していきましょう。
①通貨ペア
FXで取引をしようとする時、まずは〝取引をする通貨ペア〟を選びます。
通貨ペアとは、実際の取引で売買する2つの国の通貨のことをいいます。
2つの国の通貨は、〝基軸通貨と決済通貨〟に分類されます。
〝基軸通貨〟は、購入する通貨のことを指し、
〝決済通貨〟は、売買で用いる通貨を指しています。
通貨ペアの表記の仕方は、基軸通貨/決済通貨と表記されることが多く、例えば米ドルと日本円の通貨ペアであれば、米ドル/日本円=〇〇という形になります。
各通貨には、通貨コードというものが用意されており、FXのトレードで用いるツールやアプリでは、通貨コードを用いた為替レートの表記になっていることに注意しましょう。
通貨コードの一例を紹介します。
・米ドル=USD
・ユーロ=EUR(ユーロはEUの通貨)
・日本円=JPY
・スイスフラン=CHF
・ポンド=GBP(ポンドはイギリスの通貨)
・香港ドル=HKD
・人民元=CNY(人民元は中国の通貨)
・オーストラリアドル=AUD
・ニュージーランドドル=NZD
・ウォン=KRW(ウォンは韓国の通貨)
・カナダドル=CAD
・レアル=BRL(レアルはブラジルの通貨)
・ペソ=MXN(ペソはメキシコの通貨)
・クローネ=NOK(クローネはノルウェーの通貨)
・ランド=ZAR(ランドは南アフリカ共和国の通貨)
・トルコリラ=TRY
FXの取引では上記の通貨コードが使われます。
為替レートは、「米ドル/日本円」であれば「USD/JPY」、「米ドル/ユーロ」は「USD/EUR」と表記されていることがほとんどです。
また「USD/JPY」は〝ドル円〟、「EUR/USD」は〝ユーロドル〟「GBP/USD」は〝ポンドル〟など、それぞれの通貨ペアの通称もあり、こうした名称で通貨ペアが呼ばれることもあります。
まずはこの通貨コードや通貨ペアの呼び方をしっかりと覚えていきましょう。
②始値 / 終値
本日午前の投稿【I#003/003'】で少し触れた内容です。
「始値 / 終値」は、投資全般に共通する用語で〝市場で取引が始まった時の価格〟が『始値
』で、〝市場で取引が終わった時の価格〟が『終値』です。
FXでは平日であれば24時間市場がオープンしているため、
主に決められた期間の始めと終わりで記録された価格を意味します。
『ローソク足』のチャートでは、終値が始値を上回ったとき「陽線」に、終値が始値を下回った時「陰線」として表示されます。
③高値 / 安値
「始値 / 安値」に加えて、投資全般に共通する用語で、決められた期間の中で〝もっとも高い値段〟が『高値』〝もっとも安い値段〟が『安値』です。
「ある一日の高値」という表現は、〝ローソク足チャート〟においては[日足]という決められた期間の中で〝もっとも高い値段〟という意味になります。
この高値と安値、始値と終値の4つの数値をまとめて〝4本値〟と呼びます。
4本値は、『始値 / 終値』の把握よりもさらに重要です。
高値と安値は、ローソク足チャートでは「ヒゲ線」として表示されます。
【003/003'】の投稿で、『終値』がその期間内の〝市場参加者心理の結果〟という記述をしましたが、
〝終値〟として確定しなかったローソク足の「高値と安値」は、その期間内の市場参加者の心理状態の〝ゆらぎ〟に相当します。
たとえば、多額の買い注文が入った後、その9割近くのポジションが売却されたとします。
もともと市場内に存在していた保有ポジションの決済の影響を除いて単純化すると、この期間が終わった時のローソク足は、始値よりも終値が少し上になって確定します。
その時、新たに注文された9割近くのポジションが売却された、という市場参加者の心理状態が、この〝ヒゲ線〟で表示されます。
もちろん、厳密に実際のトレードやチャート分析では、〝個人投資家の中長期の多額のポジション〟〝機関投資家やファンド〟などの莫大な資本をもつ市場参加者が、
〈1〉裁量(成行注文)
〈2〉指値(半自動の予約注文)
〈3〉逆指値(上記と同じ)
上記3つの注文方法を用いて〝買い もしくは 売り〟で〝新規注文 / 決裁〟しているため、
この影響を踏まえて判断することが必要です。
『始値 / 終値』は〝確定値〟(事実)、
『高値 / 安値』は〝想定値〟(仮定)
というイメージをもっておくことがおすすめです。
④チャート(ローソク足)
FXにおけるチャートは、過去から現時点の一定期間の値動きをグラフ化したもので、為替レートの変動が視覚的に分かりやすく表現されています。
縦軸は為替レートが、横軸には時間が表示されています。
FXの取引は、どのような規模の市場参加者であっても基本的にはこのチャートを見ながら将来の為替レートを予測し、取引をしています。
チャートは〝全世界共通〟の為替レートを使用して作成されているため、どのような証券会社および金融機関の取引口座を利用していても同じ内容が表示されるのが最大の特徴です。
(時間帯やシステム・スプレッドなどにより、価格は異なる場合があります。)
先日から相場分析の内容も投稿していますが、ここでは事前に上記の〝チャート〟を確認・分析しています。
そのチャートは主に〝3種類〟のタイプがあります。
▷『ラインチャート』
期間の〝終値〟だけをつなげたチャート。線で表示される。
▷『バーチャート』
〝高値・安値・終値〟の3つの数値を使用して表示される。
▷『ローソク足』
〝始値・高値・安値・終値〟の「4本値」で表示されるチャート。
この3種類の中で代表的なチャートは、〝ローソク足〟です。
ローソクとは、チャートを構成している線が「ろうそく」のように見えることから名づけられました。
「ローソク足」チャートのメリットは、なんといっても「4本値」が一目で分かることです。
一本のローソク足は〝実体の線〟(実線)と〝ヒゲ線〟から構成されており、実体線はその時間足でつけた始値と終値を示しており、
先述したとおり、ヒゲ線は〝高値〟と〝安値〟を示しています。
始値から終値が大きくなった(上昇した)ローソク足を『陽線』、
その逆に始値より終値が小さくなった(下落した)ローソク足を『陰線』
と呼びます。
ローソク足は、前述したとおり〝市場参加者の心理〟が表現されている指標として重視されています。
為替レートの変動に応じて、ローソク足はさまざまな形を見せますが、その組み合わせにはいろいろなパターンがあり、相場の状態を示しています。
このローソク足のパターンのみを使って成立している取引手法もあるほどなので、ローソク足について知識を深めることも非常に重要です。
⑤レバレッジ
『レバレッジ』という仕組みを利用すると、少額の資金でも狙える利益の金額を増やすことが可能です。
〝レバレッジ〟は日本語にすると「てこの原理」という意味で〝差金決済〟の取引ではほぼ利用することができます。
自己資金の金額よりも数倍~数十倍の金額で取引することができる仕組みです。
日本国内の証券会社では〝最大25倍〟のレバレッジを利用することができるので、仮に取引口座に〝1万円〟の自己資金をしたとしても、〝25万円分〟の通貨で取引をすることができます。
なぜレバレッジという仕組みが成り立つのか、をざっとまとめます。
通貨でも他の金融商品でも同じですが、『デフォルト』(通貨や金融資産の価値が0になる)ということはほぼありえません。
通貨ペアに関しても、ときに〝急勾配の騰落〟はあるものの、どんな外貨でもその価値が完全になくなる、ということは考えられないのです。
仮にレバレッジを利用したトレードをしていて、事前予想とレートが逆行したとしても〝総資金分の損失が出る〟ということはなかなか発生しないケースです。
為替レートの差益が反映されるのが〝外国為替証拠金取引〟なので、取引口座の運営会社はその差益分の金額を〝担保〟にできれば、トレーダーが自由にレバレッジ取引をして損失を出されたとしても、口座入金分の資金で十分に回収ができます。
(もちろん、そのトレーダーは再入金をしなければ市場から撤退することになります。)
FXを運営する会社からすると、口座保有者には〝ハイリスクトレード〟をどんどんしてもらった方が〝手数料収入〟や〝カバートレード〟で収益を得られる可能性が高くなりますし、トレーダーからすると、〝小資金〟でも〝取引機会〟を逃さずに済む、と感じられることはメリットとなっています。
〝25倍〟のレバレッジ比率は一見高そうにみえますが、以前は日本国内でも数百倍のレバレッジ比率が利用できました。
当時は〝個人トレーダーの破産〟や〝FX運営会社の倒産〟が相次ぎ、今は最大25倍という数値に推移しています。
(当然ですがFX会社の運営にも為替をビジネスにするという点で多くのリスクが存在しています。)
もちろん25倍のレバレッジを利用した場合でも、自己資金の金額は変わらないので、損失が出てしまうと25倍の資金を運用しているのと同じペースで資金が減ってしまいます。
利益が出た時にはその金額も大きくなることがメリットですが、同時に損失額が大きくなるというデメリットも抱える〝諸刃の剣〟であることを覚えておきましょう。
実際のFX取引では〝実効レバレッジ〟を「3倍程度」にとどめておくことが〝安全なトレードの目安〟とされています。
高すぎるレバレッジは長期的にトレードを続ける上ではリスクしかないと断言できます。
レバレッジを利用した取引には細心の注意を払うことが必要です。
⑥スプレッド
FXの為替レートには、2種類の価格の表示方法があります。
2種類の価格とは、『売値(Bid)』と『Ask(買値)』です。
この売値と買値の価格差のことをスプレッドと呼び、比較的メジャー通貨ペアはスプレッドが少ないため、そのような通貨ペアで取引をすると利益が出しやすいです(ひとつひとつのトレードにおいて〝固定費が少ない〟といえます)。
買値は売値より高くなっていて、売り注文で最低限の利益を出そうとするとスプレッド分の価格差を含めて価格の下落を予測する必要があります(単一トレード内の損益分岐)。
買い注文ではその逆で、スプレッド以上の価格差で売却しないと、利益が出ない仕組みになっています。
一般的には、メジャー通貨同士の通貨ペアではスプレッドは小さく、マイナー通貨とメジャー通貨の通貨ペアではスプレッドが大きく設定されています。
マイナー通貨は〝値動き〟(ボラティリティーともいいます)がメジャー通貨と比較すると激しいため、注文時に〝一定金額の含み損〟が発生するので「ハイリスク / 中程度のリターン」です。
FXをこれから始める人は、米ドルや日本円、ユーロやポンドなどのスプレッドの小さなメジャー通貨で取引することが本当におすすめです。
⑦ロット(Lot)
「ロット」とは、FXにおける1回の取引あたりの通貨量のことです。
一般的に「1ロット=10,000通貨分」と決められています。
〝0.1ロットは1,000通貨〟〝1ロットは10,000通貨〟〝10ロットは100,000通貨〟を意味します。
FXでロットという単位を使用するのは〝取引通貨の数量表記の簡易化〟と〝数量入力ミスによる誤取引の防止〟という目的があるといわれています。
第2節 実際に取引を始める前に!FXのトレード専門用語
ここではFXのトレード頻繁に使われる用語についてまとめていきます。
実際の相場の予測や分析および検証に使われている言葉なので、基礎用語からは一歩踏み込んだ「実践的な内容」になっています。
こちらもFX取引で利益を出すために必要な知識なので、特に「これからFXトレードをはじめよう!」と考えている人には、トレードを開始する前にぜひ覚えたほうが良い内容です。
それではひとつずつ確認していきます。
①Pips
Pipsは、Pipの複数形で、取引をする通貨の共通単位としてFXで使用されている単位です。
Pipは「percentage in point」の頭文字をとったものです。
為替レートの変動の共通単位として使用されています。
通貨ペアによっては、基軸通貨と決済通貨の金額が異なるため、いくら変動したのかを判断することが難しいです。
そこでPipsという〝共通単位〟を使用し、「USD/JPY」や「EUR/USD」「GBP/USD」が何Pips変動したのかを統一された単位で確認することができるのです。
また、Pipsはスプレッドの単位としても使われています。
〝USD/JPY〟であれば、小数点第3位まで為替レートが記載されていることが一般的なのですが、小数点第2位の変動の数値が1Pipsになります。
USD/JPY=109.525とすると、この為替レートが109.535に変動した時、プラス1.0Pips変動したという表記になるのです。
〝EUR/USD〟は〝小数点第5位〟までのレート表示なので、第四位の変動が1Pipsになります。
EUR/USD=1.20115とすると、1.20085に下落した時、マイナス3.0Pipsと表記されます。
②ロング / ショート
「ロングとショート」とは、FXの注文方法です。
「ロング」は〝買い注文、もしくは買いポジション〟をもつことで、注文時から為替レートが上昇すると利益を獲得することができます。
「ショート」は〝売り注文、もしくは売りポジション〟をもつことで、注文時から為替レートが下落すると利益を獲得できます。
ロングとショートの言葉の由来は、為替レートが上昇する時は緩やかに上昇するのに対して、下落する時には上昇時の数倍の速さで一気に下落することにあるようです。
〝短期から中期の取引〟では、金融商品を購入し、値上がりを待って売却し『株式投資について』で触れたキャピタルゲインを獲得することが一般的なのですが、FXはショートを活用し、売り注文でも利益を狙えます。
為替相場の状況に応じて、ロングとショートを使い分けることがFXで利益を稼ぐ大切なポイントです。
③ファンダメンタルズ分析
「ファンダメンタルズ分析」とは、FX取引で注文をする前の準備段階で使用する分析手法です。
〝ファンダメンタルズ分析〟では、為替レートの変動を、各国・経済圏の経済活動等の状況を示す経済指標に基づいて予測します。
一国の経済を分析する際に必要な基礎的指標は、経済成長率や失業率、物価上昇率や国債の金利の変動です。
経済指標は数多く存在している上に、為替レートに与える影響力に大小の差があり、間接的に為替レートに影響を与えるため、『高い精度のファンダメンタルズ分析』は難易度が非常に高いです。
経済指標は、発表前に予想の数値が発表されるのですが、予想よりも経済指標が良い結果だと為替レートは上昇し、それとは反対に予想より悪い結果だと為替レートは下落する、もしくは想定より価格が伸びないという特徴があります。
まずは、どんなFXトレーダーも確認しているメジャーな経済指標の意味を理解し、指標発表時の為替レートの変動を確認することが大切です。
④テクニカル分析
テクニカル分析も、ファンダメンタルズ分析と同じく、FX取引で注文をする前の準備段階で使用する分析手法です。
ファンダメンタルズ分析が各国の経済情勢の変化を対象にしていることに対して、テクニカル分析の対象は、為替レートのチャートです。
為替レートの変動には一定のパターンがあるといわれており、そのパターンをチャート分析から導き出し、それを将来のトレードに活用するのがテクニカル分析です。
テクニカル分析は、非常に複雑なファンダメンタルズ分析に比べて経済や金融の知識がそれほど必要なく、しかも一定の成果があるといわれているので人気があります。
しかし、過去のチャートパターンから未来の為替レートを予測しようとしても必ずしも過去のデータと一致するとは限りません。
経済指標の発表がない時には、テクニカル分析で予想が一致するということもあるので、FXのトレーダーが見ている情報を意識し、分析手法も変化・更新させていく必要があります。
⑤ゴールデンクロス・デッドクロス
〝ゴールデンクロス・デッドクロス〟は、為替相場の転換点を示す重要なサインといわれていて、多くのトレーダーが重視しています。
このサインは主に〝移動平均線〟という基本指標を使って確認され〝短期の移動平均線が長期の移動平均線を上に貫く時〟は買いのシグナルといわれます。
またそれとは反対に〝短期の移動平均線が長期の移動平均線を下に貫く時〟は売りのシグナルといわれています。
しかし、実際の相場では「ダマシ」と呼ばれる〝相場転換のサインが出ているのに為替レートの変動のトレンドが継続する〟という状態なども確認されています。
相場の転換点の一つのシグナルとして〝ゴールデンクロス・デッドクロス〟を認識しておくと良いでしょう。
⑥トレンドライン
為替相場の通貨ペアのチャートを見ていると、いかにも複雑な値動きをしている印象を受けますが、大きく分けて為替レートの変動パターンは3つとされています。
その3つとは「上昇トレンド」「下降トレンド」「レンジ相場」です。
これらをチャートから見出して、今後の為替レートの予測に役立てることができます。
トレンドラインを活用した分析手法は、テクニカル分析の一種です。
トレンドラインにも価格を下支えする「サポートライン」と上値を抑える「レジスタンスライン」の2種類が存在しています。
トレンドの〝サポートライン〟は安値同士を結んだ線〝レジスタンスライン〟は高値同士を結んだ線のことです。
上昇トレンドの時と下降トレンドの時をまとめて「トレンド相場」と呼びますが、トレンド相場の時は為替レートが「サポートライン」と「レジスタンスライン」の間で変動します。
また、トレンドラインと並行に引いた線のことを「チャネルライン」と呼び、新規の注文タイミングや決済のタイミングを測る上で用いられています。
⑦成行注文
成行注文とは、現在の価格で通貨ペアの注文を指定する注文方法です。
注文方法は新規注文と決済注文の2種類があり、自分が売買したいと思ったタイミングで自由に出せる注文がこの注文方法です。
成行注文を出す時には〝新規 / 決済、買い注文・売り注文(ロング・ショート)、通貨の数量〟を指定する必要があります。
注文が殺到している時には、表示されている為替レートと注文が確定(「約定」といいます)した時の為替レートが異なる時があるので、注意が必要です。
また、土曜・日曜の為替取引市場がクローズしている時には成行注文が出せないので、こちらも注意しなくてはなりません。
⑧指値・逆指値注文
「指値 / 逆指値注文」とは、希望する売買価格を指定して通貨ペアの注文をする方法です。
〝通貨ペアの予約注文〟というイメージがもっとも近いです。
「指値・逆指値注文」をする時には「通貨ペア」「通貨の数量」「希望売買価格」を指定する必要があります。
〝指値注文〟は〝為替レートが下落した時に買い注文を入れる方法〟で、〝買いポジションをもっている時は損切り〟〝売りポジションを保有している時は利益確定〟で使います。
〝逆指値注文〟は〝為替レートが上昇した時に売り注文を入れる方法〟で〝買いポジションをもっている時は利益確定〟〝売りポジションを保有している時は損切り〟で使います。
為替レートやチャートを〝頻繁に確認できない時〟は、この注文方法を活用してトレードする方法がおすすめです。
指値・逆指値注文は慣れるまでは難しく感じる人も多いかもしれませんが、普段の生活の間にトレードをするために活用するのがおすすめです。
また〝成行注文〟は〝指値・逆指値注文〟に優先して売買が成立します。
指値・逆指値注文を出している途中に〝現在の損益で決済注文をしたくなった場合〟は問題なく成行注文ができるので、その点も注意しておく必要があります。
⑨ロスカット
「ロスカット」とは〝損失の金額を一定の範囲にとどめる仕組み〟です。
FXの取引をする上で、「必要証拠金額」というものが決められており、保有しているポジションが一定の含み損を出している状態で〝ロスカット〟が発動します。
口座残高に現在保有しているポジションの評価損益を合わせた〝純資産の必要証拠金額に対する比率〟が、〝FX会社によって定められた証拠金維持率を下回る〟と、取引の継続ができなくなるのです。
〝ロスカット〟はFX取引の妨げになるものではなく、むしろ〝トレーダーの最低限の資金を守るためのもの〟と覚えておきましょう。
もし含み損を出してしまった時にロスカットにならないように、〝口座に入金する証拠金を多めにすること〟や〝注文するポジションのロット数を抑えること〟が大切です。
〝リスク管理〟を十分にして、安全な取引を継続できるようにすることが何よりも大切です。
証券会社によっては、一定の証拠金維持率を下回ると〝ロスカットアラート〟が表示される仕組みを用意している会社もあります。
ロスカット手前で表示されるロスカットアラートが表示されると「追加証拠金」を期日までに振り込む必要があります。
追加証拠金とは、口座残高を決められた必要証拠金額に戻すために必要な金額のことです。
追加証拠金を振り込むことで現在保有しているポジションを決済する必要はなくなりますが〝口座への追加入金で損失比率を抑えているだけ〟なので注意が必要です。
追加証拠金の振込が必要な事態になってしまうと、新規取引ができなくなったり、口座から出金ができなくなったりと、制限がかけられてしまうことがほとんどです。
〝ロスカット・ロスカットアラート〟にならないように、損切りの基準を決めて取引することが何よりも大切です。
⑩順張り / 逆張り
「順張り / 逆張り」はトレード手法の一つです。
〝順張り〟は「相場のトレンドに従って新規注文をする方法」で〝上昇トレンドであれば買い注文〟〝下降トレンドであれば売り注文〟をします。
現在のトレンドが継続しそうだと予想した時は、順張りでトレードを行います。
〝逆張り〟は「相場のトレンドに逆らって新規注文をする方法」で〝上昇トレンドであれば売り注文〟〝下降トレンドであれば買い注文〟をします。
現在のトレンドが転換し、逆のトレンドが発生しそうだと予測した時には、逆張りで注文を行います。
トレードに取り組む際の意識として〝とにかく順張りによるトレード〟がおすすめです。
現在のトレンドを見極めて、その方向に沿った注文をすることは、仮に価格が想定と逆行したとしても、時間経過で利益につながる可能性が高くなります。
もちろん、順張りにも損失を出してしまうリスクがあります。
相場の高値や安値で新規注文をして、その直後トレンドが反転した場合、損失につながってしまうのです。
トレンドの継続パターンや転換パターンをチャートから読み解けるようになってくると、こうした損失も減らしていくことができます。
⑪利益確定 / 損切り
「利益確定」とは〝一定の利益額に達した時に保有しているポジションを決済すること〟です。
利益が出ている状態で為替レートが逆に変動し、利益額が減少する前に、利益を確定させることから「利益確定注文」と呼ばれています。
「損切り」とは〝損失額が一定に達した時に保有しているポジションを決済すること〟です。
損失が出ている状態で為替レートのトレンドが継続した時、さらに損失額が大きくなる前に、損失を少なくするために出す注文なので、「損切り注文」と呼ばれています。
⑫両建て
「両建て」とは〝売りポジションと買いポジションを同時に保有すること〟です。
レンジ相場や指標発表時に、為替レートが一定の範囲で上下する時に活用することで、相場がどちらに変動しても利益を出せるという特徴があります。
ただ、相場が激しく変動している時は新規注文を出すタイミングが難しいことと、同様に決済注文を出すタイミングも難しいことから「両建て」は中級者~上級者向けの取引手法といえます。
⑬スワップポイント
「金利差」のある通貨ペアを保有することで、スワップポイントがプラスの注文の場合、その金利の差額が利益になります。
この〝金利差〟のことを「スワップポイント」といいます。
〝低金利の日本円〟を「決済通貨」として高金利のトルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランドを基軸通貨とする通貨ペアを保有すると、スワップポイントを獲得できます。
ただし、高金利の国の通貨は値動きが激しく、スワップポイントで稼ごうとすると非常に長期間ポジションを保有することが必要です。
為替レートの変動による損失で少しずつ積み上げたスワップポイントが相殺されてしまうこともありますので、注意が必要です。
スワップポイントで利益を狙うこともできる手法を「ポジショントレード」といいます。
ポジショントレードは大~中規模の資金をもっていないと成立しない手法で、かつ長期間相場変動リスクに資産を晒すことになるため、これから取引をはじめようと考えている方はまずデイトレードやスイングトレードの手法を習得することをおすすめします。
⑭証拠金
FXの取引をする上で、口座に預け入れるお金のことを「証拠金」といいます。
3種類の証拠金が存在していて、それぞれ意味合いが異なります。
3つの証拠金とは「必要証拠金」「有効証拠金」「余剰証拠金」です。
▷必要証拠金について
必要証拠金とは、通貨の購入に必要な資金のことです。
基本的に必要証拠金内で購入できる通貨数量の範囲で取引を行いますが、レバレッジを利用している場合、必要証拠金以上の通貨の取引が可能です。
▷有効証拠金について
有効証拠金は、証拠金の金額と現在保有している通貨の損益額を足し合わせることで計算されます。
含み益が出ている場合は、有効証拠金=証拠金+含み益、含み損が出ている場合は、有効証拠金=証拠金+含み損となります。
現在保有している未決済の通貨の損益も含めた証拠金の計算方法だと覚えておきましょう。
▷余剰証拠金について
余剰証拠金は、有効証拠金から必要証拠金を差し引いて計算されます。
証拠金の金額に余裕をもった範囲で取引することがベストなのですが、証拠金の金額をめいっぱい使って取引をすると、含み損が出た時に余剰証拠金がマイナスになります。
余剰証拠金がマイナスになると、現在保有している通貨を決済しなくてはならない、新規の注文が出せなくなる、口座に追加入金が必要になる、という事態になります。
継続してトレードを行うために、余剰証拠金がマイナスにならないよう、
〈1〉注文ロット数を抑えて取引をすること
〈2〉証拠金を多めに入金しておくこと
〈3〉高すぎるレバレッジをかけないこと
上記の3点が大切です。
⑮経済指標
為替レートの変動に大きく影響しているといわれるのがこの「経済指標」です。
〝経済指標〟には、経済活動等の状況を示す基礎的な要素の推移を示す指数などが多いです。
毎日、世界中で多数の経済指標が発表されており、為替レートに大きく影響を与える指標もあれば、比較的影響の少ない指標もあります。
主な経済指標の例としては、国内総生産(GDP)、各国雇用統計、鉱工業生産指数、小売売上高指数、各種景況感指数、そして消費者物価指数(CPI)などがあります。
取引をする通貨ペアを決めたら、その通貨が流通している国や経済圏の経済指標はチェックしておくのがベストです。
指標発表時は大きく為替レートが変動するため、経済情勢に精通したトレーダーの方以外は通貨を注文することを避けた方が良いといわれています。
経済指標と為替レートの変動を確認し、発表後の為替レートがどう変わるかまで予測できるようになることは非常に難しく、それはファンダメンタルズ分析のレベルが非常に高い、ということです。
デイトレードやスイングトレードをする上でも〝経済指標発表の時間だけは必ず押さえておく〟必要があります。
スマートフォンで取引する場合は、アプリで通知が来る設定になっていたり、アプリで発表日時が予め確認できるので、忘れずにアプリの通知をオンにしておきましょう。
第3節 4つのトレード手法について
▷01_ポジショントレード
「ポジショントレード」というのは、FXにおける〝長期の取引〟のことです。
取引期間は、数週間から数年にわたります。
為替差益も狙いますが、2種の通貨の金利差であるスワップポイントを得ることを目的に取引を行うこともあります。
取引期間が非常に長い期間に及ぶので、分析手法は将来の経済の見通しや経済指標を用いたファンダメンタルズ分析がメインになります。
ポジショントレードは、全世界的な経済を俯瞰する視点や、取引する通貨ペアの各国の社会経済情勢を分析・予測して取引を行うため、〝非常に難易度が高い取引手法〟です。
長期間、通貨を保有するため短期間で利益が出ることはなく、それ故に資金力も必要なため、安定した運用実績を出すことを目的とした、金融機関の投資部門やヘッジファンド、大量の投資資金をもつ大規模な投資団体・投資家が行っている投資手法です。
このような団体が取り扱う金額は莫大で、為替レートに与える影響は非常に大きいといわれているため、ポジショントレードの手法も知っておくと良いと思います。
▷02_スイングトレード
「スイングトレード」というのは〝FXにおける中期の取引〟のことです。
取引期間は1日から数週間程度で、1ヵ月以上ポジションを保有することはほとんどありません。
数週間も保有していると、金利差がプラスになる通貨ペアの場合はスワップポイントも稼げるのですが、狙う収益は決済することで生まれる差益(キャピタルゲイン)です。
スイングトレードは保有する期間がやや長いということもあり、一度の取引で狙える利益も比較的大きくなります。
ただし、思惑が外れ為替レートが予想と逆の動きをした場合、明確な損切りラインを決めておかなければどんどん損失額が大きくなってしまうので注意が必要です。
スイングトレードの分析手法としては、理想的には〝ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析〟を合わせたものを実施した方が良く、FX中級者~上級者が行う取引手法といえます。
1週間~数週間にわたって通貨を保有する場合は、その間に通貨が使われている国で大きな社会的ニュースがある場合や、為替レートに影響の大きい指標発表が何度もあります。
そういった為替レートの変動要因も含めて相場を予測しなければならないため、取引の手法と資金の管理、取引システムの熟知が求められる、非常に難易度の高い取引です。
スイングトレードで利益を出すためには、数年のFX取引の経験と、経済・国際情勢に関する高度な知識が不可欠です。
FX取引で安定して利益を出し、実力がついてきた実感が出てきたらチャレンジしてみるのも良いと思います。
▷03_デイトレード
「デイトレード」というのは、FXでもっとも使われている取引手法です。
取引期間は数時間から数日で〝1日以内に一つの取引を終える〟場合がほとんどです。
為替レートが予測していたよりも早く想定通りの動きをした場合には、早めに決済をすることもあるので早い時には数分で一つの取引を終えることもあります。
一日以内の取引が多いので、長期的な経済の見通しからトレード戦略を立てるファンダメンタルズ分析をしても効果は薄く、ローソク足などのチャートを分析する〝テクニカル分析〟が重要です。
デイトレードでも〝スイングトレード〟と同じく、経済指標の発表など、為替レートの変動に大きな影響を与えるイベント時は特に注意が必要です。
テクニカル分析では、経済指標の発表などの影響は考慮しないため、そういったイベントがあり、為替相場が荒れやすい発表の直前・直後は取引を避けたほうがベストです。
経済指標などの発表スケジュールは各国の経済カレンダーや、FX取引ツール、FX取引アプリで確認することができます。
取引しようとしている通貨ペア関連の経済指標発表を控えていて、指標発表の時間にポジション決済時間が被ってしまいそうなら、その注文はしないほうが安全です。
為替レートの変動を確認することに加えて、経済指標発表スケジュールをチェックしてその時間帯の取引をなるべく避けるようにしましょう。
▷03'_スキャルピング
「スキャルピング」というのは、デイトレードよりもさらに短い期間で、何度も取引を行う取引手法です。
取引期間は数分以内で、早ければ新規の注文をしてから数秒で決済をすることもあります。
〝スキャルピング〟のメリットは、非常に短い時間で取引が完結するため、イレギュラーな事態に対応がしやすいことです。
分刻みのスケジュールで動く世界経済のスケジュールに影響される為替相場の中でトレードするうえで、そのイベントの間を縫うように細かく取引をする〝スキャルピング〟は、経済情勢の大きな変化を受けにくい手法だということもできます。
それに対して、〝スキャルピング〟のデメリットは、常にチャートを見ながら取引する必要があるので短時間でもトレードのための時間を確保する必要があることです。
短い期間で小さな利益をコツコツ積み上げることがスキャルピングの特徴です。
もし、数分~数十分の間に推測と異なる為替レートの変動が起きて、大きな損失を出してしまうと、積み上げた利益が一瞬で相殺されてしまうこともこの手法のデメリットの一つです。
スキャルピングを行う上で重要な項目が、〝取引通貨ペアのスプレッド〟です。
スプレッドが大きな証券会社に口座を開設し、スキャルピングを行うと利益が出しにくくなります。
また、スプレッドが大きく設定されている〝マイナー通貨とメジャー通貨の通貨ペア〟は、注文を出した時点で一定の含み損になってしまうため、スキャルピングには不向きです。
マイナー通貨ペアでこの取引手法を用いると、注文後すぐに大きな含み損が発生するため、含み損を出したときのために明確な損切り価格を設定する、または現在の相場で発生しているトレンドに従った方向の注文をし、時間経過で利益が出る可能性を高くする、という工夫が必要になります。
スキャルピングを始める際には、スプレッドの小さなメジャー通貨同士の通貨ペアを選択することが鉄則です。
『外国為替証拠金取引』に関する投稿の前段〝メジャー通貨ペア〟で紹介している通貨はどのFX会社でトレードをするにしても〝スプレッド〟が低い傾向があるので中長期のトレードも短期のトレードでも比較的おすすめです。
第3章 基本的なFX取引の方法
FX取引には、ポジショントレード、スイングトレード、デイトレード、スキャルピングの4種類が存在しています。
それぞれに取引期間の差がありますが、基本的なトレードの流れは同じです。
トレードの順序をまとめると〝情報収集・チャート分析→仮説の立案→新規注文→決済注文→トレード検証→情報収集…〟のサイクルを回し続けることがFXトレードです。
この章では、FXのトレードサイクルの中のポイントについて確認していきましょう。
第1節 経済ニュースとチャートをチェックしよう!
どんな取引方法を選択するとしても、まずは経済ニュースのチェックは必要不可欠です。
日本国内の経済ニュースや、取引している通貨ペアのニュースや政治家などの要人発言、経済指標発表のスケジュールを確認しておきましょう。
上記のファンダメンタルズ分析と合わせてテクニカル分析を行うことも必要です。
通貨ペアのチャートを、長期、中期、短期で確認しつつ、自分が取引している期間でどのように為替レートが変動しそうなのか「仮説」を立ててみましょう。
第2節 トレンド転換・トレンド継続サインを見極めよう!
実際に仮説を立てることができたら、新規注文をする段階に移ります。
チャートをじっくり確認することができる人であれば「ここだ!」と思ったタイミングで成行注文してみましょう。
仕事や家事・育児で忙しく、為替レートをこまめにチェックできない人であれば、指値・逆指値注文を活用した予約注文がおすすめです。
実際に注文をし、ポジションを保有している時は、チャートを見て、トレンドが継続するか、転換するかに注意しましょう。
順張りのトレードであれば、トレンド継続していれば利益が出るはずですから、トレンド転換のサインが出ていないかをチェックすることが大切です。
含み益が順調に伸びていったら、利益確定注文、含み損が出てしまったら、損切り注文をして、損益を確定させましょう。
利益にしろ損失にしろ、基本的に〝深追い〟は禁物です。
FXのトレードでは、平常心を保つことが非常に大切です。
含み益が出れば「もっと利益が伸びるのではないか」と考えてしまいますし、含み損が出れば「相場が転換して利益が出るのではないか」という心理状態になります。
新規注文をする時に、利益確定ラインと損切り確定ラインをあらかじめ決めておくことが、感情に流されないFXトレードをする上で重要です。
FXに取り組まれる方は、ぜひ〝指値・逆指値注文〟も活用し、資金を管理しながら継続してFXトレードで利益を稼ぐスタイルを確立していってください。
第3節 トレードの検証をしよう!
1つの取引が終わったら、必ず取引の検証をすることが大切です。
一度利益を出せれば「次の取引でも利益が出せるのではないか」と勇み足になり、損失を出してしまうと「次の取引で損失額を取り戻してやる!」と躍起になるのが人の心理です。
よくトレードの世界でいわれる教訓として「感情を排除したトレードが大事」という言葉があります。
〝お金を稼ぐために投資をする〟のに〝お金を稼ぎたい〟という気持ちを排除し、自分のトレードスタイルを確立した人だけが市場に残ることができます。
矛盾しているようですが、日々この考えが重要だと実感しています。
取引での成功や失敗には、必ず原因が存在しています。
為替レートは世界の社会・政治情勢の影響を強く受けるため、その原因を正確に分析するのは困難かもしれません。
しかし、仮説を立てて注文し、結果の検証を繰り返しているうちに、自然に「自分がいままで見てこなかった指標」や「重視していなかったチャートパターン」が見えてきます。
FXには必勝法がないといわれますが、FXのトレードサイクルを繰り返すことが、FXの取引で稼げるようになる必勝法なのです。
ぜひ、為替レートの変動に興味をもって、継続して利益を出すトレードをするために、FXのトレードサイクルを繰り返し実行してみてください。
第4章 おすすめのFX会社
この章では、FX初心者におすすめのFX会社を紹介していきます。
FXは口座開設も簡単でスピーディに行えるので「FXを始めよう!」と決めたその週にはFXの取引を開始することができます。
それぞれの会社の特徴を把握したうえで、自分にあったFX会社を選びましょう。
第1節 FX口座開設の方法
それでは、FX口座の開設の手続きについて確認していきましょう。
インターネット上で、FX会社の広告は見たことがある人は多いと思います。
FX口座の開設は手続きが非常にスムーズになってきており、手続きも実際の書類を介することなくオンライン上のみで行うことが多いです。
口座開設の手続きも比較的早く、スムーズに口座開設できるため、忙しい人にもピッタリです。
口座開設には、氏名・住所・電話番号・勤務先等の情報入力が必要になります。
また「マイナンバーカード」または「マイナンバー通知カード」や、「身分証明証」が必要になってきますから、手元に準備しておきましょう。
提出書類等に対して、申し込んだFX会社から連絡が来ることもあります。
仕事で忙しい人は、着信履歴やメールの受信ボックスをこまめに確認して、口座開設の手続きがスムーズに終わるように心がけましょう。
第2章 FX会社を選ぶ基準
FX会社を選ぶ上で重視すべき基準は何でしょうか?
それは「取引手数料」と「取引単位」「取扱い通貨ペア数」の3つです。
取引手数料は、FX取引において非常に重要です。
FX初心者が取り組む取引手法は「デイトレード」と「スイングトレード」をメインにした方が良いと考えています。
この2つの取引手法は「ポジショントレード」と比較してトレード機会が多いです。
FXの手数料は取引回数と通貨量に応じてかかってくるので、手数料が安いFX会社の方が、利益が出しやすい傾向があります。
手数料は、もっとも多くの人がトレードしているUSD/JPY(ドル円)のスプレッドで比較されることが多いです。
初心者の人がまず取引する通貨として選ぶのがドル円になることが多いのではないかと思っているので、ドル円のスプレッドをしっかりと確認していきましょう。
同じように取引単位も重要です。
FX取引では、口座に入金する証拠金を使って注文を出すのですが、取引単位が小さい会社ほど、証拠金を無駄なく使って取引をすることができます。
FX会社は、一般的に1,000通貨単位もしくは、10,000通貨単位での注文単位が設定されています。
少額の資金でも注文しやすい、1,000通貨単位のFX会社を選びましょう。
通貨ペア数が重要な理由は、通貨ペアによって発生するトレンドが違うことがあるからです。
例えば「USD/JPY」と「EUR/USD」では、基軸通貨と決済通貨が〝USD〟なので二つの為替レートの動きは反対方向になる傾向があります。
このように、通貨ペア毎に経済状況の変化による影響の受け方が異なるため、なるべく多くの通貨ペアの相場を確認することができ、注文もできるFX会社がおすすめです。
ここでは、この3つの基準を重視しておすすめのFX会社を紹介していきます。
あなたのトレードスタイルにあったFX会社で、ぜひ口座開設してみてください。
第3節 おすすめのFX会社
〈この部分は後日追記する予定です。〉
第5章 総括
今回はFXの基礎知識から、大まかな取引の手法まで紹介しました。
FXはトレードする場所を選ばず、取引時間も自由なことで非常に注目を集めています。
FX取引を活用して継続して利益を出すために、当記事で紹介している知識だけでなく、市販されている書籍や新聞の為替情報、ニュースで流れている金融情報もチェックされるのがおすすめです。
また、FXの取引手法はさまざまなものがインターネット上で公開されています。
そういった手法を利用する場合でも、正しい知識を身につけた上で、その手法のメリット、デメリットを判断できるようになれば、FX上級者といえるはずです。
◇トレード手法について
本文の中で4つのトレードスタイルを紹介しましたが、
長い時間足をベースにトレードをすると、試行回数を増やすことができません。
〝ポジショントレード〟が資産家・上級者向け、という記載をしましたが、長期間通貨ペアを保有するこの手法は、資産の一部を使用して実施するべきものと考えています。
〝スイングトレードやデイトレ、スキャルピング〟なら試行回数は増えやすいですが〝分析・検証のフェーズ〟をそれぞれのトレードもしくは一定期間毎に設ける必要があります。
まだまだ世間では「ギャンブル性」が強いと思われている感のある『外国為替証拠金取引』ですが、この分野は他の金融商品・金融市場とあわせて『金融工学(financial engineering)』の研究対象領域であり、常に変化し続ける相場環境のなかで、変化し続ける価格の法則性を見出し、それをトレード手法に組み入れることがトレーダーの至上命題ということもできます。
〝外国為替証拠金取引〟を自らの生活スタイルに合わせて利用し、トレードで利益を獲得し、豊かな生活に向けての一歩を踏み出しましょう!