【I#003】主要仮想通貨価格推移_8月16日(火)米国指標発表/8月17日英国経済指標発表に関連して【2022年8月18日午前】
《今回の投稿は、昨日投稿した【I#003_2022年8月17日午後】の内容と同一の部分がありますが、一部修正しています。》
■2022年8月16日(火)および8月17日の経済指標発表に関して
8月16日火曜日の日本時間21時30分に米国の経済指標、
8月17日の日本時間15時00分に英国の経済指標が発表されました。
上記の指標が仮想通貨の価格に与えた影響をまとめます。
▶発表された経済指標
米国で発表されたのは「住宅着工件数〈前月比/年率換算件数〉」「米建設許可件数〈前月比/年率換算件数〉」の2点、
英国では「消費者物価指数(CPI)〈前月比/前年同月比〉」「小売物価指数(RPI) 〈前月比/前年同月比〉」の2点の指標が発表されました。
◆上記の経済指標の定義
▶米住宅着工件数
「米住宅着工件数」は、アメリカ合衆国の商務省経済分析局が発表する指標です。この指標は〝米国内で当該期間に建設が開始された住宅戸数〟を表します。
発表時期は毎月中旬、発表内容は前月の月次データとなっています。
この指標の特徴は以下の5点です。
〇建設業に関連する指標のため、天候状態に左右されやすい
〇月ごとの数値の変動が大きい
〇住宅に関連する個人の消費動向に対する影響度が大きい
〇景気動向を敏感に表し、景気変動の把握に用いられる
〇為替相場で金利に対して注目が集まっている時に注意すべきとされる
▶米建設許可件数
米建設許可件数は「米住宅建築許可件数」とも表記されます。
この指標も〝米住宅着工件数〟と同じく、米国の商務省経済分析局が発表しています。
こちらの指標の特徴は下記の5つです。
〇許可件数の増加は住宅ローンの金利引き下げの数か月後に起きる
〇月末時点で未着工の件数も含まれている
〇自然災害や気候変化に影響される
〇米国景気の先行指標として注目されている
〇為替相場で金利に対して注目が集まっている時に注意すべきとされる
▶消費者物価指数(CPI)
国内の物価の上昇や下降などを表す経済指標であり、「CPI (Consumer Price Index)」と呼ばれています。
国内の国民の生活水準を示す指標のひとつで、消費者が購入する消費財やサービスなどの物価の動きを把握するため、またインフレ率を分析するための最重要指標として重視されています。
消費者物価指数の中から、変動の激しいエネルギー関連数値や食料品目を取り除いたものを「PPIコア指数」といいます。
▶英小売物価指数(RPI)
小売物価指数は〝インフレーションの状態〟を表す指数のひとつであり、英訳の「Retail Price Index」を略して「RPI」とも呼ばれます。
〝英国家統計局〟により発表され、小売物価指数の算出根拠には住宅価格が含まれているようです。
経済状態や国内消費が上向きであることを示唆する指数で、発表の結果が良ければ、英国のみならず〝対象の国の通貨レートは向上しやすくなる〟という特徴があります。
◆20220816(Tue)2130発表の米国指標発表の結果
▷米7月住宅着工件数(前月比)
《予想との差》:-7.6% 結果 :‐9.6% 予想 :‐2.0% , 前回 :‐2.0%
▷米7月住宅着工件数(年率換算件数)
《予想との差》:‐8.2万件 結果 :144.6万件 予想 :152.8万件 , 前回 :155.9万件
▷米7月建設許可件数(前月比)
《予想との差》:+2.0% 結果 :-1.3% 予想 :-3.3% , 前回 :-0.6%
▷米7月建設許可件数(年率換算件数)
《予想との差》:+3.4万件 結果 :167.4万件 予想 :164.0万件 , 前回 :168.5万件
◆202208181500の英国経済指標発表の結果
▷7月消費者物価指数(CPI)〈前年同月比〉
《予想との差》:+0.3% 結果 :10.1% 予想 :9.8% , 前回 :9.4%
▷7月消費者物価指数(CPI)〈前年比〉
《予想との差》:+0.2% 結果 :0.6% 予想 :0.4% , 前回 :0.8%
▷7月消費者物価指数(CPIコア指数)〈前年同月比〉
《予想との差》:+0.3% 結果 :6.2% 予想 :5.9% , 前回 :5.8%
▷7月小売物価指数(RPI)〈前年同月比〉
《予想との差》:+0.3% 結果 :12.3% 予想 :12.0% , 前回 :11.8%
▷7月小売物価指数(RPI)〈前月比〉
《予想との差》:-0.3% 結果 :0.6% 予想 :0.9% , 前回 :0.9%
昨日の米住宅着工件数に関しては予想を下振れしましたが、米7月建設許可件数については予想を越える結果となりました。
英国の指標発表は「RPI〈前月比〉」以外は軒並み予想を上回る結果となっています。
◆指標発表前後の仮想通貨の価格推移
上記の指標が発表された前後の仮想通貨の価格の変化を確認していきます。
▶昨日2130時点→2145時点の推移
▷BTC/JPY : 3,233,701→3,216,680 (▲17,021)
▷ETH/JPY : 256,025→254,000 (▲2,025)
▷XRP/JPY :49.151→48.754 (▲0.397)
▶本日1500時点→1515時点の推移
▷BTC/JPY : 3,191,121→3,207,379 (+16,258)
▷ETH/JPY : 259,813→261,530 (+1,717)
▷XRP/JPY :49.686→49.491 (▲0.195)
◆指標発表結果と価格推移の考察
上記の指標発表と価格推移の2点を合わせて確認していきます。
▷米国指標発表結果と仮想通貨
〝米7月住宅着工件数〟は予想より下ぶれ、〝米7月建設許可件数〟は予想を越える結果になり、その結果を受けて〝主要3仮想通貨(円建て)〟は軒並み下落しました。
▷英国指標発表と仮想通貨
英国で発表された3つの経済指標は「RPI〈前月比〉」以外は予想を越える結果になりました。
その後〝主要3仮想通貨(円建て)〟はBTCおよびETHが上昇、XRPは下落、という推移になっています。
◆仮説
上記の考察から、以下2点の仮説を組み立てることができます。
▷「米住宅着工件数」×「米建設許可件数 」→「仮想通貨」
【前提】
「米住宅着工件数 : 結果>予想」
×
「米建設許可件数 : 結果<予想」
↓ ↓ ↓
【結果】
「円建て仮想通貨の下落」
▷英国で発表された3つの経済指標
【前提】
「消費者物価指数〈前月比〉結果>予想」
×
「消費者物価指数〈前年同月比〉結果>予想」
×
「消費者物価指数(CPIコア指数)〈前年同月比〉結果>予想」
×
「小売物価指数(RPI)〈前年同月比〉結果>予想」
×
「小売物価指数(RPI)〈前月比〉結果<予想」
↓ ↓ ↓
【結果】
「BTCおよびETHの上昇」×「XRP/JPYの下落」
→XRPの下落については英国経済指標とある程度相関があるかもしれないですが、直近で円建てBTCおよびETH、XRPの価格推移を確認したところ、ややBTC・ETHの2通貨と異なる値動きが確認できたので、相関性は低いのではないか、という印象です。
◆総括
指標発表が〝米国債利回り〟や〝株式市場(NYダウ平均、S&P500、ナスダック 等)〟に与える影響、そこから〝ドル相場に波及する影響〟、そして〝指標発表時に毎回異なる相場環境〟を踏まえると、おそらく上記の仮説は毎月の指標発表では成立しないはずです。
とりあえず現時点では単純な仮説を先に立てておき、その他相場に影響を与えうる背景・要因がそれぞれの金融市場に与える影響をひとつずつ整理した上で毎回の検証ごとに〝さらに精度の高い仮説〟を組み立てていければ、と考えています。