11/12 第35回ツール・ド・おきなわ140kmオープン 【当日 後編】
大逃げをしていたチームメイトを吸収して以降、どう戦ったのか、いよいよゴールまで突っ走ります。
【有銘の登りから】
それではバトンを受け取った残りのメンバーで次の展開を作らなきゃいけないぞ、と気合を入れ直し有銘へ。
逃げを吸収した勢いそのままに、ペースをガツンと上げていく。
当然即チェックが入るので、力のない面々を削ぎ落とすためにローテを促し「ペース上げて集団削ろう」と発破かける。
が、大量リストラが出来るほどは上がりきらない感じで、確か学校同様ここでも櫻庭さんがペースメイクにかかる。
しんどい人はシンドそうなので、これまた予定通り登り終わってちょっと緩めたくなるであろうところで上げたりしてみるも、当然勝負どころなのでついてくる。
集団の有力どころはしっかり残ったまま有銘終了。嘉陽へ。
実は自分の中で一個勝負どころと決めてた嘉陽の坂。ここで勝ち逃げを作るために攻撃してきた。
有銘で削られたまま間もなくここに入ることで、間違いなく勝負を左右する動きができるはずだと。
入りからの斜度がキツイところは周りのペースに合わせる。同じように攻撃ポイントだと考えているのか、雑賀さんがきつめのペースで上がっていく。
斜度が少し緩み始めたところで、集団も緩もうとしたところでアタック。
自分が踏もうとしないと出力が出ない緩斜面こそシンドいときにはキツイだろうと、渾身の嫌がらせ。
だが、RXのひぐらしさんがチェックに来て、カンさんがそのチェックに。
カンさんがカウンターチックに更に行こうとするが、やはり自分へのマークがかなり厳しく死にものぐるいで集団も追ってくるので、カンさんに無駄足使わないようストップをかける。
自分が行くとどうしてもどうしてもチェックが入る、また集団に追える脚がある人がまだそこそこいるので、無理に自分が行くよりも、マークを自分に引き付けてチームメイトを逃がした方がいいと判断。
自分に追いつき集団が緩んだところで、カンさんにもう一発いけ!逃げちゃえ!と合図。
RXのひぐらしさんがカンさんに飛びついていくものの、やはり集団はシンドいのか他はほっといてもいいと思ってるのか、自分の後ろで止まっている。
その後の下りで松山学院の高校生含むブリッジに行こうと行く選手がいたのでチェックに入ると、少し後続と離れる。
高校生に加えてまた710番の選手。ノーマークだけど脚がある強い選手だ。
カンさんの二人、自分含む四人、集団という順で少しの間進むが、次の小さな登りで集団も我々には追いついてくる。のになぜかそのまま先頭を追おうとはしない。二人なら大丈夫と思ってるのかもだけど、ウチのカンさん舐めすぎやろ。
安部、カヌチャの登りも特に大きな動きはなくすすむ。
逆の立場なら羽地までの平地で詰めるべき、そうでなければ三位以下争いになってしまうのに、羽地を意識しすぎなのか、全く集団が回らない。
時々高校生二人がブリッジに行こうとしたが、登りが得意だという前情報があり、そうなるとカンさんがこの局面で追いつかれた時に不利になるので自分でガチガチにチェックする。
あまりにもサイクリングで進むのでつまらなすぎて、思わず逃がしてる側なのに「トライクルとRXは逃がしてるから牽かないよ!このままだとレース終わるけどいいの?俺等はいいけど」と集団に言うも、特に動きはなくそのまま羽地へ向かう右折へ。
とここで894番だったか、猛烈な抜け出しアタック開始。
霜出くんが少し出遅れてチェックにいこうとしていたが、それより早く動き出していたイッセイさんが「いい、俺が行く!」とチェックへ。
追いついたところで羽地の登りで千切られたらチェックの意味が無くなるのでイッセイさんスーパーウルトラナイス判断。
自分もイッセイさんと同じタイミングで動いちゃってたので、イッセイさんにブリッジして貰う形でチェックに入り、そのまま集団から少し先行する形で、最後の勝負どころ、羽地へ。
絶対に登りが得意な選手(≒平地で勝負したくない選手)がここで決めきれなかったら負け、という覚悟を持って飛んでいくはず。自分はまずはそれを捌かなければならないと備えていたところ、またしてもグローブの櫻庭さんが先頭を切っていく。
当然集団も最後の勝負どころだと認識しているので絶対に逃さない。が、ハイペースなのでどんどん脱落していく。
2、3番手あたりで対処していたが、周りに更にペースを上げてアタックする余裕があるわけでは無さそうだったので、少しでも脚を残すためにジリジリと位置を下げる。
6番手くらいまで下がったところでそれまで完全に息を潜めていたRX菊川さんが上がってきたのを見て、この人とここで距離を取ってはいけないと思い番手につく。
そのままかなりしんどいペースで2連トンネルを抜けて緩斜面区間&アップダウン区間へ。
確かここぞチャンスだ、と思って一回踏みましたような。あんまり覚えてないが、少なくともここで後ろを見るとバラッバラになっていたので近くで残っている(またしても710番の人が近くにおった、、、)少人数に「後ろ離れてる!回して引き剥がそう!」と発破をかけてアップダウン区間を進んでいく。
と、登り返しの部分で自転車を直しているRXひぐらしさんが。
間違いなく先頭でなにかあって、カンさんが一人でいってる状況になってることを認識。
どうするか、と一瞬悩んだが、少なくとも今は視界に入っていないので、自分のやるべきことはカンさんが逃げ切って勝つと信じて、集団の頭を取ることだと切り替える。
小集団のまま最後の下りへ。
長く雨の中を走ったことで路面とタイヤの限界をしっかり掴めている感覚はあった。またここでいかないとまた集団スプリントになると思い、昨年に引き続き決死の覚悟で踏みまして鬼ダウンヒル開始。
52-11のトップギア回しきり、エアロポジションで降っていく。
かなりの速度で下っていってるが、少し後ろに小林さんが正しく鬼の形相で追走してくるのが見える(ヒェッ
あんたさっきあんなに慎重に下ってたやないかぁ!!!!!
と自分のことを棚に上げてなんとか突き放せないかと試みるもそりゃ逃さない。
と、下ってる最中にカンさんが視界に入ってくる。
なんかトラブルか?逃げ切れるのか?このまま自分はいっても大丈夫なのか?でも足を止めてたら後ろも来るぞ?
とここにきて選択肢がブワッと増える。
どうするか、、、と思いながら下り終わり。小林さんに追いつかれたが、やや離れたところにまだ固まってはいないものの、後ろにも勿論追ってくる複数人が見えている。
去年はここで躊躇したがために最後の直線に入ってすぐに追いつかれてしまい、スプリントに呑まれた。
2度同じ失敗は繰り返すまいと、後ろを振り返る小林さんに「絶対行ける!行けるから一緒に行こう!」と声をかけ、二人で全力逃げ開始。
カンさんが逃げてる分、集団に戻って牽引拒否でスプリントする選択肢もあったが、スプリントでは自分よりも優れている人が複数いる集団でそれは悪手だし、なによりカンさんが逃げ切れなかったとしたら全員呑まれてオワオワリ、なんて最悪の事態は避けたかった。
バラバラといる違うカテゴリーをパスしながら二人で掛け値無くローテして回していくことでやはり集団を少しずつ引き剥がすことに成功。
後で聞いたところ、後ろは後ろでやりあっていたので速度が上がらなかったとのこと。
去年の焼き増しにはならなかったぞ!
と思ったが、ふと前を見るとカンさんが確実に抜いてしまう速度差で射程に入ってしまっている。
今更速度を落として牽制に入るわけにもいかず、速度を保ったまま最終スプリント前へ。
とここでど真ん中にまたしても別カテゴリーの集団が拡がって走ってる。
どっちからいくか、と思ったところで小林さんが右に向けて急加速。
「しまった」と思ったときには時すでに遅し。
車間が空いてしまい、スプリント勝負どころか追随しようとするうちにゴールラインは眼の前、敗北。2位で2回目のツール・ド・おきなわは終わった。
【ふりかえり】
負けた原因は完全に最後の集中力、判断力で小林さんに劣っていたこと。
きっと小林さんは先を見据えて走ってた。集団に詰まったらどうするかも先に決めてた。だから迷わずに行った。その一瞬の差が勝てた人と負けた人の差なんだと思う。
勝負した経験の差が出て、なんとも情けない。
もう少し「STI壊れてなくて下ハン使えてたら」とか言い訳できる負け方だったらまだマシだけど、完敗だったなぁと振り返って思う。
加えて、帰りの空港でたまたま湾岸の皆さんと会った時に話して「やっちまったなぁ」と気付いたのは、最後に後ろの集団を離したと確信した時点で前にカンさんがいるんだからツキイチに回っても良かったのでは、ということ。
バカ正直に牽いて、カンさん吸収して、結果小林さんが一番美味しい状況にもっていってしまった。ほんとに後悔。
激しくアドレナリンが出ている最終局面だからこそ、冷静により勝率を上げる判断ができねばならないのに、まだまだ未熟だと反省。絶対同じことはしない。
ただ、チームとしては本当にいい動きができたと思う。
脚があるメンバーが集まって、それぞれの良さを活かす走りができて、終始レースの主導権を渡さなかったと思う。
こんなにチームって感じでレースができたのは初めて。
個性の塊をまとめて引っ張ってくれたたぶちんに改めて感謝。
来年は200なのか、140なのか、まだわからないけど、ツール・ド・おきなわはやっぱり目標にするだけの価値がある大会だと思う。
JPTと並行してのピーキングはかなり難しいところがあるけど、来年もこの場所に優勝を目指して戦いに来たい。
また、リザルトだけじゃない、印象に残る動きをしていた選手がいたことも、せっかくイチ選手のレポなので書き記したい。
・湾岸の雑賀さん:今回「厄介だわぁ」と思った選手No.1。とにかく放っておけない、敵である自分からすると危機感を感じる動きを何度もされ、マークのために思ったよりも脚を使わざるを得なかった。やっぱりすごい先輩選手だな、と改めて。なんども後塵を拝して来た(ホントにいつも一個後ろの順位ばっか)けど、今回は勝ちましたよ!
・グローブの櫻庭さん:練習も一緒に一回したし、他の大会でも何度も一緒に走ってるから知ってたけど、改めて登りめっちゃ強い。真っ向から牽いていく男気MAXな走り方をしてるのにあんなに勝負できてるのはすごい。気持ちの良い強さをもってるので思わずウチこない?って勝手に誘っちゃった。また練習しましょう!
・710番の方:強さをすごい感じた。自分が動いた時にカッチリチェックしてきてたし、牽く時間も割と長かったような気がする。これから戦う方、要チェックですぜ。家遠くはないみたいなので一緒に走りましょう!
・RX菊川さん:今年はパヤサイでたくさん一緒に練習してくださったし、当然マークしてたけど、きっっっちり仕上げてくるのすごすぎ。最後の登りはホントに力強さを感じたし、最終局面でこの人とスプリントしちゃいけないと恐怖を感じてたら案の定後ろのトップとってた。やっぱ怖い選手。オフシーズンも小山田で会いましょう。
・松山学院の高校生たち:どこか人任せな人が多い集団において、追走やアタックを積極的に行っていた。誰か一人じゃなくて複数の子が。きっと今の時点でこれだけ戦えてるなら、これからもっと強くなれるはず。これからも積極的に、レースを楽しんで走ってね。※オジサンにはお手柔らかに
他にもいたけれど、特に印象的だった5名のみ。
皆強かったなぁ。
雨風非常に厳しいコンディションのなか、大会を実施してくださった皆様、えんどうで横転してくださった地元の皆様、一緒に走ってくれたライバルの皆様、ありがとうございました。
また来年。
【おまけ】
素直にメダルをもらえたことが嬉しくて、見せびらかしに湾岸さんの打ち上げにつけていったら根本の金具からポロリと外れて、私の心とともに砕け散りました。
その日のうちにメダル割ったのは史上初だと思う。
これから沖縄で表彰されるみなさん、メダルの取り扱いにはくれぐれもご注意ください。
以下、写真と一言で思い出備忘録
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