リペア#1 さよならFaceID
記念すべきスマホの話第1回目ですね。わたくし普段は某スマホ修理店で働いているので、これから個人的に面白いと思うネタがあればここに書いてこうと思います。
ちょうど変な修理依頼が来ましたのでご紹介です。
画面ひび割れだらけのiPhone11です。これまたすごいですね。
画面と筐体が分離しています。
普通は地面に落として割れたとしてもこんなに破壊されないはずなので、どんな強靭な場所に落下させたのか持ち主に聞いたところ
「道路に落としたら画面が割れたので、そこから背面ガラスの方はどれくらいの強さで落としたら割れるのか試したくなって何度も地面に叩きつけてバラバラになったが、背面だけはがなかなか割れなかったので気が変わって修理に出すことにした。」
そうです。
はい、では見ていきましょうね。
Face ID(顔認証)の要であるイヤースピーカーのケーブルも見事に断線しております↓ここのケーブルは当店取り扱っていないのですよ💧
ここの黒いケーブルが切断されるともうFace IDが使用不可です。
今後、自分の顔でロック外せなくなります。今後はパスワード手入力です。さよならFace ID(泣)*理由は後半に
しかもその名の通りイヤースピーカーも繋がっている線なのでここから音が出ません。今後電話するときはスピーカーフォンオンリーになってしまいます。
Face ID こそ使えなくなりましたが、新しいケーブルを取り寄せれば普通に端末を耳に当てて電話することもできると伝えましたが、直すならFace IDも直らないと割りに合わないということでここは放置です。
それでもお客様は画面修理をご希望とのことで続けます。
なんかアウトカメラが飛び出しかけて蓋が浮いている....。
とりあえずズレたアウトカメラを元の位置に戻して新しい液晶をつけてみることに。ちゃんと起動するんでしょうか。
アップルロゴがつきました。順調です。
タッチ操作も普通にできました。
他の操作も確認していきましょう。
wi-fiもちゃんと検出していますね。こういった事例はwi-fiアンテナも吹っ飛んで使えなくなることがあるのですが今回は大丈夫。
さっき蓋が浮いてずれていたアウトカメラを起動してちゃんと撮影ができるのか確認。(黒い壁と白い仕切りを写しています)一見正常に見えますが
ズームするとピンクの影が出現します。ナニコレ!?(・_・;?
*この直後2つあるうちの1個のレンズの中身が割れた破片が写り込んでいることがわかりました。カメラを交換すると修理料金が上がりすぎるので今回交換はパス。(フロントカメラは正常でした)
充電もしっかりできていたので組み立てます。
完成
SIMカードはこの後お客さんに入れてもらって通話が機能するかどうか確認してもらったところ無事に通話できました(前半の理由でスピーカーフォンしか使えませんが)スマホの機能はギリギリ残ったといった結果でしょう。
頑張ったけど(?)割れなかった背面。意外と丈夫なんですね。
ちなみにどうしてFace IDは死んだのか
何でイヤースピーカーケーブルが切れるとFace IDが使えなくなるのか疑問に思う方もいらっしゃると思うのでできる限りわかりやすく説明しようと思います。
まずFace IDに必要な液晶側についているパーツを見ていきましょう。最初の方で液晶画面の分裂によって断線が発覚したこのイヤースピーカーのケーブル上のパーツです。明るさセンサー、近接センサー、そして近接センサーに内蔵されている投光イルミネーター。これらは工場での製造時に基板とペアリングされています。
そしての筐体側のパーツはこちら↓
自撮りの際に使うフロントカメラとFace ID用の赤外線カメラ、顔中に赤外線を照射して顔の形状を認識するドットプロジェクターです。がっちり金属の枠でひとまとめに固定されているので分解は基本できないようになっています。
各々の細かい動作説明はわかりやすいサイトがありましたのでこちらをどうぞ↓
こちら側は赤外線カメラとドットプロジェクターが基板とペアリンングされています。フロントカメラ+赤外線カメラは2つとも正常にピントが合わないとFace IDが機能しません。
先ほどのリンクにもありましたが
・赤外線カメラ
・投光イルミネーター
・近接センサー
・明るさセンサー
・フロントカメラ
・ドットプロジェクター
これら全部が買ったときのオリジナルで全て正常に動かないとFace ID終了です。新しいパーツに交換しようものならペアリングが切れて再起動時にエラーメッセージが出現します。
今回はここまで。iPhone11、今後はわざと破壊することなく大事に使ってくださると良いのですが笑