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「アバレた数だけ」先にあったもの―「爆竜戦隊アバレンジャー20th許されざるアバレ」感想

前回書いた爆竜戦隊アバレンジャーを全話完走した時から楽しみにしてたアバレ20thを先行舞台挨拶で観ることになり期待が大きかったものの「でもVシネって予算的にロボ戦まではやれないらしいし期待してた分肩透かしするかもしれない」「集まれたのは良かったものの言い方は悪いが解釈違いが激しかったり、ただの同窓会的な話になるのではないか」と全く不安がないと言えば嘘になる気持で挑みました。

結果としてこの爆竜戦隊アバレンジャー20th許されざるアバレは
やる時はとことんふざけ倒すギャグ、人の心に寄り添うような優しさとシリアスが混じった独特の世界観、キャラクターの言動、アクション全てが当時から変わらない爆竜戦隊アバレンジャーそのものがお出しされた (上映中は笑い声が目立ち上映後は拍手が鳴り止まない心地良い空気だった)

この映画特にコメディパートが秀逸で、劇場でもしょっちゅう笑い声が起きるほどギャグの緩急やキレがよくこれ本編越えたんじゃない?と思わせるほどでした。今回の敵であるトリノイドアバレンゲッコーの蓮華ビームでヒーロー達の尿意がピンチになり20年越しにスーツ内なら自動で分解されるのでおしっこしても平気という設定が語れられ凌駕、幸人、アスカは我慢の限界に達しおしっこをするとそこには綺麗な虹がかかった、文章に起こすとなんだこれは?と困惑するばかりですが20年ぶりに変身したヒーローのやることがまずはおしっこというさすがアバレまくりのアバレンジャーといったところです。この時らんるがいなくてよかった。
勿論下の方だけでなく「ときめきの白眉、アバレコチョコチョ」アバレキラーの名乗り中にくすぐり、いつかの名乗りを妨害され「それがダサいって言ってんだよ」と言われた仕返しを嬉しそうにやるアバレッドと「今じゃねぇだろ!」とキレるアバレキラー
幸人さんが連れてきた(葵の)同級生に五百田葵が放った「もしかして?アバレイエロー?」「いや今戦ってるだろ」と漫才のような緩急の効いたやりとり(これは監督のとっさに思いついたアドリブらしいです)
アバレンジャー本編でもトンチキギャグをやってきましたが今回99.9などを担当した木村ひさし監督との相性がかなり良かったんだなと思います。
ギャグもそうですけどシリアスとの絶妙な融合がアバレンジャーの魅力、今回大きく扱われたのはハラスメント、○○ハラという言葉も多くなり何かとハラスメントと扱われたり多様性が求められるこの時代、アバレンジャーも例外ではなく…
アバレンジャーを憎んでる今回のゲストキャラ五百田葵の発言をきっかけに世間からアバレンジャーへの批判が強くなっていく。
五百田葵が子供の頃アバアバダンスを強要されダンスが下手故にクラスから笑われそれがきっかけとなりアバレンジャーを憎むことが判明するのだが、この耳に残るEDを作劇として持ってくるのはこの作品にしかできない芸当で大胆だなと関心するし実にアバレンジャーらしい。
今作で扱われてる現代的な問題を現代に通用する価値観かつアバレンジャーらしさを損なわず問題を解決するので見てて非常に気持ちいい。幸人さんが葵を調べ実はその下手ながらも一生懸命踊る葵に勇気を貰い今はダンスの仕事に就いた同級生を見つけて、葵を改心されるのだが、予は自分を奮い立たせて頑張ることこそがアバレでその姿はきっと誰かに勇気を与える。「アバレた数だけ強くなれる、アバレた数だけ優しさを知る、アバレた数だけ自分を知る、アバレた数だけ痛みを知る」の歌詞の意味を改めて知ることになる。

そして今作の良かった所は口癖や決め台詞ではなくこのキャラクターならこうするだろうという行動原理、何気ない仕草でアバレンジャーを描いたことだ。
アバレキラーの登場からの高速攻撃、恐竜やカレーを食べたりいちいち泣き出しそうになるアスカ、地球のおしっこと聞き気持ち悪がって身震いするように動くらんる、調査のために一時戦線離脱する幸人さん辺りの展開、記憶を失くした仲代先生に体当たりで説得を試みる凌駕の必死さ。
どれもが「あ!これアバレンジャーで見たことある!」と唸ってしまう。
仲代先生はなんか弾けていた(ときめキ〜〜ング)


60分の中にアバレンジャーが詰め込まれた傑作大変満足でした。上映中は笑いっぱなしだったし優しいかつ熱い雰囲気に何度も泣かされた。
自分は最近全話視聴した新参者ですが、当時好きだった人は特に見て欲しいし、新しくこの映画のために全話視聴したっていいと思う。
仲代先生が言ってた「ジジイになってもアバレ続けろよ」この言葉を胸に生き続けていくことがこの作品にできる恩返しなのかもしれない。




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