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【台湾学生】身近にある政治

 台湾で生活していると政治活動に遭遇する機会が多い。
それは、学校生活でも同様である。私は3年目に突入する台湾大学生活ですでに2回の政治活動に出くわした。(別記事に詳細を掲載予定)どちらも学生主体で行われたものであり、このことから台湾では学生のうちから政治的関心が高い傾向にあることがわかる。

 台湾はその歴史の大半を異国から支配されてきた。
ポルトガルのフォルモサ島発見後、西洋国家の統治を経て清朝及び日本からの統治、そして国民党の来訪から現在へ。その中で台湾人は永らくコントロールされる側として扱われてきた。勿論、台湾人はその都度反抗していた。その例の一つに日本統治時代の事件“霧社事件”がある。原住民族を筆頭とした蜂起軍が日本政府の支配に反抗し、日本人を襲撃したものであった。日本人学校に通う大勢の親子を殺害。日本政府はこれを受けて鎮圧した。今でもこの事件は台湾人にとって反抗の象徴とされ、現在使用されている台湾の硬貨には蜂起軍リーダーの顔が描かれている。
“支配への反抗“は台湾人にとって自分を守る最大の方法であり、現代において反抗の方法は政治への参加へと変わったのだ。

 そのスピリッツが受け継がれてきた台湾では若者の政治参加も活発である。大学内でもその破片を垣間見ることができる。政治的イベント(不祥事や選挙など)が起こると学生のSNS内では活発な発言や議論が始まり、クラスメートが政治運動に参加している様子をストーリーにあげることも珍しくない光景だ。

 台湾現代史では学生運動が政治を変えた実例が多い。その最も大きな実例として1990年の野百合運動が挙げられる。全国から6000人以上の大学生が中正紀念堂にて座り込みを実施した大規模な学生運動であった。
学生らは、当時の総統であった李登輝に対し、“国民大会の解散”、“動員戡乱時期臨時条款の撤廃”“国是会議の招集”そして“これらの改革を実現するスケジュールの提出”を要求し、政府はこれを承諾。李登輝は後日、「野百合運動は台湾民主化の契機であった」と懐古しており、以降も民主化を守る政治運動として学生運動は決行されてきた。

 近年では、SNSを活用した政治運動も盛んだ。総統選挙に向けた活動はIG内ですぐに広まり、また政治家の発言に対する議論もSNS内で活発に行われている。台湾の学生にとって政治の距離はより近いものになっている。
しかし一方で、若者を利用する政治家と踊らされる学生が出てきている問題もある。またSNSに出回る情報の真偽性も定かでなく、学生が振り回される、また利用されている面も確かに存在する。

 日本では政治はなんとなく避けるべき話題という風潮があるが、台湾の学生はいつでも、どの時代でも政府が“民主”かを見張っている。積極的に政治に参加する若者には感服だ。


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