シャッターをきるまでは
宙に浮かぶ綿毛を探す丸は、右往左往と動き回るも、見つけることはかなわなかった。きいろい花が種子をとばす、そう噂を聞きつけやってきたものの、徒労に終わりそうだった。
「いつか見つかりましょうかね」
四角はいつ自分に役割が回ってくるかとソワソワしながらたずねる。
自分の番になれば、きれいにラミネートされ、願わくばその色が褪せないようにと祈りが送られる。その役割に誇りを感じ、はやる気持ちを抑えきれずに出た言葉でもあった。
「難しいかもしれません。今は盛りと聞いたものの、なかなかどうして捕まらないものですから」
丸はいつまばたきができたものかと答える。乾いた目を擦ることもできず、キョロキョロ見回す。
「シャッター、はやくきれたらいいですね」
「いい加減、ドライアイから解放されたいものです」
四角はくすりと笑った。丸はそれを聞き逃すことなく、言い返したくもなったもの、役割を果たすことなく言い返すことがむず痒くってやめた。
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