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三つ葉のねがい

三つ葉の移動はことばをともなわずにはじまった。きもちが増すごとに増えていく仲間は、草刈りにくりだしてきた人々をよく困らせた。しかし、彼らはけっして人に迷惑をかけたいとは考えていない。むしろ、人といっしょにあれたならと思う方が多かった。

雨がふろうと、風がふこうと、彼らはひとつも葉を落とさない。
だれかに踏まれようと、虫に食われようと、彼らはけっしてへこたれない。

「なにがどうして、あいつらずっと踏ん張っているんだ」
「さあな、わかったものじゃない」

森のけんじゃも、平野のとんち好きもみんな理由がわからなかった。

「なあおい、おしえてくれよ。おまえらどこに行きたいんだ」
「ひとつ葉っぱを増やせるように」

森のけんじゃはそのかわいそうなねがいにたいして誠実にこたえた。

「もうひとつ葉っぱは増やせやしないさ」

三つ葉はかなしそうに風にふかれ、何もいわずにいました。

「気になるならば、ひとつ葉っぱをへらせばいいさ。その方がずっといいのだからね」
「ほんとう?」
「ああ、ほんとうさ」

森のけんじゃのそのことばを聞くと、三つ葉はつきものが落ちたかのようにひとつ葉っぱを落としました。


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