答えは君とぼくたちしか知らない
泳ぐ魚のような文字が地面に踊る。意味を誰にも教えまいと、誰かの瞳に映るたびに互いの位置を変えた。本当の意味は筆者と魚たちしか知らない。
「ねえ、シナモンがその味を変えるとき、どうしてシナモンのままになるの?」
「どういうこと?」
「味が変わったらもうシナモンではなくない?成長したら魚も名前が変わるのに、シナモンは味が変わったら名前は変わらないの?」
彼はそれに答えようとはしなかった。彼女の言葉は現実がどうということではなく、紙面の魚が形を変えて生み出した意味であったから。
「ねえ、次はどんな意味になる?」
魚は隊列を整え、彼に向けて答えを授ける。
「答えは君とぼくたちしか知らない」