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それでは、また明日

たくさんのボタンとたくさんの筒が並んでいる長方形の箱。暗闇で小鳥だろうと前を過ぎれば明かりを灯す。羽虫が喜んで近寄るも、そこには明かりしかないとわかればじきに姿を眩ませた。

おっかなびっくり、その子は近づく。

「もし、あなたは何をしたいのですか?」

口元に手を添えて、内緒話をするようにささやいた。少しの沈黙はいつものことだった。その子の世界は、その子に応えてくれる存在がごくわずかしかいない。よしんば応えてくれても、間もなく彼らはいなくなってしまう。

「ジー」
「ジー?ジーがしたいのですか?」
「ジー」

一辺倒な返事ばかりで、どうも意地悪らしい。ただ、どんな言葉であろうと応えてくれることが嬉しかった。その子はひどく喜んだ。

「わたしたち、友達になれますか?」
「ジー」
「また明日、ここに来てもいいですか?」
「ジー」

耳を澄ませてみるも、同じ返事ばかりが続いた。そうしていると、暗闇から人が現れる。その子を押しやり、丸い銀色を長方形に入れ込んだ。
その子は押しやられてすっかり落ち込んで、すでに背中を向けていた。また別の声を聞いてくれる彼らを求めて。

「ガコン」

背中越しに返事が聞こえた。その子は喜び、振り返らずに大声をあげる。

「ではまた明日!また明日!」

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