室に熱波
機械から送り出される熱風は、少ししょっぱいような気がした。ただそれは思い返してみれば自分の汗を舐めていたからで、ここまで来てやっと自分が汗だくになっているとわかった。
びしゃびしゃ、びしゃびしゃ
汗を手で拭うついでに髪をかき上げてみると、そんな音がした。軽い運動よりもずっと汗をかいていて、自分の体ではないような気がした。
野球のハイライトが映されていたが、内容は覚えていない。ただ、これから通うつもりであるから、あらかたの内容は覚えてしまうのではないかと少し想像できる。
「ここでゴロを打ちます」
変哲もない、わからない言葉がなぜか身近になり、ぼくは少しだけ世界が広がったような心地になった。