大復興!ワルシャワ歴史地区【欧州街角探訪㉖=ポーランド編=】
ヨーロッパ各地を回っていると、第一次、第二次世界大戦の戦禍が、どれだけ熾烈だったかを物語る遺産が各所にあり、流石人類の戦争の歴史の先端を、ひた走ってきただけあるなと感じるのですが
ここ、ワルシャワの歴史地区はレベルの違う、奇跡の大復興を遂げた街として有名です。
カラフルで美しい中世の街並み。町全体が世界遺産にもなっています。しかし、これらは全て、第二次大戦が終結した後、つまりごく最近に建てられた建物なのです。
1944年8月。戦争終結一年前の夏に、ワルシャワに住むポーランド国民たちは、占領を続けていたナチスドイツ軍に対して武装蜂起を行います。有名なワルシャワ蜂起ですね。
一時は優位を取ったワルシャワ蜂起兵ですが、圧倒的な武力を持つナチス軍に次第に圧され、最終的にはワルシャワ市民15~20万人が死亡、生き残った多くのポーランド人(他外国人)も、ワルシャワから追放されました。
その後、再び蜂起など抵抗する気を起こさないように、ナチス軍はワルシャワの街を徹底的に破壊しつくして回りました。
この廃墟となったワルシャワで、隠れ住んでいたユダヤ人がウワディスワフ・シュピルマン。
戦場のピアニストのモデルになった人ですね。モデルというか本人ですけど。
歴史地区中心にある広場も、戦後は完全な焼け野原でしたが、生き残ったワルシャワ市民たちが、がれきの山から一つ一つ、レンガを集めて、使える資材を組み立てていき、記録・記憶を頼りに、傷一本に至るまで精巧に戦前の姿を再現したのです。もはや執念ともいえる復興劇です。
歴史地区を囲う城壁跡の一角にある幼き蜂起兵の像。ワルシャワ蜂起の際には、多くの子供や女性も戦いに加わりました。今でもこの像の前には、花束が多く手向けられていました。
さて、ワルシャワ歴史地区を歩いていきましょう。外壁が可愛くて、センスある建物がとても多いと思いました!これは魚ですね。
何やら楽し気な外壁画
星の王子様チックな、ロマンあふれる外壁も。
歴史地区は夜になっても温かみのある光であふれていました。石畳がきれいです。
そんなワルシャワですが、ポーランドが何で有名かと言えば音楽ですよね。ですよね!?僕はあまり音楽に詳しくないのですが、ショパンがポーランド生まれだということは知っていましたよ。
街には写真のようなショパンのベンチが数か所あり、ボタンを押すとショパンの名曲が流れる仕組みになっています。街中から流れるピアノの旋律がなかなかにいい雰囲気だったりします。
さて、ここからは歴史のお勉強です。歴史地区広場に面した歴史資料館。木曜日は無料です。早速見学。
人口グラフ。急激に落ち込んでいるのはもちろん第二次大戦時。ワルシャワを逃れたポーランド人達も、強制収容所送りになったり、そこで処刑されたりガス室に送られたりしたそうで、悲惨な運命をたどりました。
信仰宗教の割合。戦前はユダヤ教徒がそこそこ多かったのが見て取れます。現在は0%。本当に絶滅させられたんだなと空恐ろしくなりました。もちろん、ここからカウナスへ向かい、杉原千畝の命のビザより生き永らえたユダヤ人も多くいたことでしょう。
このほか、歴史資料館では戦前の貴重な資料が数々展示されていて面白かったです。
資料館最上部では広場を見下ろすことが出来ました。本当にきれいな街並みです。
もう少し、ワルシャワ蜂起について学ぶため、ワルシャワ蜂起博物館にも行ってみます。歴史地区から40分くらい歩きました。
荷物を預けて、重い扉を開けます。ちなみにこちらは日曜日が無料日。
珍しく日本語のオーディオガイドがあったので借りてみました。英語の説明がない箇所でも、かなり詳しく説明してくれるのでオーディオガイド必須だと思います。
左の鍵十字がナチス。右がソ連赤軍ですね。ポーランドは戦中ドイツとソ連に分割されました。
遺体の写る写真や映像の展示は、この井戸のようなもので囲われた中に展示されています。子供がのぞき込めないような措置がされているんだと思います。人を人と思わない残虐な行為が克明に記録されていました。
一般市民だった蜂起兵たち。兵隊のように個人の記録があるわけでもなく、身元が分からない名無しの死者、行方不明者が多くいたそうです。その方たちを弔うお墓を見ることが出来ます。
そこそこ重い気持ちで博物館を出ると、ポーランド国旗に何やらマークが書かれた旗が。実はこの旗、占領下のワルシャワで、秘密裏に活動していた地下政府の旗。この地下政府の元、ワルシャワ市民たちは祖国奪還のため、団結して戦ったのですね。独自の新聞の発行や、地下教会、郵便の配達まで行っていたそうです。
祖国を思うポーランド国民の気持ちは、今もなおこの旗に込められている様でした。
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