古いものを残し新しいものをそれに寄せていく老舗喫茶店のリニューアル
ディープサウスなにわ、西成の動物園前駅すぐにある商店街の入り口。…と聞くだけでワクワクが止まらないエリア。自由人の巣窟、ストリートを茶の間化する人々、人間の深いところをくすぐる素敵な場所に、コーズリーという地元に愛された喫茶店が閉店してからしばらくして。新しく店主が代わりリニューアルするという改装のプロジェクトに声をかけていただき、床のリノベーションをさせていただきました。
設計デザインは、ボタニストの大工真司さん。
既存の床を使いつつリノベしたいけど、かなり油汚れ?等で傷んでいるので、果たして削れるものか現場を見て欲しいということで現調。真っ黒に変色した床が一部残っていて、カウンター手間の部分は据え付けのカウンターチェアが土間に埋め込まれていたのでこれば既に撤去されコンクリが剥き出しになっている。既存の床をなんとか削って綺麗にし、それを残しつつ撤去された部分の床の貼り換えを何で行くかという相談。
まずは既存の床の部分をスクレーパーで削ってみるとスクエアのパーケットフロアの素地が出てきた。ナラの無垢材で、昔はこのようなパーケットがよく使われていてそのアンティークな雰囲気を好まれ、最近またよく使われるフローリングだ。
当時の施工方法も面白く、一部剥がしてみると裏面に針金のような金物が突き出していてモルタルに埋め込まれている。多分ステばり釘打ちやカルプ材の直貼りではなく、モルタルを土間に流し込み突き出た針金を差し込みながら固定してた。今回、床はりした職人さんに聞いたら昔はこういう施工方法の床材がいくつかあったよ、と。なるほど、これなら確かにガチガチだ。…がめくれない。。笑
当初は、残す部分のパーケットを綺麗にして、既に撤去された部分の床は、ナラの細幅などでアクセントつけるという話だったが、そもそも、この303角のパーケットのシリーズは今でも同様の規格で定番である。なので古い部分は残しつつ綺麗にして新しいパーケットに寄せつつ、新しいパーケットとの新旧の取り合いのデザインを楽しもうということになった。これが結構面白かった。
新しいパーケットフロアも少し着色して、エイジング風に古びた感じに寄せつつ、古い床材も綺麗にして、お互いが寄せ合い、寄り添うあう感じの床材になった。一部煉瓦の床も残っていたり、建物自体の壁が煉瓦でもあって雰囲気がとても良くて純喫茶の風合いだけど新しい部分の風も吹いていてとても素敵なデザインになった。
今回使った楢パーケットフロア
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