ディーラーや自動車用品店で返却された車のタイヤが車両指定空気圧より高めの理由
ディーラーや自動車用品店で車を点検やタイヤ交換に出した後、「空気圧が指定値よりも高い」と感じていた。車両指定空気圧は220kpaに対して、だいたい240kpaくらいになっている。間違えて車両指定空気圧よりも高く入れてしまったのかとずっと思っていたのだが、毎回、どこへ行っても高めで返却されるので変だなと思って調べた。
推奨空気圧とは何か
車両指定空気圧とは、自動車メーカーが車両の重量や乗員・荷物の平均的な積載量、標準的な路面状況などを考慮して設定した理想的な空気圧値である。通常、この値は運転席ドア付近や取扱説明書に記載されている。
しかし、メーカーが設定するこの値は「標準的な条件下」での最適値であるため、実際の運転環境や季節、気温に応じた微調整が必要になる場合がある。これが、ディーラーや自動車用品店で空気圧を高めに設定する理由の一つである。
空気圧を高めに設定する理由
1. 季節や気温による変動への対応
タイヤ内の空気は気温の変化によって膨張や収縮をする性質を持つ。例えば、外気温が10℃低下すると空気圧は約10kPa下がる。冬場においては、走行中に適正空気圧を下回るリスクを防ぐため、あらかじめ高めに設定することが望ましい。これにより、安全性を確保できる。
2. 燃費の向上
空気圧を高めに調整することで、タイヤの転がり抵抗が軽減される。これにより燃費が向上し、経済的なメリットが得られる。ディーラーや自動車用品店では、この効果を考慮し、推奨空気圧に+10～20kPaの余裕を持たせている。
3. タイヤ寿命の延長
空気圧が不足している場合、タイヤの接地面積が増加し、摩耗が進行しやすくなる。一方で、適正空気圧を超えて高すぎる状態では、タイヤ中央部分が過剰に摩耗する。しかし、+20kPa以内であれば摩耗が均等になり、結果としてタイヤの寿命を延ばす効果が期待できる。
3. タイヤメーカーの推奨
タイヤメーカーのページを調べると、メーカーも車両指定空気圧+0～20kpa程度を推奨している。つまりタイヤ自身も、この程度の空気圧でも安全性には問題ないということである。
自分で空気圧を管理する際のポイント
ディーラーや自動車用品店の設定が理にかなっているとしても、自分で適切に空気圧を管理することは重要である。以下のポイントを押さえるべきである。
1. タイヤが冷えている状態で測定する
空気圧はタイヤが冷えている状態で測定するのが基本である。走行後や気温が高い時に測定すると、熱膨張によって実際より高い値が表示されるため注意が必要である。
2. 定期的に確認する
空気圧は、月に1回以上、または長距離運転の前後に点検することが推奨される。自宅用の空気圧計やガソリンスタンドの設備を活用すると良い。
3. 車両指定空気圧を基準に調整する
指定された空気圧を基準としつつ、季節や運転状況に応じて+10～20kPaの範囲内で調整することが最適である。
高めの空気圧設定を正しく理解する
ディーラーやオートバックスが車両指定空気圧よりも高めに空気圧を設定するのは、安全性、燃費効率、タイヤ寿命を考慮した結果である。この調整は、単なる間違いや怠慢ではなく、プロの判断に基づいた配慮であることを理解することが重要である。次回点検や整備後に空気圧が高めに感じられても、それが適切な処置である可能性が高いことを認識し、安心して運転を楽しんでほしい。