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むかし書いた韓国コラム #884

 6月30日に水仁線の烏耳島~松島間が開業した。最新鋭の車両が走るこの路線、以前は韓国で唯一のナローゲージの列車が走っていた。線路幅762ミリの軽便鉄道規格だ。線路幅1435ミリの一般鉄道と比べると車両も小さくおもちゃみたいなものだった。単線非電化の路線は1995年に廃止されており、17年がかりで複線電化で華麗な復活を遂げることになった。

 廃止前の晩年に水仁線を訪れたことがある。最後に残った狭軌鉄道ということで注目を集めており、訪れた当日は休日だったこともあり相当な人出だった。2両編成の列車は超満員で、走行中の激しい揺れもあり車窓に広がる田園風景を眺める余裕はなかった。せっかく東京からやって来たのに毎日いやというほど乗っている満員列車を体験することになったのは残念だったが、いまにして思えば貴重な体験だった。

 その後ほどなくして水仁線は廃止されたが、当時の車両は義王の鉄道博物館に保存されており、いまも往時を偲ぶことができる。

【解説】
 水仁線はその後2016年2月に松島~仁川間、2020年9月に烏耳島~水原間が開業し全線が開通した。旧水仁線とルートはほぼ同じだが、路盤をそのまま流用しているわけではないので沿線には一部で旧水仁線の線路などが残っている。写真は蘇莱鉄橋。右側を走るのが現在の水仁線、左側は旧水仁線の線路跡を利用した人道橋。このほか安山線中央駅にも当時の駅の遺構が残っている。

(初出:The Daily Korea News 2012年7月2日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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