むかし書いた韓国コラム #673
引っ越しをすることになり、不動産屋と一緒に物件を見て回っている。ここにも日韓の違いがある。下見する物件にまだ人が住んでいても部屋に入ることが可能なのだ。訪問時に住人がいればいいのだが、いない場合でも合い鍵で勝手に入ってしまう。部屋の散らかり方から、事前に住人の許可は取っていないだろう。部屋は大家の所有物だが、勝手に入るのはルール違反ではないのだろうか。
すでに住人が転居し空室となっている部屋の下見。部屋に上がるのに靴を脱ごうとしたら土足で構わないという。韓国では退室時に掃除はせず、次の入居者が掃除をするものとなっている。なんでも、掃除をすると福が逃げるという理由があるらしい。しかし今回見た空室は、前日まで人が住んでいたという。数カ月放置してればホコリも積もるだろうが、きのうまで人がいたなら靴を脱いで入れるほどきれいなはずなのだが。日本なら不動産屋がスリッパを持参しているところ。土足も楽だが、次に自分が入居するかもしれないと思うと複雑だ。
【解説】
引っ越しの際に部屋の掃除をすると福が逃げるという言い伝えがあるが、単に掃除するのが面倒だからそんなことを言い伝えているのではないかと勘ぐりたくなる。それにしても、いくら新たな入居者が掃除するとはいえ、土足で部屋に入るのは行義が悪いのではないか。不動産屋も使い捨てのスリッパくらい用意すればいいのに。
(初出:The Daily Korea News 2012年8月2日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)