むかし書いた韓国コラム　#872

　金正男氏殺害事件は北朝鮮の工作員が関与したとの見方が出ている。その工作員と関連し、以前中国でギョッとする場面に出くわしたことがある。深セン市内に滞在していたのだが、チマチョゴリを着た女性が微笑んでいる写真を掲げたお店の看板にハングルで「工作員」と書かれていたのだ。さらにはご丁寧に「工作員の光臨を歓迎します」という文言まで。ハングルで書かれているということは深センには北朝鮮の工作員が多くいるのだろうか。

　このお店は「孔雀園」という足裏マッサージのお店。「孔雀園」をハングルで書くと「工作員」と同じで、「孔雀園へようこそ」くらいの意味で書かれた中国語の「歓迎光臨孔雀園」の韓国語訳がおかしいために工作員が集まる物騒なお店であるかのように見えてしまったのだ。もちろん本物の工作員が疲れを取りに足裏マッサージに来た可能性もないわけではないのだが。

【解説】
　現在もその店は存在するようだが、その看板はすでになくなっているようだ。深セン地下鉄紅嶺駅近くの孔雀園韓式足部按摩中心というお店なので関心のある向きは実地調査でもしてほしい。
 
（初出：The Daily Korea News 2017年2月21日号　note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります）