むかし書いた韓国コラム #972
道路名住所の導入により、いろいろと混乱が引き起こされているようだ。住所から「洞」が消えたため、住所地を管轄する住民センターがどこかわからない人もいるという。住民センターとはかつて洞事務所と呼ばれていた行政施設だが、人によっては頻繁に利用するところではなく、新住所の導入で管轄区域が明確でなくなったため、いざ利用しようと思ったらどこに行っていいのかわかりにくい。
「洞」は消えたが、地下鉄の駅名に付いている「洞」の字の先行きが気になる。釜山の地下鉄では2010年2月に「洞」の付く駅名からすべて「洞」をなくした。これは道路名住所導入前の話で、どういう理由だったのか定かでないが、先見の明があったと言えよう。ソウルの場合、1号線の新設洞、祭基洞、5号線の上一洞など、「洞」が付く駅はいくつかある。虎は死して皮を残すが、旧住所はなくなっても「洞」の付く駅名は残るのだろうか。
【解説】
ソウルの地下鉄では「洞」の字をなくすことはしなかった。もし「洞」の字をなくすとすれば、「明洞」は「明」になってしまうのではないか。ちなみに釜山地下鉄の中洞駅は洞の字をなくさず中洞の名前がそのまま残された。
(初出:The Daily Korea News 2014年1月14日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)