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むかし書いた韓国コラム #314

 右手の中指にペンだこができている。韓国で生活するようになってからできたものだが、原稿を書くときはペンではなくキーボードを叩くのでペンだこができるのは合点がいかない。もちろんペンを使うこともあるが、ちょっとメモを取るくらいで、ペンだこができるほど使っているとは思えない。しかし現実問題としてペンだこは確かに中指に存在している。

 昼食にカルグクスを食べながら考えていたら疑問はいとも簡単に氷解した。箸だ。カルグクス屋の箸は韓国で一般的な金属製の平べったいもの。正しい持ち方をしているつもりだが、つるつる滑る長いめんをつかむために、中指のペンだこができる部分を箸の支点にしていた。からまったチャジャンミョンをはじめ、めん類を食べるときにこの部分に負担がかかっていたのだ。

 めん類を食べなければ問題は回避できるが、現実的ではない。いっそめん類ははさみでぶつ切りにして食べるべきだろうか。

【解説】
 ペンだこならぬ「箸だこ」ができたのは右手中指第1関節の側面部。帰国後も自宅では韓国製の鉄の箸を使っており、めん類を食べる機会も多い。決して目立つ存在ではなく、自分以外には誰も気付かないと思うが、箸が当たる部分がうっすらと盛り上がっている。すくいやすいめん類はいいが、絡み合っためん類を食べると負担がかかるのでいまも消えることなく右手中指に存在している。

(初出:The Daily Korea News 2010年1月14日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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