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むかし書いた韓国コラム #327

 先日の当欄で紹介した「伝統食堂100店」から、新村にある「ヨンナムソ食堂」を訪れた。牛カルビの専門店で1953年創業というから60年近い歴史を持つ。メニューはカルビだけ。ごはんや冷めんはおろか、無料提供のキムチなどのおかずすらない。そして風変わりなのは立ち食いというところ。練炭がセッティングされたドラム缶がテーブル代わりで、案内されるとすぐに人数分の肉が載せられる。

 立ち食いと言えば日本ではそば屋だ。最近は立ち食い寿司の店や立ち飲み屋も増えており、帰国した際にはたまに利用する。どれも気軽に入ってさっと食べて出て行くスタイルで、長居するような店ではない。立ち食い焼き肉ももともと周辺の労働者がふらっと訪れ、さっと食べて立ち去る店で、現在もこのスタイルが踏襲されているのだとか。たしかに客も長居せずに30分ほどで食べ終えて出て行く。

 換気がいまいちなので服ににおいがつくのが難だが、なかなか面白い店だった。

【解説】
 前回(#326)の続き。60年近い老舗であるのも珍しいが、立ち食い焼き肉というのも珍しいところ。注文する必要もなく人数分の肉が勝手に出てくるので言葉が不自由な外国人観光客にもハードルは低い。酒の注文と肉の追加注文には相応の韓国語力が求められるがそれほど難しいものではないはず。ありきたりのお店に飽きてきた韓国旅行リピーターやちょっとディープな雰囲気を味わいたい人にはおすすめかも。

(初出:The Daily Korea News 2012年7月24日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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