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むかし書いた韓国コラム #192

 KBSテレビのニュースによると、ヤンコチ(羊肉の串焼き)の店はこの3年間で6倍に増えたそうだ。卓上に設置された機械を使って炭火で焼き上げるアトラクション的な楽しさに加え、「ヤンコチにはチンタオ(青島ビール)」という流行語が生まれたことも人気を後押ししたようだ。

 ニュースの説明では韓国で羊肉が広まったのは2000年代初めに中国人観光客が増えてからとのこと。個人的にもこのころに加里峰洞や大林洞など九老区の羊肉串店の存在を知り通うようになった。クミンやフェンネルシードなどの香辛料を使った羊肉串はビールによく合う。当時は朝鮮族の客が多く、韓国人の姿を見かけることはほとんどなかった。羊肉串を食べるための中国人街通いは密かな楽しみだったが、いまではどこの繁華街でも見かけるほどになった。遠くの中国人街まで行かずに近所で食べられるのはありがたいが、メジャーな存在になってしまったのは古くからのファンには少々さびしい気もする。

【解説】
 加里峰洞辺りの店は朝鮮族がやっていて、彼らが話す韓国語もかなり訛りがあったが、それもまた異国情緒を感じさせたもの。むかしは自分でひっくり返しながら焼いていたものだが、最近ではクルクル回転させながら焼いてくれる自動焼き器が普及したおかげで加里峰洞仕込みの焼きの技術を披露する場がないのがさびしいところ。

(初出:The Daily Korea News 2017年12月19日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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