むかし書いた韓国コラム #715
2008年に死去した盧武鉉前大統領の出身地に当たる慶尚南道金海市進永邑の住民が、盧前大統領の生家と墓がある烽下村に隣接する進永駅の駅名を「盧武鉉駅」に変更することを求めている。慶全線の複線電化工事に合わせ進永駅は移設されるが、住民らは駅移転による不便を最小化するためにKTXの停車も要求している。駅名変更が無理なら「進永駅(盧武鉉駅)」と併記する方式でも構わないとしている。住民団体によると、盧前大統領の墓には週末になると5千人から2万人が訪れるといい、「盧武鉉駅」にKTXが停車するようになれば爆発的な乗客の増加が期待できるという。国土海洋部の鄭鍾煥長官はこうした要望に、「開かれた心で検討したい」と答えている。実現すればこれも一種の「我田引鉄」と言えるだろう。
なお、駅名に人名が使われたケースは前例があり、2004年に京春線の新南駅が地元出身の小説家にちなみ「金裕貞駅」に改称されている。
【解説】
この話は結局立ち消えとなったようだ。地元民の気持ちもわからないではないが、政治的な色合いの薄い芸術家ならまだしも、国民的に支持されたわけでもない元大統領の名前を駅名にするのは何か違う気がする。日本では最近ネーミングライツを導入している駅もある。韓国でも盧武鉉財団がお金を出してネーミングライツで駅名を付けるというのはどうだろうか。
(初出:The Daily Korea News 2010年10月28日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)