むかし書いた韓国コラム #997
日本語で話しているつもりでも時々韓国語的表現が混じることがある。例えば「計算」という言葉。日本語では数を数えるという意味だが、韓国語では料金の支払いの意味があるため、支払いの際についうっかり「ここは私が計算しますよ」と言ってしまう。在韓日本人同士なら意味がわかっているので問題はないが、それを知らない日本人には割り勘での支払いが1人いくらになるかを計算するという意味に受け取られる。ごちそうするつもりで「計算しますよ」と言ったのに、相手に割り勘だと思わせることになりかねない。あるいは同行者がトイレに行ってる間に勘定を済ませ、「計算は済ませましたよ」とスマートに決めたつもりが、割り勘分の支払いを待っているように受け取られることもある。
というようなことを韓国語のことなどまるでわからない日本人から聞いた。在韓日本人の間には実はこうした「在韓日本人語」というのが存在するようだ。
【解説】
「在韓日本人語」にはこのほか、焼き肉などを食べたあとの「食事」がある。締めに食べるごはん類やめん類などを指す言葉だが、韓国語の「シクサ(=食事)」をそのまま日本語読みにしたもの。焼き肉を食べ、酒を飲み、すっかり満腹になったところで幹事役が「では食事はどうしましょうか」と聞いてくる。在韓日本人には共通認識があるので締めのことだとわかるが、そうとは知らない日本からの来客は、「さんざん焼き肉を食べたのにこれは食事ではなかったのか」と、びっくりすることになる。
(初出:The Daily Korea News 2010年11月4日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)