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むかし書いた韓国コラム #36

 ソウル・独立門の近くに霊泉市場という小さな市場がある。大通りの裏側の通りにある長さ300メートルに満たない昔ながらの市場で、扱っているのは肉や魚、お総菜などの食品や生活用品など。地域に密着した品揃えのため観光客向けではないが、最近は日本人向けの旅行ガイドサイトにも紹介されているようで、たまに観光客風の人も見かけるようになった。観光地ではないため普通の韓国人の生活を垣間見られるところが関心を呼ぶのだろう。

 このこぢんまりとした霊泉市場、ひとつだけ気になるところがある。独立門側に設置された市場入口の看板だ。ハングルで「霊泉市場」と書かれているのだが、真ん中部分には絵が描いてある。この絵がなぜか、フランスの凱旋門なのだ。確かに独立門は凱旋門をモデルにしたと言われているが、なぜ独立門のお膝元なのに凱旋門の絵を描いてしまったのか。理由は謎だが、そんな緩さも庶民の市場らしいところかもしれない。

【解説】
 凱旋門を模したとされる独立門だが、サイズもデザインも凱旋門とは大きく異なる。外国人ならまだしも韓国人ならだれでも見分けが付くはずなので、看板を作った人が間違えた資料を参考に使ったとは思えない。看板が掲出されて何年経つのか知らないがだれも気づかなかったのだろうか。真相は謎のままである。

(初出:The Daily Korea News 2015年2月3日号 note掲載に当たり解説を加筆しました)

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