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むかし書いた韓国コラム #218

 生まれて初めて韓国語に接したのはいつのことだったか。ふとそんなことを考えてみた。韓国語の勉強を始めたのは88年のソウルオリンピックがきっかけだったが、それ以前にも韓国語に触れたことがあったはずだ。

 記憶をさかのぼると、渥美二郎が歌った「釜山港へ帰れ」にたどりついた。チョーヨンピルの名曲をカバーしたものだが、日本語の歌詞の中に突然「トラワヨプサンハンエ」というフレーズが飛び込んでくる。この意味不明な響きに、「なんだこれ?」と不思議に思ったものだ。地図を見て釜山港が韓国にあることはわかった。ゆえに韓国語なのだろうか。こう思ったのが韓国語というものを初めて認識した瞬間だったのだろう。

 この歌は日本で84年にヒットした。当時小学生だった筆者が「トラワヨプサンハンエ」の意味を知ったのはそれから4年後のこと。その1年後には釜山港から韓国初上陸を果たした。自分の韓国歴・韓国語歴も、たどってみると釜山港に帰るようだ。

【解説】
 当時、雑誌の付録に歌謡曲の歌詞を集めた歌本などがあったが、そこに紹介されている「釜山港へ帰れ」の歌詞を見てもカタカナで「トラワヨプサンハンエ」と書いてあるだけで、その意味は書いていなかった。あのころ「トラワヨプサンハンエ」の意味をわかっていた人ははたしてどれだけいたのだろうか。

(初出:The Daily Korea News 2011年9月20日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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