むかし書いた韓国コラム #223
鉄道公社鎮海線の旅客営業廃止が決まったようだ。日本統治時代の1926年に開通した鎮海線は慶尚南道昌原市の馬山と鎮海を結ぶ。鉄道好きにとっては、到達することが極めて困難な統海駅が存在していたことで知られる。統海駅は鎮海駅の先にある駅で、時刻表にも時刻が掲載されていたが、海軍施設内にあることから一般乗客は全員鎮海駅で降ろされるため行くことができない“幻の駅”だった。この区間はすでに2006年に営業を休止している。また、サクラのトンネルで有名な慶和駅や、開業当時の駅舎が現存する鎮海駅など、短距離ながらも見所の多い路線でもある。
鎮海線はディーゼルカーがコトコトと走るのどかなローカル線。現在は朝夕1往復ずつの運行で、乗客も数人にとどまる。このため旅客営業の廃止は仕方ない部分でもある。定期列車は貨物を除き年内で運行を終了する。ただ、鎮海軍港祭の時期には臨時列車が運行される予定だ。4月上旬の多くの利用客で賑わう姿は普段の鎮海線とは大きく異なる。廃止前に乗っておきたい路線だ。
【解説】
サクラの季節にはほぼ毎年鎮海に行っていたので鎮海線にも何度か乗る機会があった。サクラのトンネルを通過する景色は車内から見ても車外から見ても絵になる風景だった。サクラの名所である慶和駅は人出が多く、ここを列車が走るのは相当に危険そうに見えた。そうしたことも旅客営業廃止の背景にあるかもしれない。
(初出:The Daily Korea News 2014年12月23日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)