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等高線から広がる世界
かつて登山に行くときは、いつも国土地理院発行の2万5千分の1の地形図を携行していました。地形図は、地図記号や等高線で描かれています。
等高線は、同じ標高を結んだ線です。等高線の間隔が広いと平地か緩斜面、狭いと急斜面ということがわかります。等高線の形状から、尾根や沢(谷)を読み取ることもできます。尾根は山の突起部をつないだ部分で、登山道は尾根の近くにあることが多いです。
私は、登山前に、色鉛筆で、尾根に赤線、沢に紫の線を引いていました。こうすると、地形図が更に読みやすくなり、理解が深まります。特に冬山登山や山スキーの場合、無雪期の登山道とは変わることがあるので、役に立ちます。地形図を見て、登りやすそうなところや、すべりやすそうなところ、なだれがおきそうなところなどを想像しながら、登山計画を立てていました。
地形図は役に立つということもありますが、地形図を見ているだけでも楽しくなっています。登る計画がすぐになくても、地形図から山の形を想像するのは、ワクワクします。
天気図の等圧線も、標高を気圧に読みかえれば、ほぼ同じ話ができます。天気図の読み方は、素人なので、あまり語れませんが、気圧の高低から天気、等圧線の間隔から風の強さなどを、ある程度、予測することができます。学生時代に長期間の縦走をする時、NHKラジオの気象通報を聞きながら、テントの中で天気図をつけたこともありました。
等高線は、Microsoft Excelのグラフとしても準備されていて、天気図や地形図以外のいろんな場面に応用ができます。例えば、工場で製品の製造条件を決めるときに、設定する2条件(温度、時間、電流、電圧、圧力、……)によって製品の特性がどう変化するかを調べ、等高線を使って整理することができます。ほしい特性が、高いのか低いのかある狙い値なのかで、製造条件を決められます。また、等高線の間隔が狭い領域は、不安定で変動しやすいので、安定したものづくりをするためには、等高線の間隔が広い領域を選んだ方が良いです。詳細な分析は他のグラフや計算の方が向いていますが、全体の傾向を把握する時は、等高線が便利です。
少し数学的な話をすると、$${z=f(x,y)}$$ と表現できるものは、等高線で描くことができます。偏微分やベクトル解析という手法を使うと、勾配(傾斜の度合い)の計算や分析ができます。個人的には好きな分野ですが、ベクトルや微分という予備知識が必要なので、詳細は割愛します。
話が広がりましたが、等高線は実は用途が広いということと、地形図を見ているだけでも楽しいというのが伝えたかったことです。今はネットやアプリで、山の標高や高低差を調べられますが、等高線を見ながら山の形を想像するのも、頭のトレーニングになっていいかもしれませんね。