微分思考と積分思考
高校の数学で「微分・積分」というものを学びます。私が高校の時は、2年の「基礎解析」で入門的な内容を学び、理系を選択した3年が「微分積分」で少し本格的に学びました。難解なイメージがあるのか、嫌われがちで、学校を卒業すると使ったことはなく、ほとんど記憶に残っていないという方も多いのではないでしょうか。確かに、微分・積分は奥が深く、計算が難解なことも多々あります。(高校では解ける問題だけを扱いますが、微分や積分の方程式は、そもそも解析的に解けないのが普通です。)
実は、微分・積分の考え方は日々の生活や仕事で役に立つことも多いです。
ここ3年間、新聞やニュースで新型コロナウィルス感染者のグラフを見ない日はありません。日ごとの感染者数とともに、累計感染者数が掲載されていることも多いです。この「日ごとの感染者数」と「累計感染者数」は微分・積分の関係にあります。
「累計感染者数」を微分すると「日ごとの感染者数」、「日ごとの感染者数」を積分すると「累計感染者数」になります。
微分は変化を表します。累計感染者数がどれだけ変化したか(増加したか)なので、日ごとの感染者数が対応します。グラフでは傾きに相当します。
積分は微分の逆で、全体の合計がどうなったかを表します。日ごとの感染者数の合計なので、累計感染者数が対応します。グラフでは面積に相当します。
変化を敏感にとらえたい時は、微分が重宝します。例えば、毎日の商品の売上だけでなく、売上がどれだけ増えているのか、減っているのかに注意を払うと、ニーズの変化をいち早く把握できます。
影響を把握したい時は、積分が役立ちます。日々の売上や支出だけではなく、これまでの全体の売上や支出を確認することで、ビジネスの成果や、手元に残ったお金を把握できます。
グラフを描いて、微分や積分を意識してみると、変化や影響を客観的に判断できるようになるのではないでしょうか?計算テクニックや厳密な理論を覚えなくても、その考え方を身につけることが、いろいろな場面で役立つと思います。
※厳密に書くと説明がくどくなってしまうので、正確でない表現を使っている部分があります。